大首飾り製作プロジェクトに携わって11ヶ月目に突入。
古代の勾玉を複製する行為は、時空を超えたバトンリレーのように思えてきた。
古墳時代に作られた赤瑪瑙勾玉の複製は、コの字をした出雲形勾玉の特徴を持っている
厳密に言えば古墳時代の職人に加え、身に付けていた人、発掘した人、売った人、明治期に求めて大首飾りに仕立てた松浦武四郎、発注者の松阪市担当者、実測図を作り、私に大首飾り製作を委ねてくれた國學院大學のU先生など、一つの勾玉には膨大な物語りが籠められており、そのバトンリレ-の最終ランナーを託されたのだと自覚すると、責任の重大さに身が震える。
3回目の赤瑪瑙の染めは、15点の内3点のみ実物そっくりの琥珀色に染まってくれたが、他は全然だめで顔料濃度を変えて4回目を継続中。
同じ原石でも多孔質な部分と緻密な部分は、顔料の含浸度合いが違うという事らしい。
白っぽいのやオレンジ色、琥珀色まで雑多なバラつきは歓迎なのだが、成功か失敗かが両極端なのが厳しい所。
やっと終りが見えてきて、寂しくもある。