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縄文人(見習い)の糸魚川発!

ヒスイの故郷、糸魚川のヒスイ職人が、縄文・整体・自然農法をライフワークに情報発信!

三種の神器のなかで日本オリジナルは勾玉だけ・・・勾玉ってなんだろう?

2023年11月11日 08時04分36秒 | ぬなかわヒスイ工房
三種の神器のうち、八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)だけが非金属で日本オリジナルの祭器だと気付いたのは、「平成の大首飾り」を製作中のことだ。
金属器が渡来する縄文時代から勾玉はあったし、海外の勾玉の類例より歴史は古い。11月23日~26日に都内文京区根津の個展。製作期間はあと1週間。
北海道の高砂貝塚で見た、母子ともども亡くなった遺体に副葬された勾玉に思う処があり、勾玉の内実について考え続けているが、勾玉ってなんだろう?
副葬された勾玉は胎児そのものに感じる。縄文時代にしては珍しい深緑系のヒスイの綺麗な部分が使われている。
 
ニューアカデミーおじさんや、ユーチューバーみたいに「日本の霊性」「やばすぎる勾玉の真実」「実はすごかった縄文の祭器」なんてキャッチーな言葉で観念論を語る口はもたない。勾玉つくりの当事者として畏れ多さを感じるのだ。
 
つくればつくるほど難しくなり、わからなくなっていく。
弥生中期、古墳前期の勾玉の完成度に打ちのめされ、遠く及ばない拙さがもどかしい。
 

傍流のひとりごと・・・赤メノウの勾玉

2023年11月03日 07時25分45秒 | ぬなかわヒスイ工房
月末の個展にむけ、ヒスイ以外にも北海道で仕入れた赤メノウとアオトラの作品をつくりためているが、赤メノウに苦戦。
出雲のメノウ加工業者がテレビで、「勾玉つくりは完成に何日もかかります」と誇らしげに言っていたが、物は言いようだ。彼らは手研磨なしで自動のバレル研磨機に放り込んで大量生産しているから、何日もかかって当たり前。
 
今どきのメノウ装身具は、どこの業者もバレル研磨機が主流らしいが、わたしは手作業の研磨こそ勾玉つくりの王道と考えたい。バレル研磨のピカピカな光沢が好きになれないし、研磨で輝きを増してゆく過程が楽しいのネ。
 
しかしヒスイと同じ研磨だと研磨傷が残ったり、熱膨張ひび割れがおこるので、いまだ最善の加工法がみつからずに迷走中。メノウや水晶を研磨するためのシートも試したのだけど、高価な割に耐久性がなさ過ぎ。
赤メノウの勾玉といえば古墳時代だけど、前期はまだしも中期になると量産のためか粗雑だし形状が好みに合わないのでタカチも試行錯誤中。小さい勾玉ならぽっちゃりした現代風、中型以上のサイズは弥生時代の流麗な定形勾玉タイプが似合うようだ。
 
天然モノは深紅にちかい朱、オレンジ色、半透明に朱のマダラと、赤メノウといっても個体差はおおきい。色に個体差があると売りにくいから、真っ赤に染めた赤メノウが主流になった訳ネ。つまりは大量生産・大量販売が主流なのであって、わたしは湧き水がチョロチョロと流れている傍流もいいところ。
わたし好みはウルトラマンや金魚を連想する半透明に朱のマダラ。均一でないところが得難い個性と感じている。
 
主流があれば傍流は玉つくりの王道をゆく、と自分に言い訳しながら苦闘中デス。
 
 
 

北の縄文人が愛したアオトラは縦ジマにつかえ!・・・ヌカビラ川産のアオトラ(緑色岩)

2023年10月29日 07時00分35秒 | ぬなかわヒスイ工房
二風谷アイヌのKさんからアオトラをわけてもらった。アオトラはヌカビラ川に産出するシマ模様の緑色岩の通称で、北海道・北東北の縄文遺跡で磨製石器がつくられてきた石。
 
ちなみにKさんはアイヌ文化研究家でアイヌ初の国会議員となった萱野茂さんの従弟で、6年前の初対面の時など、うちで二週間ほどバイトしないか?といわれて面食らったが、萱野さんのご子息と酒席を設けてくれたり、アオトラ拾いに連れていってくれたりと、叔父のように思える優しい方。民映研のアイヌ文化の記録映画を観なおすと、若き日のKさんも写っていて和む。
最初に横ジマ模様の勾玉をつくってみたら、濃い緑色の部分がやわらかく、黄緑色の部分がかたいために滑らかな曲線にするのは困難ということが判明。
それならとやわらかい部分を掘り窪めて強調した石笛をつくったら、いい味わいになった。
その次は縦ジマで小型の磨製石器ペンダントとヤジリ形ペンダントをつくったらシンメトリックに仕上がった。
ヤジリ形や磨製石器のミニチュアのような石製装身具が出土することがあるが、かたいモノには霊力が宿る、鋭いモノは魔除けになるという民俗例があるので魔除けのペンダントであったのか?ミニチュアでなくとも実用のヤジリや磨製石器が土壙墓から出土することもあり、愛用品を死者と共にあの世に送ったものか、それとも魔除けの意味合いであったのか。ついでながらアイヌの民俗例では、あの世にモノを送る時はわざと傷つけたり壊したりする。
出土品も縦ジマ方向に原石を磨り切って磨製石器をつくっているようだ。アオトラは縦ジマ方向で加工せよという学び。横ジマの石斧を実際につかうと折れやすいだろう。
 
弱い部分と強い部分の組合せの妙で、加工しやすくも強靭な石斧をつくっていた縄文人の知恵に畏敬の念を抱く。
 
 

縄文スタイルはあるがままの色ムラを愉しむ・・・国産天然モノの赤メノウ

2023年10月28日 08時50分21秒 | ぬなかわヒスイ工房
北海道旅のいちばんの目的が赤メノウの仕入れだった。
今金の天然赤メノウ原石
 
現在の国産赤メノウは乱掘のために流通しておらず、流通しているのは濃い赤に染めたブラジル産が大半だ。均一さや安さを求め続けたから、外国産の染色赤メノウが国産の天然モノの市場を駆逐したこともある。
 
古墳時代の赤メノウ勾玉を大量につかった「平成の大首飾り」を依頼された時は原石の入手に困窮したが、運よく染める前のブラジル産を入手できたし、大正時代の研究書に薄い赤を焼くことで濃く変色させる江戸時代の技法があったとの記述を見つけたので、試行錯誤をつづけて成功して数を揃えた。
焼いて赤くする前はこんな状態
成功の確立は5割くらいで、割れたり染まらないのもあった。この時の苦労をおもうと今でも涙ぐんでしまう。
 
その時にアイヌの人々に松浦武四郎や、アイヌにとって道政150周年は祝祭なのか?と話を聞きたくて北海道を旅したのが6年前。
武四郎の導きとしか思えないのだけど、今金にある武四郎の史跡の隣家が、かって赤メノウの原石を販売していた高齢夫妻の家で、在庫をわけてもらったので「平成の大首飾り」に数点だけ加えることができた。
よりによって史跡の隣りが原石屋さんだったとは!
6年ぶりに今金の夫妻を訪ねたら、残念ながら都内の業者が根こそぎ買ってユニック車で持って帰った後だった。
 
それでもコンテナ一杯分を購入できた。これだけあれば古墳時代の遺物の複製を依頼されても大丈夫。
ちいさな欠片は超小型の勾玉をつくることにした。台になっているのが原石だけど、ずいぶんと違うでしょ?
 
国産の天然モノは色が均一でないところがいい。
わたしは均質を好まないから色ムラを個性ととらえる。全部が赤より一部だけの赤はカワイくない?
全体が同じ色もまたいいが、薬品で染めると色が濃くなるばかりか塗りつぶした感にいやらしさを感じてしまう、とわたしは思うのデス。
 
しかし自分で焼いて濃い赤に変色させる研究をしたことで気付きもあった。本来は半透明をした乳白色の部分が、加熱すると白濁化するのだが遺物にも白濁した赤メノウ勾玉があるのだ。
 
ということは古墳時代も、赤メノウ原石を焼いていた可能性があるということ。ただしそれは色を濃くするためではなく、原石を割り易くするためだと思う。すでに旧石器時代にはメノウを焼いて割り易くする技術があったしね。
赤メノウが拾えるという川を歩いてみた。大雨の増水で川の中に入れず、熊がでそうなので早々に退散。
岸辺にシプシプが群生していた。
 
和名は砥草(トクサ)で、紙ヤスリが普及する以前は開いた茎を板に張り付けてヤスリにしていた植物だ。アイヌは茎のまま木工用のヤスリにしていたので、手を動かすたびに茎がつぶれてシプシプと鳴るからシプシプと名付けられたそう。
 
ちょっと自慢になるが、わたしがアイヌの方々と話していると普通にアイヌ語名詞をつかうので、お主やるな!と思われるようだ。これは考古学者に質問する時も同じなのだけど、なにも知らない状態で質問するのではなく、調べた上で疑問を質問するのが大事だし、礼儀ということではないかな。
 
 
 

来客があいつぐ連休は土偶つくり・・・縄文オカリナ

2023年09月25日 07時00分02秒 | ぬなかわヒスイ工房
五月雨式に来客がある連休は、縄文オカリナつくり(粘土遊びw)が向いていることを発見した。
成形したばかりの土偶は生乾きできれいに施文できないので、適度に乾燥させてから施文!
 
来客の合間に土偶を成形したり、乾燥させたり、施文したりとメリハリができて好都合だ。
施文したら白くなるまで自然乾燥。あとは焼成ですねぇ。
記念撮影するお客さんもエビス顔、決めポーズ、オスマシ顔と様々で、孤独な作業に潤いをあたえてくれる。
夕方、工房を出たら「りすのへそくり缶」なる豆菓子が置いてあった。中で土偶をつくっていたので声をかけてくれればいいのに、誰が置いていったのだろう?
仕事中の気配がしたので声掛けは申し訳ないとおもったのかな。次回は縄文キャンプしよう!と盛り上がったよう。
 
糸魚川市出身で横浜在住の童話作家の小川英子さんも久しぶりに来訪。積もる話に夢中になって写真撮り忘れた。
 
 
 

勾玉を太陽に透かしてみれば・・・光の当て方、視点をかえて観る

2023年09月24日 08時42分28秒 | ぬなかわヒスイ工房
ヒスイ勾玉を逆光に透かすと別の顔が浮かび上がる。
 
だからヒスイは二度たのしんでくださいとお客さんに説明しているが、ブドウもまた然りで透けてみえたら食べごろ。
素人園芸の哀しさで、房ごと採ると甘い粒すっぱい粒とバラバラ。それでも最近は甘くなってきたな。
 
ヒトもまた逆光で別の顔が浮かびあがります・・・耳たぶと掌くらいしか透けないけどw
 
BSで放映中のドラマ「赤毛のアン」やアニメ「攻殻機動隊」なんかも、内面を物語らせる場面で逆光シーンが多用されているが、光りの当て方で印象はかわり、視点をかえると印象がかわる。
 
ヒスイ作品の写真撮影は難しいな。
 
説明的な写真を撮ると犯罪者の記録写真みたいになり、ヒスイがかわいそうだ。
 
縄文土器を自然光だけの手持ちカメラで撮って、世の中をあっといわせた岡本太郎なら、ヒスイをどう撮るか?
 
順光でも内部が透けてみえるような、芭蕉の俳句のように奥行きを感じる商品撮影をしたいもんだが・・・。
 
 
 
 

イヤリングの痛い!落とす!のお悩みにはシリコンカバーを!・・・ぬなかわヒスイ工房の勾玉イヤリング

2023年09月21日 06時51分13秒 | ぬなかわヒスイ工房
イヤリングを長時間つけていると痛くなる、留め金具が外れて紛失したという方に朗報。
 
この悩みをもつ女性ライターさんが、留め金具に浅草橋の「貴和製作所」で買ったシリコンカバーをかぶせたら痛くなく、落とさなくなったとウエブニュースで絶賛していたのデス。
ぬなかわヒスイ工房人気商品の「プルプルゆれる勾玉イヤリング」は、動くたびにプルプルする分、痛くなりやすくない?外れやすいのでは?と危惧しておりました・・・幸いなことに落としたという話は聞いてないけど。
 
シリコンは経年で黄ばむし、最初からシリコンカバーが付いているイヤリングの耐久性がわからなかったので使わなかったけど、誰でも工具なしで交換でき、互換性のあるカバーがペアで60円前後なら、最初から装着して売ることにした。
半透明のカバーを耳たぶの裏側にあたる留め金具にかぶせるだけ。人からは見えません!
 
プロ用のパーツ屋が軒を連ねる御徒町などで小売りしているし、百均でも売っているよう。ネットでイヤリング・シリコンカバーで検索すると通販サイトが沢山でてきます♪
 
シリコンカバーは中国辺りからの輸入品だと思うからどこで買っても同じかも知れないけど、どちらかというと貴和製作所はアマチュアのDIY用パーツが多くて品物がオゾイ(糸魚川弁で粗末・みすぼらしいの意味w)ので、わたしは信頼のおけるプロショップの「アップフェル」で買いました。
 
参考までに通販サイト「アップフェル」のシリコンカバーはこちら→https://www.apfel-shop.jp/c/earring/siliconcover/iska10
 
 
 
 

愛の交換はペア勾玉で!・・・「奴奈川姫と日本一の大ウス祭り」とBetter Half勾玉

2023年09月17日 07時36分46秒 | ぬなかわヒスイ工房
コロナで休止していた「奴奈川姫と日本一の大ウス祭り」が再開して、ヌナカワ姫と八千鉾神のコスプレをした新婚カップルが「古代のラブロマンス」を再現するセレモニーも復活。
例年通りにセレモニーでとりかわすペア勾玉の注文をいただいた。
「ペアにした勾玉」ならどこでもあるだろうが、わたしのは厚めの勾玉を縦にカットして「ペアにつくった勾玉」だから、ひと味違う・・・と思うw。
ペア勾玉「Better Half」誕生譚の説明文も添えて納品したら、担当者から「光沢がちがいます!キレイ!」と喜んでもらえてミッション終了。来年も注文ちょうだい( ´艸`)
ペア勾玉「Better Half」誕生譚の説明文も添えた。これがないと単なるペア勾玉と思われてしまうw
 
土産物屋で売っている勾玉と光沢がぜんぜん違う!と担当者は驚いておられたけど、これは自動のバレル研磨機やフェルトバフで「つけた光沢」ではなく、手研磨で「出した光沢」の違い。光沢の質がちがうのですぞ。
「紐孔の縁にあたる光が上品でやさしい・・・」とも言われるが、特殊工具でそうしているのではなく一生懸命に研磨するからこそ。一個の勾玉の厚みが6㎜しかないので「面取りした勾玉プレート」になり勝ち。薄くても奥行きを感じる立体造形とて成立させるのがプロの技!
 
考古資料や口碑などから個人的には、ヌナカワとイズモは「古代のラブロマンス」のような良好な関係ではなく、ヌナカワは「北陸のイズモ勢力」から支配下に置かれていたたと推測しているが、それとこれは別問題。地域を元気にしようというのだから喜んで協力する。
各人各様の歴史観、ヒトとカミの物語があっていいし、史実を元に派生して、経年変化してゆくのが伝説だと思う。
しかし個人が都合よく情報を切り張りしてつくった物語を、史実と断定して広めるのはアカンな。
 
 
 

 


ヒスイだけが糸魚川の石じゃないぜ、されども・・・緑色岩

2023年08月09日 07時08分18秒 | ぬなかわヒスイ工房
勾玉探偵の夏の研究成果は、緑色岩が青碧玉の代替品になり得るという気付き。
緑色岩で管玉をつくったので、試みに赤メノウと組合せたら「緑と赤のエクスタシー」という言葉を思いついて、バラスのはもったいないので当面はギャラリーに飾っておくことにした。
ヒスイじゃなくても魅力的な勾玉つくりの研究は、ヒスイならではの魅力の再認識となったのであったが、やはり人々がヒスイに託した想い、すなわち「ヒトとヒスイの物語」は文化というものであって、希少鉱物の価値とは次元が違う。やっぱりネ。
ヒスイだけが糸魚川の石ぢゃないぜ!ヒスイこそ縄文以来の日本を代表する石だぜ!
 
数あるなかからヒスイを尊しと選んだ縄文人ってエライなぁと思う。その縄文人がオラたちの俺たちの先祖というのは誇りだぜ!
 
 
 
 

青碧玉の代替品を発見したので博物館の仕事くださ~い!・・・緑色岩

2023年08月07日 07時10分21秒 | ぬなかわヒスイ工房
緑色岩が青碧玉の代替品になりそうなことを発見!
左は北部九州の定形勾玉、右が出雲の真名井の勾玉モデルで、上が使用原石。原石と勾玉を見比べた来客が、「この石がこんなキレイな勾玉になるの!」と驚いていたので、「仕事ですからっ!」とクールに答える。イエイ!
 
6年前に「大首飾り」の複製を依頼された際、大量に使われている出雲石(出雲産の青碧玉)が高価すぎて入手できず、運よく外国産の代替品をみつけて納品したのだが、珪質化(ガラス化)が甘い上に色も濃すぎるところが気に入らなかった。
そこで糸魚川産の緑色岩で勾玉を試作してみたら、白い脈(曹長石?)と黒い脈(角閃石?)のシマ模様がはいるものの、こちらの方が青碧玉の色に近いではないか。
流麗な姿をもつ定形勾玉。顎部が胴部に入り込む独特の形状がほほ笑んでいるように感じる。モデルにしている実物は考古学の専門家にもファンが多いようだ。
 
これで出雲産の勾玉や管玉の複製依頼があっても対応できるので、博物館方面の考古学の先生方、仕事くださいw
今日は管玉を試作。