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縄文人(見習い)の糸魚川発!

ヒスイの故郷、糸魚川のヒスイ職人が、縄文・整体・自然農法をライフワークに情報発信!

或るご婦人のヒトとヒスイの物語・・・糸魚川翡翠展2022

2022年12月08日 07時37分57秒 | ぬなかわヒスイ工房

個展2日目、昨年の個展で勾玉ペンダントをお求めになったご婦人が、ブレスレットに仕立て直して毎日身に着けています!と見せてくれた。

歩きながら、バスに揺られながら、指で撫で、掌でにぎにぎして愉しんでいるそう。絹紐の色や太さ、長さの調整など、工夫も愉しかったのではないだろうか。

 

自分がつくった勾玉が大事にされている、愛されている・・・泣けてくる。

5億年前に誕生して、太古の地殻変動で地上に露頭したたヒスイが崩落して川に流れ、砕けて磨かれ誰かに拾われた。
 
そのヒスイを売った人、買って勾玉に加工した人がいて、根津のギャラリーで買い求めたご婦人が、自分好みにカスタマイズして毎日にぎにぎしている、ヒトとヒスイの物語。
 
ヒスイは時を流れて物語を運ぶ舟のように感じる。ヒトもまた物語を運ぶ旅人。希少鉱物というだけで尊いんじゃない。
 
ヒスイに出逢って心を動かされたヒトがいてこそ、物語が生まれる。
 
本居宣長はその心の共鳴を「もののあわれ」と定義し、松尾芭蕉はヒスイ原石が勾玉に生まれ変わることを「造化」と呼んだ。
 
トークイベントではそんな話もできたら幸い。
 
 
 

出土した黒ヒスイの謎、秋田真介さんの間・・・糸魚川翡翠展2022

2022年12月07日 09時45分31秒 | ぬなかわヒスイ工房

個展初日、夜になってから依頼品の打合せを兼ねて、大麻飾り師範の秋田真介さんが来場。

整体や武術、茶道などの日本の技芸にみられる「間」や「呼吸」についての談義で盛り上がる。
今年から作品を桐箱にいれるようにしたら、会場がスッキリした。
開店時間前からギャラリー前で待っていたお客さんがいて、有名な占い師から「勾玉を求めるなら、ぬなかわヒスイ工房のものを」と教えられてきたのだそう。ご紹介いただいた占い師さんはどなたか存じませが、謹んで御礼を申し上げると共に、今後も紹介してチョウダイ!とお願い致します( ´艸`)
 
 
秋田さんも「間に」ついて思う所があり、文章の句読点について英語のピリオドのように黒丸ではなく、日本語は白丸で中空であり、これは文章の間であり、呼吸なのだという独自説に感心した。
 
大麻を結んでいくとき、「そこで句読点の白丸をつけてください」と、間の重要性を教えているのだそうだ。響く教え方で流石!と唸る。
さて、ちいさな黒い勾玉に注目して欲しい。頭部が深緑で尾部が黒いツートンカラーで、透過光は鮮やかな緑色になるタイプのヒスイだ。
 
「大勾玉展」で6世紀の軍配山古墳から出土した、丁子頭勾玉が出土品にしては珍しい黒ヒスイで、こちらもネット検索したら透過光は緑色であるらしい。
 
某所で研究者から鑑定の相談を受けた、やはり6世紀の古墳から出土した黒ヒスイ勾玉も緑色の透過光だった。
 
ところがですな、黒ヒスイはカーボン由来の発色なので透過しないのが普通なのですネ。そこで黒ヒスイといっても緑色の透過光を持つ場合は、厳密には深緑色のロウカン(最上級のヒスイ)に何がしかの理由で黒っぽくみえているのでは?古墳に副葬された黒ヒスイ勾玉は黒ではなく濃い緑と認識されたいてのでは?と仮説をたて、詳しい人に聞いて回っているが、まだ結論はでていない訳。
 
勾玉、ヒスイと深掘りするとわからないことばかり。
 
明日から、そんな謎を語るトークイベントが三日連続であります。参加者とセッションできたら幸い。
 
 
 

われは海の子・・・親父の四十九日と糸魚川翡翠展2022年

2022年12月04日 07時24分33秒 | ぬなかわヒスイ工房
海のみえる地区の共同墓地に納骨して、親父の四十九日の法要を終えた。
 
現在は往時の面影はないが、かって前の浜は野球ができたくらい広い砂浜で、子供のころからの遊び場、先祖が塩田の権利を持っていた浜、漁りをした浜、「けんか祭り」で禊をしてきた浜。親父もオレも「われは海の子」そのままだった。現在はヒスイ海岸と呼ばれている。
墓地のむこうはすぐ海。親兄弟や近所の人達もみんな入っているし、子供たちの遊び場でもあるので、淋しがりやの親父も満足だろう。
 
通夜、告別式に続いて、四十九日も悪天候の合間の晴天だったので、「ほらや、見ろっちゃ!」と親父の得意満面が浮かぶ。
今朝は強風・曇天。これから冬の到来を告げる時雨模様が続いて、二週間後くらいから雪が降りだすだろう。
 
今回からすべて桐箱に入れることにしたら、やはり作品の風格が増した。
個展の作品を発送した。オレも新たな世界に踏み出した。佳きかな佳きかな。
 
 
梱包作業の合間に友人が女性客を見学に連れてきたので、作品群の反応をうかがう。カワイイ!キレイ!と満更でもない様子だ。
ピンクヒスイと緑のヒスイの丸玉を使ったカンザシを観てもらって、次回作は黒ヒスイの丸玉もいれて「だんご三兄弟カンザシにしたらウケるんじゃね?」と探りを入れたら、「女性はそこを求めてないからっ!」と塩対応・・・勉強になりました( ´艸`)
 
 
体力の限界を超え、精神の限界も超えた作品作りの日々。最後の作品を作り終えた時、残っていた空気がパフッと洩れた感じがした。できること、やるべきこと、やりきった。
 
 
 

 


都内にて個展のご案内!・・・ぬなかわヒスイ工房

2022年12月01日 06時57分02秒 | ぬなかわヒスイ工房
個展のご案内です。
期間中は在廊しております。懐かしい顔、新しい顔にお逢いすることが楽しみ。
 
過去2回の個展の経験を踏まえ、作品や展示方法も土俗的な雰囲気から、ギャラリーに合わせて、ちょっとだけお洒落な雰囲気にシフト。
 
お話会もありますので、興味のあるかたは下記URL「オフィスTEN」のホームページをご参照くださいませ

ヒスイ文化の内実とは?・・・復古調の勾玉首飾り「ヌナカワ姫シリーズ」

2022年11月26日 10時53分51秒 | ぬなかわヒスイ工房
色とりどりのヒスイを連ねた、復古調勾玉首飾り「ヌナカワ姫」シリーズを開発。
お世話になっている大学の先生から、管玉や切子玉をつかうと古物と偽って転売される恐れがあるので注意!とアドバイスを頂いていたが、ウッドビーズなら大丈夫・・・ですよね(笑)
糸魚川ヒスイは地味だから、貴金属とコラボした作品でないと海外に売れないと考える地元経済人に、糸魚川ヒスイをエメラルドの代替品のように捉えるのも、海外の富裕層をターゲットにする発想も再考して欲しいと切に願う。
エメラルドやダイアモンドで作った勾玉に魅力があるのか?内実があるのか?
 
海外に勾玉の類型はあるにしても、日本と同じ意味なのか?
 
魏志倭人伝や古事記より古い、勾玉の記述が海外にありますか?
 
だからこそ糸魚川ヒスイの魅力を発信するなら、勾玉なるものの可能性を探ってはいかが?
 
ヒトとヒスイの物語とは?それは希少鉱物としての物理面のみならず、歴史的なヒスイの価値であり、ヒスイなるものの内実、すなわち文化というもの。
 
だから私は勾玉を深掘りする。まだまだ可能性はあると思う。
 
 
 

北斎に学ぶ「こだわらない」流儀・・・2022年11月時点の古代風の勾玉首飾り

2022年11月20日 22時52分13秒 | ぬなかわヒスイ工房
昨年に商品化した「古代風首飾り」は、ありそうでなかった新しい勾玉の仕立て方との反響はあったが、なにか腑に落ちないところがあった。
8㎜玉の時代
 
最初は勾玉の間に直径10㎜のウッドビーズをはさんでいたので、8㎜、6㎜と小さくしていったらスッキリしてきたが、ここまでに1年かかって変化している。
 
12月に個展が決まったので、さらなる改善をと丸玉の両端に細長いソロバン玉も入れてみたら、かなり具合がいい。
5㎜玉に変えて、管玉かわりにソロバン玉を追加!本当は弥生時代の首飾りのように、青碧玉の管玉や水晶の切子玉をいれればいいのだが、お世話になっている某大学教授から、購入者が古物と偽って転売する恐れがあるから売っちゃダメ!と釘をさされておるのです(笑)
もっとよくなりそうだぞと、最小サイズの5㎜玉を取り寄せ、木綿紐の太さも変えて組み替えたら大正解だった。
勾玉を魅力的に仕立てるのは、音楽でいったらアレンジに相当する仕事。
 
これで一応の完成はみたが、それも現時点ではという意味で、来年は変わっているかも知れない。
 
往年の名曲も時を経て、アレンジを変えて歌い継がれていくのと同じだが、わたしは北斎の浪の描き方の遍歴を思う。
 
30代のころの北斎は、線描だけで「お化けのQ太郎」が並んでいるような躍動感のない浪を描いていて、巧いとは言い難い。
しかし何十年もかけて浪の躍動感を追求し続け、70代にして「神奈川沖浪裏」にたどり着き、躍動感のみならず、浪の透明感や絵画の物語り性を描くことに成功している。
 
つまりは北斎という人は、評価や技法に「こだわり」のない人で、現状に満足せずに高みを目指し続ける求道者であり、これが数ある号のひとつである「画狂人」たる所以だ。
 
北斎が「こだわり」のある人だったのなら、西洋絵画の技法をとりいれたり、「神奈川沖浪裏」の浪の青に、伝統的な「群青」を使わず、当時は輸入品で高価だった、化学合成顔料の「プルシャンブルー」で描いた説明がつかないではないか。
 
「こだわり」とは、現状維持の状態と私は捉える。古武術の用語なら、動けない・固定化しているという意味の「居付いている」状態。
 
成功体験にとらわれず、もっとよくなるのでは?と満足することはないから、ヒスイ加工法は固定的ではなく、毎回のように違う。
 
「古代風首飾り」が、今後どうなっていくのか、わたしにも予測がつかない。だから面白い。
 
 
 
 

ちいさな水滴ピアス・・・ついに桐箱使用に舵をきる

2022年10月22日 08時23分39秒 | ぬなかわヒスイ工房
水滴をイメージした直径5㎜のスタッグ・ピアスをつくるきっかけになった地元女性に完成品を渡した時に、超カワイイ!桐箱にいれるとぜったい売れますよう!とアドバイスを頂いていた。
 
初心者のころ来客が買い求めた、うやうやしく桐箱に納められた、切削傷がのこったままの未熟な加工の勾玉をみせられて愕然としたことがあって、自分は容れ物で価値を演出するより、作品の内実で売れるようになりたいと桐箱使用は棚上げにしていた。
 
加工を始めてから10年、作品の内実で勝負しますと自分流を貫く時期を経て、桐箱にいれるに相応しい作品と評価されるようになったということか?客観的な立場の人の意見は貴重だ。
 
売るプロの滝沢泰平さん夫妻が遊びにきた時に相談したら、やはり桐箱にいれた方が絶対にいいというアドバイスをもらい、桐箱の使用へと舵をきることにした。
 
とりあえずは既製品の桐箱をつかって台紙を自作してみたが、もっと小さい桐箱のほうが作品の小ささが際立つし、外した蓋の置き場所に困る「インロウ蓋」より、外した蓋を箱に入子にできる「被せ蓋」の方がいいよなと、業者に見積依頼をした。
 
焼印も柔らかくて焦げやすい桐箱用に、温度調整の工夫をする必要がある。工房の改装工事も同じ想いで始めたことだが、古い殻を破って脱皮する時期だ。
 
 
 

「本気の背守」誕生・・・友人がつくったヒスイと大麻を組合せたクールジャパンの首飾り

2022年10月20日 08時09分31秒 | ぬなかわヒスイ工房

上越市の友人が、昔からある素材を組み合わせて、これまで何処にもなかったアクセサリーを「創った」

商品名は「本気の背守」で、作者は高田の町屋民泊「仲六青苧のいえ」の主の原りささん。

ヒスイは地味だから、海外に売るには貴金属をつかって外国の富裕層に好まれる商品開発を!と、糸魚川の経済人はいう。
 
しかし宝石の土俵でのヒスイは「半貴石」であって、同じ緑色の「貴石」のエメラルドに劣り、しかも鉱山で採掘されるエメラルドやミャンマーヒスイと、海岸で拾う糸魚川ヒスイとでは競争力で歯がたつ訳はないのだ。
 
求めて得るし玉かも、拾いし得る玉かもと万葉人に詠われたヒスイを「海外の富裕層に売る」のではなく、「ヒスイの歴史的魅力と文化的価値を発信してください」と経済人たちに訴え続けてきたが、友人の「本気の背守」はその点で画期的ではないか。
和服の背中の真ん中は縦の縫い目があるが、縫い目は魔を睨み返す文字通りの目であるとする文化が日本にあった。
 
ところが乳児の着物は反物1枚で作られ、背中に縫い目がないから、セイマンやドウマン、麻の葉などの吉祥文様を刺繍して魔除けとした。これが「背守」だ。
 
これぞ松尾芭蕉の唱えた「不易流行」をカタチとし、海外の人々に紹介したいクールジャパンのアクセサリーではないか。
 
友人は大麻だけでなく、越後上布の素材であり、国内最古の繊維もあるカラムシを栽培から繊維化、アクセサリーにするまでの活動もしていて、昨年の個展ではヒスイと組合せた作品の評判はよかった。
 
「古代の繊維とヒスイを組合せた首飾り」から、「文化的な背景のある首飾り」に発展させた。これは個展の目玉にせねばならんだろう。
 
 
 

勾玉つくりを再開・・・ぬなかわヒスイ工房改装プロジェクト

2022年10月12日 07時14分38秒 | ぬなかわヒスイ工房
ほぼ半年ぶりに勾玉つくりは3日目で疲労困憊、立ち眩みするようになったので、今日は休養をかねて改装工事。
改装工事は休みなしでもこんなことにはならないのに、わたしにとっての勾玉つくりはやはり特別で、非日常の時間軸で流れていくようだ。
新しくつくった集塵システムの具合はいいし、BS-NHK「美の壺」を観て閃いた異業種の加工法をヒスイ加工に応用してみたら、改良の余地はあるものの及第点で今後が楽しみだ。
複数の勾玉を連ねた「古代風首飾り」も、これまでヒスイと同じく鏡面仕上げを目指していた姫川薬石やピンクヒスイを、多孔質な石材なりの自然な風合いを引き出す加工を目指す方針転換。
勾玉を単品で売るより、首飾りに仕立てて売るほうが楽しい仕事で、写真撮影も一度で済むから楽といえば楽。
 
休業中に頂いた注文品はまだ残ってるが、作りたい作品や試したいアイデアが溢れでてくる。
 
 
 
 

外壁DIYは専門店のガルバリウム鋼板の角波トタンがオススメ・・・ぬなかわヒスイ工房改装プロジェクト

2022年10月08日 09時01分15秒 | ぬなかわヒスイ工房
冬の到来をまえに外壁が張り上がって一安心。
玄関なのにのっぺりした印象だけど、年内はこれでカンベンしてもらう(笑)来年は雪国の雁木(がんぎ)のようにテラスを作る予定。
裏通りに面した外壁は解体材の転用だが、玄関まえだけ専門店のガルバリウム鋼板の角波トタンにしたのは、ホームセンター品だと寸法が半端になって大量の金属ゴミが出るし、カットに無駄な時間がかかるから。左の面は新品のガルバリウム鋼板の角波トタンで、他は解体材の転用。
 
専門店は素材ロールを切って、要望通りの寸法に作ってくれるのだ。
 
素人が専門店に行くのは勇気がいる・・・恐る恐る国道沿いの伊藤金物さんを訪ねた(笑)
しかし建材のラックさんや、材木のランバー羽入さんがそうであったように、予想外に親切に相談に乗ってくれた。忙しいから無理!素人は相手にしない!なんて追い払われるかと覚悟はしていた(笑)
 
専門店は品質が良い分、ホームセンターより高いのではないか?実はそうでもなかった。
 
ホームセンターのガルバリウム角波トタンは、600㎜の幅(いわゆる働き幅)で厚みが0.25㎜で無塗装品、運搬は自分でしなければならない。
 
対して伊藤金物さんは400㎜の幅と狭いが、厚みが0.35㎜の裏表ともに塗装品、配達は無料で、同じ長さだとホームセンター品と同等くらいの値段!
 
幅こそ狭いが、厚みが0・1㎜違うだけで重さと頑丈さがずいぶんと違うし、塗装品だから耐久性も格段に違う。また幅が200㎜狭い分、ひとり作業はやり易かった。
 
どの色でも値段は同じとのことなので、モスグリーン色を選んだ。
 
因みにホームセンター品は無塗装なので5年の耐久年数。専門店のは15~20年はメンテナンスフリーだろうから、15年目くらいにもう少し明るいモスグリーンに塗装予定。
 
YouTube動画で外壁DIYを参考に観たら、大抵はホームセンターで買った万能ハサミで長さと幅をカットして、ギザギザデコボコになっているようだけど、効率よく、綺麗に仕上げたかったら建築金物店で「ヤナギ刃ハサミ」「波板ハサミ」「つかみ」を購入した方がいい。セットだと1万円くらいの投資。
左からヤナギ刃、波板、ツカミ。ツカミは折り曲げたり、カットなどで歪んだ板金を補正する時につかう道具。
 
本当は角波トタン用のハサミが売っているのだけど、持っていた波板トタン用の波板ハサミとヤナギ刃、デイスクグラインダーを併用したらなんとかなった。
 
あと波板トタンより角波トタンの方が、素人でもピシャリと張れるのでDIYに向いていますな。波板トタンをビス止めすると波が潰れて寸法が伸びたり、上下で幅寸法にズレが出たりする。
 
DIYしたい人、まずは地元の専門店に相談しましょう。ネット通販やホームセンターにはない恩恵はいっぱいあるし、安物買いの銭失いになる心配はないよ。