お得意様からネフライトで超小型勾玉を作って欲しいとのご注文。
意中の女性に誕生日プレゼントしたいのだそうだが、ネフライトという処が有難い。
どうだ参ったか!という5円玉に5個は楽に乗せられるサイズ。(注文品とは別)
超小型でも紐孔の面取り研磨は拘りどころで、審美眼の鋭いお客様は、この部分に当たる「光が優しい」と嬉しい事を言ってくれる。
ネフライトは軟玉ヒスイの事で、一般的に糸魚川ヒスイとして知られる硬玉ヒスイとは別な岩石。
軟玉という名前から柔らかい石だと思われるのだけど、それは「石の傷つき難さ」を表す硬度が硬玉ヒスイより低いという意味で、岩石としての壊れ難さである「堅さ」は硬玉ヒスイの上をいく、と思う。
だから実際にカットしてみると硬玉ヒスイより堅く感じ、あるコツを掴まなければ加工は難しい・・・コツは企業秘密だ(笑)。
微妙なカーブが自然に連続していく、という点も拘りどころ。
滑らかに、滑るように・・・光が流れていくように作り込む。
これだけ小さいとワイヤーワークも大変だが、柔らかいアルミや真鍮、銀、普通の針金ではなく、堅くても耐食性に優れるステンレス製に拘っている。
非常に頑丈な岩石ので、近年までパプアニューギニア高地人達はネフライト製の石斧を使っていたくらいで、切れ味と耐久性、それと美しい姿と相まって石斧素材としては最上級ともいえる。
完成した勾玉をヒスイ関係者に見せると「凄いヒスイ!これなら超小型でも5万円でも売れるんじゃない!」と驚かれるのだけど、ネフライトだと正体を明かすと「なんだネフライトか!5,000円がいいとこだなぁ・・・」とガッカリする事を言われる。
硬玉ヒスイより市場価値が低い、というか貴石としての価値は無いという事なのだが「凄い・綺麗」という観た時の感覚より、既存の価値基準で判断されてはかなわん。
素材はなんであれ、「超小型でも・・・」という言い方も面白くないぞ(笑)
実物を観た人はビックリするくらい本当に小さい。
5円玉に5個が乗るサイズの超小型勾玉をちゃんとしたカタチのまま鏡面仕上げする技術、完成度を真似できる人、一歩前に出よ!
誰も出てきませんっ!(先輩諸氏、冗談ですよぅ)
しかし「ここまで超小型に作れるのだから、普通のヒスイで作ったほうがお金になるんじゃないの?」という忠告もあって、それは至極ごもっとも。
観よ、この透光性!上質なネフライトは下手な硬玉ヒスイよりよほど綺麗で緻密なのだよ。
もちろん普通のヒスイでも作っているが、私はネフライトの美しさを世に出したいのだ。
糸魚川の縄文人はその事を知っていて、ネフライトで大珠や玉斧を作って各地に運んでいたので、威信財扱いしていた事は間違いない。
遺跡からも小さなネフライトが出土してくるので、愛眼用かお守りにでもしていたのじゃないか?
現代に忘れ去られた宝玉ネフライト・・・「なんだネフライトか!」という評価を覆したい。
価値基準を開拓するのはヒスイ職人の醍醐味でもあるし、奴奈川族直系の末裔として取り組みたいのでR!