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縄文人(見習い)の糸魚川発!

ヒスイの故郷、糸魚川のヒスイ職人が、縄文・整体・自然農法をライフワークに情報発信!

朽ちて野に還っていく縄文の家・・・長者ヶ原遺跡の竪穴住居群

2025年05月09日 06時44分50秒 | 縄文
竪穴住居の耐用年数は20年前後とされているが、長者ヶ原遺跡の復元竪穴住居は限界に近づいてきたようだ。
二年前から倒壊の恐れがあると立入禁止になった「1号建物」は、冬をこえたら一目で傾きがわかるくらいになってきた。
最も大型の11号住居の茅葺も抜け落ちて隙間から陽光が差し込んでいた。
煙だしの部分の棟が損壊しつつある3畳もない小型の16号住居は、一棟だけ墓域の中央広場に背を向けているので、集落の営みから一線をひいた「ご隠居の家」と名付けてガイドしているが、中にはいると寛げるので「縄文のお茶室」とも呼んでいる。
住居に囲まれた墓域の広場は、秋になると土が筋状に掘り起こされる現象があり、エサを求めたイノシシが掘り起こした痕跡と推測していたが、「自然界の報道写真家」を自称するプロカメラマンの宮崎学さんに確認してもらったら、やはり「イノシシの仕事」であるとのことだ。
 
年に何度もガイドしたり、縄文キャンプのコーディネートをしているわたしでも遺跡内で野生動物を観たことはないが、シカを目撃したとも聞いたので、誰もいない夜は「野生の王国」になっているのだろう。
 
余談だが二年前にNHK特集で宮崎さんが紹介されて、モノの観方やなんでも自作する撮影スタイルのファンになり、SNSでつながり糸魚川のガイドをしたりしていた。
ご自身が主宰する「gaku塾」に入会を誘われて、今年から野生動物の痕跡や生態、棲家の探し方など教えてもらえる師弟関係になったのは、長者ヶ原遺跡に棲む野生動物の生態を研究するためだ。
ジブリアニメ「平成たぬきポンポコ」では高畑勲監督にタヌキの生態を指導するなど、マタギなみに野生動物に詳しいプロフェッショナル。
 
長者ヶ原遺跡の朽ちゆく竪穴住居は、人類が誕生して以来、繰り返してきた集落の繁栄と衰退、そして野に還っていった歴史をうかがわせ、諸行無常を感じる。
 
人口減少の税収減による財源の問題があるから、竪穴住居の建替えをするにしても、あと1回くらいではなかろうか?繁栄と衰退は地方自治体、そして国家も同じ・・・。
 
例え財源不足で朽ちるに任せる状況になっても、ヒトはこうやってイノチを繋いできたという、立派な歴史教材だ。
 
ブラックジョークではなく、朽ちゆく竪穴住居にモノの哀れを感じて神妙になる。
諸行無常を感じたい人、長者ヶ原遺跡に遊びに来てちょうだい。
 
 
 

ギャートルズも食った縄文デザートはいかが?・・・甘さ控えめな信州のさるなしジャムと山ぶどうジャム

2025年04月19日 07時38分16秒 | 縄文
アニメ「はじめ人間ギャートルズ」で、オヤジがプハ~!と飲んでたサル酒の原料になった縄文のデザートはいかが?
小谷村の道の駅で買った、さるなしのジャムが甘さ控えめで酸味があって美味く、山ぶどうジャムとリピート購入。
 
高橋秀行著「謎のアジア納豆」を読んで、縄文中期には納豆を食っていた条件がそろっていることがわかり、縄文鍋の出汁にすることを考えている。野生種の果実も縄文キャンプのデザートに追加だ。
さるなしの外観はマタタビだが、中身と味はキウイフルーツそっくりで、山ぶどうと共に縄文時代の酒の材料とも考えられている。
「はじめ人間ギャートルズ」にたびたび出て切る、猿に木の実を噛ませて猿酒をつくる場面は、猿がさるなしで酒をつくったという伝説と、女が穀類を噛んで吐き出して発酵させる酒の民俗例を足して二でわった創作なのだろう。
 
信州の縄文人が山の恵みを担いで海に出て、糸魚川の縄文人と海産物を交換していたことを想像する。当時の海産物は、海水に浸しては天日干ししてつくった干物、囲炉裏の火棚で燻した干物ではなかったか。
 
海水で煮詰めると、しょっぱいどころか苦くなるが、鍋料理の具材ならアリかも。ちなみに調理に海水をつかう場合は、真水で3割くらいまで薄めれば、ちょっと苦みのある濃いめの塩味になる。信州の縄文人にとっては貴重な塩分であったに違いない。
 
海の縄文人と山の縄文人は交易で親戚のような関係になり、婚姻や養子縁組もあっただろう。
東向きに竪穴住居の玄関がある長者ヶ原遺跡の住居エリアで、唯一、竪穴になっておらず方形をした大型の「掘立柱建物」は南に玄関のあり、信州を意識しているように思えてならない。
 
冠婚葬祭や集会の他に、年に何度かの交易市、ゲストハウスとして、遠来の客人(マロウド)との交流の場、もてなしの場でなかったでなかろうか。
 
 

縄文人(見習い)の必須スキル・・・門前町の無斑晶質安山岩で打製石器つくり

2024年12月17日 07時36分04秒 | 縄文
野尻湖のキャンプ場で管理人をしている関本さんがふらっと遊びにきて、門前町の無斑晶質安山岩で打製石器つくりを実演してくれた。
実は同じ無斑晶質安山岩を打製石器の研究者に送って試作してもらっていたのだが、見た目は頁岩と似ていても堅すぎて石のハンマーが壊れてしまい、名人といえどもシンメトリックな石槍はつくれず、不定形のフレーク(破片)を石包丁に利用するくらいしかでない石質であるらしい・・・もちろんサシミは無理でも肉くらいなら切れる。
 
打製石器つくりを覚えると、石ひろいガイドや縄文体験会のネタにもなるから、能登ボランティアが落ち着いたら取り組みたい課題。
大割りした後は手に持って整形していく
 
ちなみに糸魚川市の遺跡から出土する打製石器は、黒曜石・チャート・頁岩でつくった縄文時代のヤジリが多く、なんで旧石器時代の遺跡が少ないのか疑問で、この考察もしてみたいもの。
 
 

勾玉探偵、弓矢探偵になる・・・大田区立郷土博物館企画展「矢を放て!」探訪記

2024年11月29日 07時07分25秒 | 縄文
糸魚川翡翠展2024が終わったあと、大田区立郷土博物館で開催中の企画展「矢を放て!」を堪能。
常設展入場無料!すごい内容なのに企画展のみ500円という安さ。国立博物館で開催中のはにわ展が長蛇の列と聞いて諦めたが、大田区立郷土博物館は裏切らない!w
 
どうやって知ったのか、受付してたら多忙な斎藤学芸員がかけつけてくれて、30分ほど立ち話しで前回の「大勾玉展」に感銘した旨を伝え、勾玉と弓矢談義ができたのが僥倖。
図録も充実している。帰宅後にコタツにはいって読んでいるがいつの間にか睡眠学習・・・これが愉しいのよ。
 
弓矢もわかっているようで謎は多い。例えばアイヌの仕掛け弓(アマッポ)に使用されるトリカブト毒が、なんで本州で使われなかったのか?
アイヌの弓と和弓では形状もちがうのは何故だろうか?
弓の素材
 
この件については中国で生まれ、朝鮮半島から移入した高さ5センチほどの馬鐸が、日本列島で巨大化して銅鐸となっていったように、外来物が文化のフィルターを通すと、ある種の美意識によって取捨選択と変容すると説明できるが、斎藤学芸員も同じ意見だった。
矢の素材は時代によってちがうのよ~。
 
「大勾玉展」と同様に、縄文から現在に至るまでの系譜がわかりやすく展示されていたが、またもや新たな謎が浮かび上がってくる。
 
時代ごとの遺物の行間のモノガタリに正解はなく、系譜から伺い知ることしかできない。
 
より確からしさを求め続けて迂闊なことを言えないのが考古学者で、自由にモノガタリを語ることができるのが、わたしのようなアマチュアの歴史探偵。
 
それが系譜を無視して、都合よく情報を切り張りしたモノガタリをするとニュー・アカデミーおじさんと呼ばれるから自戒しておりますw
 
 
 

美人がベンガルや六角精児になる遮光器の神秘!・・・遮光器土偶オカリナ

2024年11月12日 06時52分42秒 | 縄文
犬の毛で自作した帽子がトレードマークのハラ原人が笹山遺跡のマルシェに手伝いにきて、遮光器(しゃこうき)をもってきたので来場者とオモチャにして遊ぶ。
こちらがハラ原人デス。帽子が人気なので最近は5年もかけて犬の毛のチャンチャンコまでつくっちゃったそう。
 
そして新たな発見があった。眉目秀麗な女性であっても、顔の輪郭が四角い人が遮光器をつけたら俳優のベンガルや六角精児になる事実w
本来の遮光器は北極圏地域のスノーゴーグルで、遮光器土偶の命名由来になっているから、縄文時代に日本列島に北極圏から人がやってきた証しとする人もいる。
ぬなかわヒスイ工房の人気商品「縄文オカリナ」で一番人気なのが遮光器土偶オカリナ。ヘルメットをかぶった宇宙人とする人もいたが、こういったことを言う人は日ユ同祖論信者や陰謀論好きなニューアカデミーオヤジが多い( ´艸`)
個人的には目と口を同じ楕円の中央に線を引いた表現の土面もあるので、女性器の抽象表現ではないかと思う。こちらは土面をモチーフにした自作オカリナ
 
外国のトイレで同じ表現の落書きを観たことがあり、これは女性器表現の世界共通認識ではないだろうか。
 
なんで目や口を女性器にする必要があるのかと問われたら、イノチを生み出す女性器を人智をこえた神の領域として崇め、再生や豊穣を予祝する呪術的表現ではないか?と説明はできるが、ホントのことは縄文人でないとわからないデス。
 
 
 

ワラシ発電で元気をチャージ!・・・黒部市立たかせ小学校の縄文遠足

2024年09月26日 07時27分19秒 | 縄文
能登の水害で心がふさぎがちな日々に一服の清涼感。
 
富山で先生をしているFB友達の本村さんの紹介で、富山県黒部市立たかせ小学校の遠足で、高学年70名弱を長者ヶ原遺跡ガイドした。
なぜか遺跡公園にドラえもんの石像があり、真実の口遊びをしてもらうのが恒例。
はじめての公立学校のガイドで不安だったが、前回は時間をもてあましたのに、今回は時間が足りないくらい楽しかったと好評と聞いて安堵。8畳間ほどの1号住居に36名がはいっても余裕ということが判明。
 
考古館のガイドは子供が飽きはじめるまでにして、遺跡公園での遊び方さえ教えれば、男子は「縄文式覚醒術」、「縄文式パンツ術」、昆虫採集、地面に這った蔓で綱引きしたりと元気いっぱい。
最初は一人が蔦を引っ張り、我も我もと人数がふえて綱引きになったが、先頭の女の子はホウバを振って応援していて、自然に役割分担がきまるのが微笑ましい。
 
一方、女子は木陰でおしゃべりに興じ、大騒ぎするおバカ男子を「体は6年生でも心は3年生だわいね」と越中弁で批評していたw
「縄文式覚醒術」で目覚めるにはノリのいい大人がいるのが条件。引率の先生が率先して面白がってくれた。
ホウバをつかった「縄文式パンツ術」で誇らしげにポーズ・・・卒業アルバムにつかってちょうだいw
 
キャーキャー走り回る子供に、「この元気をワラシ発電として利用できないものか?」と先生たちと話す。
 
先生方は児童にさん付けで名前を呼び、褒めて伸ばす方針らしく、怒鳴ったりもせずにこやかに見守っていた。担任と相性が良くなく鬱屈と過ごした我が小学生時代と隔世の感。
 
引率の先生が帰りのバスに乗るまで「縄文式パンツ術」をしたままだったので笑ったが、おとなしかった小柄な女の子が駆け寄ってきてぺこりと頭をさげ、振り返ってはぺこりと頭をなんども下げつつバスに乗っていった(´;ω;`)
 
能登ではこんな子供たちが大変な目にあっていると思うと・・・泣かせるわいね(越中弁)
 
おぢちゃんを元気つけてくれて感謝!また遭う日までごきげんよう。また元気を与えてくれっちゃ。
 
 
 

失敗した数だけ上手になりますナ・・・縄文オカリナ

2024年08月29日 16時04分04秒 | 縄文
京都の「民族楽器コイズミ」から、人気商品に育った縄文オカリナの在庫がないから大至急送ってほしいと連絡。ヒ~!
以前から気になっていたステンレス製バーベキューコンロを新調して焼成したら、その日のうちに紐付けとパッキングまでできた最速の焼成に成功!
鉄板付きのバーベキューコンロだったので、左右においた炭の間にオカリナをおき、鉄板をかぶせて熱が逃げないように炙り焼きしたことが時短の理由だ。コメリで最後のコンロだったのでちょっと値引きしてくれた。
オカリナが均一に焼き色がついたら鉄板をはずして通常の焼成。急激な温度上昇でオカリナを爆裂させないように時間をかけて炭を寄せていく。最初から最後まで藁などで覆う弥生時代の「覆い焼き」とはちがい、炙り焼き段階だけなので縄文オカリナと言っていいと思うw
風の影響を受けないのがよく、今回は様子見だったので次回はもっと時短できそうだ。
土器つくりは数をこなさないとダメで、年に数回しかしない仕事でも、やるたびに改善している。造形の面でも目の横棒をひいてから丸くする方法から、丸くしてから横棒を引いたほうが歪みの修正が少ないようだ。
 
 
 

ムフフとほくそ笑む遮光器土偶・・・縄文晩期の燻し焼き

2023年12月07日 07時43分31秒 | 縄文
十日町市の縄文女子、春奈嬢からプレゼントされた、土偶植木鉢に植えた多肉植物が活着したみたいで、元気そうだ。
黒いのは縄文晩期に盛行した燻し焼きで炭化させているため。焼き上がった時の土偶はハニワ色だが、熱いうちに葉っぱなどに包むなどして炭化物を吸着させていたらしい。
 
色ムラが大きく、部分的に樹脂っぽい塊りが付着して何度もやり直していた燻し焼きは、近所の製材所でもらったオガクズで炭化させていたのだが、巨大な製材ノコギリの油分と水分が色ムラの原因ではないか?と思うところがあり、建築会社「匠」の渡辺大工さんのオガクズに変えたら、いとも簡単に均一な黒になってくれた。
 
懸案事項が解消したこともあり、休憩時にムフフとほくそ笑んでいる。
 
 

カワイイは遊び心から・・・遮光器土偶の植木鉢

2023年11月10日 07時08分17秒 | 縄文
遮光器土偶をつくる人は沢山いるが、多肉植物が大好きな春奈嬢は、頭頂部を凹ませて植木鉢にしている。
頭のない遮光器土偶・・・常人では思いつかない発想だw
凹んだところに土をいれて植木鉢に。水抜き孔もあいている。
これはこれで完成度はあるけどネ。笹山遺跡で焼いてあげた時はハニワ色だったが、プレゼントされたので改めてイブシ焼きで黒くした。ちなみに縄文晩期に流行るのがイブシ焼きで、焼成後の熱いうちに有機物で炭化物を吸着させて黒くする技法。
多肉植物を植えたらトロピカルな土偶になった~( ´艸`)
 
光沢があるのは釉薬をかけているのではなく、焼成直後で水洗いした状態で夕陽に当たっているからで、乾いたらいい感じになるだろう。
 
見た人を楽しくさせるホッコリ感と問答無用のカワイイは、縄文女子の面目躍如。遊び心のある人に技量があると、とんでもないモノができる。
 
 
 

縄文遺跡にながれる瞽女(ゴゼ)唄がシミジミいい!・・・笹山遺跡で土器野焼き

2023年11月06日 07時22分16秒 | 縄文
火焔型土器の本場、十日町市の笹山遺跡マルシェで土器の野焼きに出向いた。
 
地元に同好者がいないのが淋しい限りだが、十日町にはガチな縄文好きの春奈嬢ががんばっていて、縄文式発火法ができる市民がいないということもあり、指導がてらの共同野焼き。
コロナ禍のイベント自粛で疎遠になっていた友人たち、瞽女唄ユニットと懐かしの再会して、野焼きしながら懇談。
右が春奈嬢の野首遺跡出土の火焔型で、実測図をみながらつくったとのこと。ついでに縄文オカリナも焼いた。
ちなみに瞽女(ゴゼ)とは盲目の女性旅芸人のことで、とくに大地主制度だった越後に多く、県内では城下町の高田と長岡(見附市含む)が本場だった。昔ながらに瞽女さんが出店ブースを門付け(パフォーマンス)をして集客していたが、これはいいアイデア。BGMは子供たちが遊ぶ声だけというのもシミジミしてよかった。
哀愁をおびたなかに滑稽味のある瞽女唄は、意外と縄文遺跡と相性がよかったことに感銘をうけた。
 
大音響で会話もままならない音楽フェスとも違い、市民の手作り感が和やかなでほっこり雰囲気を醸し出し、野焼き見学にきた人たちが話しかけてくるので居心地がいい。
十日町市博物館の学芸員諸氏も家族連れで遊びにきていて、縄文談義をじっくりできたし、実際に土器つくりの経験も豊富なようだから話が尽きず、市民活動を見守る行政マンといった構図がいいではないか。
県内の縄文遺跡での市民活動は中越地方が盛んで、行政主導でなく市民サポーターがボトムアップで動いているところが素晴らしい。ヒトあってこそ地域振興。