デイリー句会入賞発表

選者 高橋正子
水煙発行所

互選高点句/6月1日

2006-05-30 02:03:57 | Weblog
29名の方々から87句の投句があり、23名が互選に参加されました。
以下、6月1日投句分の互選最終結果です。同点は投句者名五十音順となっています。

【最高点/14点】
◎牛の瞳に佇つ我ありて夏の牧/志賀たいじ
【次点/12点】
○麻のれん掛けて玄関開け放つ/野田ゆたか
【9点/同点3句】
○万緑の宇治の吊り橋風奔る/甲斐ひさこ
○病臥の眼青きを映し五月行く/かわなますみ
○ことごとく植え終えし田に月残る/竹内よよぎ
【8点】
○茄子苗の支えゆったり藁で結う/宮地ゆうこ
【5点/同点2句】
○六月来る植わりしものの確として/小川美和
○絹豆腐買って六月来たりけり/堀佐夜子
【4点】
○足跡を新たに重ね田草取る/安藤かじか


互選最優秀句(コメント付き)は2点、並選(コメント無し)は1点として集計しています。互選をされていない方の得点は無効となっております。間違い等ございましたら、お知らせください。(集計/臼井虹玉)

互選高点句/5月31日

2006-05-30 02:02:30 | Weblog
25名の方々から75句の投句があり、25名が互選に参加されました。
以下、5月31日投句分の互選最終結果です。同点は投句者名五十音順となっています。

【最高点/16点】
◎版木彫る刃先に触るる五月光/野田ゆたか
【次点/13点】
○杭打てば万緑木霊を返し来る/ふるたけいじ
【11点】
○軽く爆ぜえんどうの蔓燃やされる/碇 英一
【10点】
○逆さにも振りもしてみてラムネ瓶/臼井虹玉
【8点】
○麦藁帽透く陽と影を一日連れ/池田加代子
【7点/同点2句】
○あおぞらに曖昧ないろ梅雨近し/臼井虹玉
○万緑のかぶさる川の深みどり/大給圭泉
【6点】
○青笹の葉擦れさやさや五月行く/志賀たいじ
【5点】
○一列に窓向くカフェ若葉雨/かわなますみ
【4点/同点2句】
○新緑の奥へ奥へと奥比叡/黒谷光子
○万緑をくぐりくぐりて湖あかり/大給圭泉


互選最優秀句(コメント付き)は2点、並選(コメント無し)は1点として集計しています。互選をされていない方の得点は無効となっております。間違い等ございましたら、お知らせください。(集計/臼井虹玉)

互選高点句/5月30日

2006-05-30 02:01:05 | Weblog
24名の方々から72句の投句があり、22名が互選に参加されました。
以下、5月30日投句分の互選最終結果です。同点は投句者名五十音順となっています。

【最高点/13点】
◎吊らるるを待たず風鈴鳴り始む/安藤かじか
【次点/12点】
○麦を焼く紫煙を通園バスが来る/おおにしひろし
【10点】
○粗挽きのコーヒー所望若葉風/野田ゆたか
【8点】
○夏の雲クレーンが伸び切っている/堀佐夜子
【7点】
○アマリリス四方狭しと今朝の庭/大給圭泉
【6点/同点2句】
○青笹に江戸前寿司の威勢よく/大山 凉
○夏の月介護ベッドの沈む音/かわなますみ
【5点/同点3句】
○かずら橋広がる青葉の陽の中に/池田多津子
○姫女苑つぎつぎ咲かせ五月ゆく/おおにしひろし
○夕焼けに老いの口笛鳴らぬなり/志賀たいじ
【4点/同点4句】
○Tシャツの腕に日焼けの少しあり/碇 英一
○サルビアの赤を朝日に向けて植う/今村七栄
○ダムとなる峪に野ばらの咲き盛る/甲斐ひさこ
○粥ひと匙もうひと匙や夏の雲/宮地ゆうこ


互選最優秀句(コメント付き)は2点、並選(コメント無し)は1点として集計しています。互選をされていない方の得点は無効となっております。間違い等ございましたら、お知らせください。(集計/臼井虹玉)

互選高点句/5月29日

2006-05-30 01:49:23 | Weblog
23名の方々から69句の投句があり、24名が互選に参加されました。
以下、5月29日投句分の互選最終結果です。同点は投句者名五十音順となっています。

【最高点/22点】
◎湧き上がる雲高々と五月行く/碇 英一
【次点/13点】
○粗塩の清らに梅の実を隠し/宮地ゆうこ
【12点】
○雨脚の見える明るさ麦の秋/篠木 睦
【8点】
○中空の雲は動かず桐の花/黒沼風鈴子
【7点】
○夏草や峠に古りし石畳/今村七栄
【6点/同点3句】
○ポタージュにそら豆淡き色となり/臼井虹玉
○湯気の揺れ香りも揺れて新茶飲む/大給圭泉
○葉桜のトンネル揺らし鼓笛隊/中村光声
【5点/同点3句】
○十薬の花青いグラスに挿してみる/祝 恵子
○夏掛と風にくるまり寝返りす/かわなますみ
○からからと帆立剥かれて貝の嵩/志賀たいじ
【4点/同点2句】
○新しき桧皮大社の若葉風/黒谷光子
○雨垂れを急がす梅雨の庇かな/下地 鉄


互選最優秀句(コメント付き)は2点、並選(コメント無し)は1点として集計しています。互選をされていない方の得点は無効となっております。間違い等ございましたら、お知らせください。(集計/臼井虹玉)

互選高点句/5月26日-28日

2006-05-30 00:28:07 | Weblog
33名の方々から99句の投句があり、30名が互選に参加されました。
以下、5月26日-28日投句分の互選最終結果です。同点は投句者名五十音順となっています。

【最高点/13点】
◎綿シャツの腕にさらりと衣替え/岩本康子
【次点/12点】
○一斉に色を尽くすや園の薔薇/甲斐ひさこ
【9点/同点2句】
○ひなげしや夕べの風に逆らわず/小口泰與
○竹の皮脱ぐ竹林の色となり/渋谷洋介
【7点/同点3句】
○手庇の中の一湾朝の凪/篠木 睦
○妻の忌や遺影に映る沙羅の花/下地 鉄
○フルートに少女の夏の息づかい/安丸てつじ
【6点】
○大地背に仰ぐ満天夏の星/池田多津子
【5点/同点2句】
○つややかに炊かれて母の煮伽羅蕗/臼井虹玉
○さみだるるパリの絵柄の傘さして/甲斐ひさこ
【4点/同点7句】
○降り止まぬ雨に白濃く山ほうし/碇 英一
○キャンプファイアー黒き大樹の中空に/池田多津子
○開場へ傘の華やぐ走り梅雨/今村七栄
○青萱の切っ先にある夏の空/おおにしひろし
○蜘蛛の糸しずく煌めき葉を渡り/大山 凉
○緑陰に木の椅子二つ風の道/篠木 睦
○雨雲が近ずく庭のアマリリス/堀佐夜子


互選最優秀句(コメント付き)は2点、並選(コメント無し)は1点として集計しています。互選をされていない方の得点は無効となっております。間違い等ございましたら、お知らせください。(集計/臼井虹玉)

互選高点句/5月25日

2006-05-23 01:25:31 | Weblog
26名の方々から78句の投句があり、22名が互選に参加されました。
以下、5月25日投句分の互選最終結果です。同点は投句者名五十音順となっています。

【最高点/13点】
◎枝のまま葉のまま届くさくらんぼ/黒谷光子
【次点/10点】
○サーフィンの声聞ゆるや大南風/篠木 睦
【7点/同点2句】
○代田掻くつぎつぎ雲の水を走り/おおにしひろし
○我が家では五本で足りる瓜の苗/野田ゆたか
【6点/同点3句】
○噴水に玩具のこして母許へ/今村七栄
○早乙女の暮れゆく刻も惜しみけり/河ひろこ
○朝風の網戸をぬけて厨まで/宮地ゆうこ
【5点/同点2句】
○どくだみの日陰に咲きて花白く/大山 凉
○芍薬の見上げる高さ空を染め/大給圭泉
【4点/同点5句】
○花樗開かずの踏切り鳴り通し/碇 英一
○草笛を吹いて童心よみがえる/おおにしひろし
○サラダ盛り新玉葱の白透ける/小川美和
○花冷えや薄漁の網洗う音/志賀たいじ
○しべも反る花びらも反り皐月咲く/ふるたけいじ


互選最優秀句(コメント付き)は2点、並選(コメント無し)は1点として集計しています。互選をされていない方の得点は無効となっております。間違い等ございましたら、お知らせください。(集計/臼井虹玉)

互選高点句/5月24日

2006-05-23 01:25:04 | Weblog
25名の方々から75句の投句があり、24名が互選に参加されました。
以下、5月24日投句分の互選最終結果です。同点は投句者名五十音順となっています。

【最高点/15点】
◎握り返す力がうれし麦の秋/宮地ゆうこ
【次点/8点/同点3句】
○枇杷の実のまだ青々と固かりき/碇 英一
○図書館の窓に新緑触れにけり/河ひろこ
○風鈴の一つが家居の音なるか/下地 鉄
【6点/同点4句】
○川蜻蛉早瀬の風に揺らめきて/安藤かじか
○五月雨れてのち夕焼けて花薊/おおにしひろし
○ポプラ揺る枝のみどりを膨らませ/志賀たいじ
○白薔薇の風よく透ける母の家/大給圭泉
【5点/同点3句】
○雨上がり宮の若葉のふくふくと/今村七栄
○田水引く杜若咲く泉から/おおにしひろし
○田植ゑ済み水やはらかき風の中/小西 宏
【4点/同点3句】
○枕辺の薔薇わが息に合わせ散る/かわなますみ
○古九谷の青の清さよ花菖蒲/篠木 睦
○耳立てる犬の鼻先夏つばめ/長岡芳樹


互選最優秀句(コメント付き)は2点、並選(コメント無し)は1点として集計しています。互選をされていない方の得点は無効となっております。間違い等ございましたら、お知らせください。(集計/臼井虹玉)

互選高点句/5月23日

2006-05-23 01:24:29 | Weblog
28名の方々から84句の投句があり、24名が互選に参加されました。
以下、5月23日投句分の互選最終結果です。同点は投句者名五十音順となっています。

【最高点/13点】
◎新緑の道果つところ湖展け/野田ゆたか
【次点/12点】
○滾つ瀬の石の丸みに川蜻蛉/今村七栄
【9点/同点2句】
○藻のなかの琉金大きく尾を揺らし/飯島治蝶
○明け易し今日を確かむ指体操/志賀たいじ
【8点】
○万緑の力溢れて街包む/大山 凉
【7点】
○ぼうたんの花に添え木の隠れおり/小口泰與
【6点】
○薫風に添われみどりご現し世へ/かわなますみ
【5点/同点2句】
○尺蠖の高きを探る大背伸び/安藤かじか
○発掘は郡衙の遺跡夏つばめ/澤井 渥
【4点/同点3句】
○目薬の沁みてひろがる夏の明け/志賀たいじ
○俎板に水を流して初鰹/篠木 睦
○大空を呑み込む滝壺谺せり/大給圭泉


互選最優秀句(コメント付き)は2点、並選(コメント無し)は1点として集計しています。互選をされていない方の得点は無効となっております。間違い等ございましたら、お知らせください。(集計/臼井虹玉)

互選高点句/5月22日

2006-05-23 01:23:59 | Weblog
25名の方々から75句の投句があり、24名が互選に参加されました。
以下、5月22日投句分の互選最終結果です。同点は投句者名五十音順となっています。

【最高点/14点】
◎ドクダミの匂いで終わる庭仕事/ふるたけいじ
【次点/10点】
○青葉潮ひかり眩しき桜島/大山 凉
【9点】
○団扇をばお風呂上りの手に渡す/堀佐夜子
【8点/同点3句】
○時計台はるか青嶺へ五時を指す/おおにしひろし
○車椅子も白衣も止まる燕の巣/かわなますみ
○墓へ行くだけの吊橋ほととぎす/篠木 睦
【5点/同点2句】
○道問えば訛り床しき田植え人/今村七栄
○緑陰に歓声上がる紙相撲/中村光声
【4点/同点6句】
○苑に入れば若葉の風の柔らかし/祝 恵子
○麦稈の香を吹きおろし棚田刈る/おおにしひろし
○五月晴れ軽く眉引き朝はじむ/甲斐ひさこ
○あめんぼう水輪四つを連れ泳ぐ/澤井 渥
○山なみを映して湖の朝凪て/篠木 睦
○背に風のあるごと母の夏衣/宮地ゆうこ


互選最優秀句(コメント付き)は2点、並選(コメント無し)は1点として集計しています。互選をされていない方の得点は無効となっております。間違い等ございましたら、お知らせください。(集計/臼井虹玉)

■□最優秀/5月22日-28日

2006-05-22 09:44:25 | Weblog
■高橋正子選
【最優秀/5月28日】
★蜜豆の匙短しや笑い声/河ひろこ
蜜豆を食べながらの笑い声。「匙短しや」が表すのは、蜜豆に添えられた匙もあまり長さなどにはこだわらない、ごく庶民的な店の様子。それだからこそ、気兼ねなくおしゃべりし、笑い声があがる庶民の生活のたのしさが詠まれた。(高橋正子)

【最優秀/5月27日】
★一斉に色を尽くすや園の薔薇/甲斐ひさこ
薔薇園の薔薇が、一斉に花を開いて、みごとな光景。「一斉に色を尽くす」は、今を盛りに咲く薔薇の花の最も美しい時を捉えている。(高橋正子)

【最優秀/5月26日】
★ひなげしや夕べの風に逆らわず/小口泰與
ひなげしが夕べに風になびいている。「逆らわず」には、ひなげしの可憐さ、しなやかさがうまく表現されている。「夕べの風」にも抒情があり、やさしい。(高橋正子)

【最優秀/5月25日】
枝のまま葉のまま届くさくらんぼ/黒谷光子
さくらんぼは、すでに収穫されたあどけない姿に触れるのがほどんど。枝のまま、葉をつけたまま、さくらんぼを届けられたときの嬉しさは、これが自然のものであるかと感激が湧く。(高橋正子)

【最優秀/5月24日】
★風鈴の一つが家居の音となれり/下地鉄(信之添削)
静かな家に一人いると、風鈴がチリン、チリンと音を立てる。そのほかの音はしない。音といえば、風鈴の音だけ。さりげなくて、それでいて心の奥にチリンと鳴る音を聞いている心境が、味わい深い。(高橋正子)

【最優秀/5月23日】
★藻のなかの琉金ゆったり尾を揺らし/飯島治蝶(添削)
緑の藻のなかに、琉金が華麗な尾をゆったりと揺らして、目に涼しさと華やぎを与えてくれる。特に内容を主張する句ではないが、無為のよさがある。(高橋正子)

【最優秀/5月22日】
時計台はるか青嶺へ五時を指す/おおにしひろし
しっかりとした構成の句。時計台が青嶺に向いており、今ちょうど5時を指している。夏の夕方の5時の陰影ある印象が、意外にもくっちりと詠まれている。季語「青嶺」が効いている。(高橋正子)

■□優秀/5月22日-28日

2006-05-22 02:28:31 | Weblog
■高橋正子選

【優秀Ⅰ/10句】
★魚篭洗う岩魚の香り染みたるを/ふるたけいじ(添削)
たくさん取れたのでしょうか、魚篭に香りがついて洗う、良い匂いでしょうね。空気の澄んだ静かさが伝わります。(大給圭泉)

★葉桜のいろ濃き陰に蕊降りぬ/志賀たいじ(添削)
若葉のいろと蘂の赤紫のいろが混じりあい、味わい深い桜の木をしみいみと眺められている情景が見えてきます。(甲斐ひさこ)

★洗桶の水にもぎたて茄子紫紺/大山 凉(添削)
もぎたての色が鮮やかですね。この新鮮な茄子は洗うときゅっきゅっと鳴ったことでしょうね。(今村七栄)

★竹が皮脱ぎ竹林の色となる/渋谷洋介(添削)
竹が見る見る伸びて大人になり竹林の青々とさわさわ風に揺れてる。気持ちの良い句です。(大給圭泉)

★枇杷の実のまだ青々と固かりき/碇 英一
まだ青い固い枇杷の実の粒々がこれから稔りの季節を迎える、この枇杷の木を見る者を楽しませ温かい眼差しを集めている。惹かれる句ですが、亡き若き人を悼む句なれば一層心打ちます。(志賀たいじ)

★トマト苗太き支柱に結わえけり/澤井 渥
★綿シャツの腕にさらりと衣替え/岩本康子
★玻璃越しに鳥の親しくバードデー/池田加代子
★墓へ行くだけの吊橋ほととぎす/篠木 睦
★ほととぎす山越え未明の海辺まで/宮地ゆうこ(添削)

【優秀Ⅱ/28句】
★一枚の植田に弾く雨の音/祝 恵子
田園の中の静かな植田一枚にたって、雨の音を聞いておられる静かな一刻、なつかしい音でもあり、心の音でもあるようです。(おおにしひろし)

★賜りし薔薇に添い来ぬ庭の匂い/かわなますみ
持ってきて下さった人の薔薇の香りとその方の志と咲いてた庭の匂いがする。嬉しいですね。(大給圭泉)

★田水張る散居村は夕日中/除門喜柊
田植えの終わった田んぼに映る夕陽。だんだん暮れてゆく風景である。(ふるたけいじ)

★さみどりの蕾のままに七変化/中村光声(添削)
さ緑の葉っぱの中央にやっと小さな蕾がつきました。ぷつぷつの小さな蕾の集団はやがておおきな色に開きます。期待感をこめて作者はこの句を作られたのでしょう。(おおにしひろし)

★雨雲が近づく庭のアマリリス/堀佐夜子
このところのお天気は続きませんね。お宅のアマリリスは子が増えて元気が良いですね。(祝 恵子)

★サラダ盛り新玉葱の白透ける/小川美和
スライスをして水にさらした新玉葱のそろ差が映えるサラダは美味しいですね。(大山 凉)

★キャンプファイアー黒き大樹の中空に/池田多津子
子らは家を離れ自然の中で過す貴重な集団生活、普段は体験できぬキャンプファイヤ-の炎が夜闇の大樹の枝々の中空を煌めかす。囲む子らの歓声までも聞えてくる景です。子らにはきっと何時までも忘れられぬ思い出になった事でしょう。(志賀たいじ)

★つややかに炊かれて母の煮伽羅蕗/臼井虹玉
煮られた艶やかな伽羅蕗。母の味であれば尚のこと。旬のおいしさが伝わる句です。(飯島治蝶)

★水恋鳥ふたたび鳴きぬ雨の森/安藤かじか
雨の森に鳴くアカショウビン。何か求めなく声が再び三度と続くように思われ、切ない気持ちがしてきます。(碇 英一)

★白薔薇の風よく抜ける母の家/大給圭泉(添削)
薔薇の色の好みはそれぞれ。お母様の生活感と白薔薇の風の透明感を美しいと感じました。(野田ゆたか)

★代田掻くつぎつぎ雲の水を走り/おおにしひろし
代を掻いた田の水面に次々と初夏の雲が走る、爽やかな風も感ずるおおらかな田園風景に触れさせて貰った。好きな句です。(志賀たいじ)

★校庭の遊べる子らに若葉風/飯島治蝶
実に爽やかな光景ですね。若葉風と校庭の子等の取り合わせもいいですし。(おおにしひろし)

★あさざ咲く暁の冷気は赤城より/小口泰與
初夏とはいえない冷たい風が、赤城から下りてくる朝一番に池一面に咲くあさざの花は爽やかで素敵でしょうね。(大山 凉)

★麦の穂のまっすぐ風のさらさらと/多田有花
★青葉潮ひかり眩しき桜島/大山 凉
★蕗刈りて草の匂いのただ中に/丸山草子
★夜べの雨胡瓜の花に晴るるかな/野田ゆたか
★校庭の夏シャツ笛に大きな輪/長岡芳樹
★郭公や厨の木戸を開けし時/畑 育子(添削) 
★黒揚羽幾度も来たり凡たる日/あみもとひろこ(添削)
★霊峰の名水汲みて新茶の香/能作靖雄
★マロニエの花の白さよ雨の窓/小西 宏(添削)
★俎板に水を流して初鰹/篠木 睦
★鮎かかり飛沫も鮎も網の中/安藤かじか(添削)
★初咲きの雨の四葩のうす緑/今村七栄
★新緑の香に包まれて乳母車/安丸てつじ
★早乙女の暮れゆく刻も惜しみけり/河ひろこ
★山椒選る青々と香を広げつつ/黒谷光子

■□最優秀/5月15日-21日

2006-05-21 08:33:31 | Weblog
■高橋正子選

【最優秀/5月21日】
★いくたびも青葉の峠越えゆけり/多田有花
「いくたびも青葉」に、ゆたかな青葉が想像できる。峠を越えるたびに、青葉の豊かさが、ますます身にしみてゆくようである。(高橋正子)

【最優秀/5月20日】
★葉桜がよく映る水汲みにけり/竹内よよぎ
葉桜の下にある泉なのだろうか。葉桜の影を映した水がなみなみとして、ゆたかなのがいい。(高橋正子)

【最優秀/5月19日】
★朴の葉に包まれている夏料理/祝恵子
夏の料理は、目にすずしそうなのがいい。あおあおとした大きな朴の葉に包まれた一品は、野趣があって楽しい。(高橋正子)

【最優秀/5月18日】
★等分に香を注ぎ分けて新茶かな/野田ゆたか
丁寧に、等分に注ぎ分けられるのを待っていただく新茶は、ことに嬉しい。香り第一の新茶に、いい団欒もあり、体にくすりのごとく沁みる。(高橋正子)

【最優秀/5月17日】
★馬の眼のいつも濡れいて競べ馬/篠木睦
「競べ馬」は、5月5日、京都市上賀茂神社の社前で行われる神事。「競馬」が夏の季語に入れられているのも、ここに由来する。いまでは、競馬(けいば)はいつでも行われ、夏の季語としての働きは弱い。
「いつも濡れいて」は、若葉を映した馬の大きな瞳を思い出させてくれる。(高橋正子)

【最優秀/5月16日】
★御所若葉行列をみな見送りぬ/ 祝恵子
御所が若葉するころの行列といえば、京都の三大祭の最初の祭、5月15日の葵祭。沿道の観衆は、葵祭のきらびやかな行列を迎え、行列を惜しんで、みんなが見送る。「みな見送りぬ」にこめられた心がいい。(高橋正子)

【最優秀/5月15日】
★青蛙にわかに啼きてそれっきり/小口泰與
青蛙の印象が、さっぱりとしている。突然に鳴き出した青蛙に、いよいよ夏かと、思いきや一度啼いてそれきりになった。早く啼きすぎた青蛙かもしれないが、初夏らしく、ユーモアがある句。(高橋正子)

■□優秀/5月19日-21日

2006-05-21 06:09:08 | Weblog
■高橋正子選

【優秀Ⅰ/10句】
★窓少し開け行く車掌の白いシャツ/碇 英一
懐かしい情景ですね。空調で管理された今はそんな姿を見ることもなくなりました。衣替えでの白いシャツ姿を見ると夏を実感したものです。(大山 凉)

★青萱の風を抱きいてさらさら鳴る/おおにしひろし
萱があおあおと伸びてきて風に揺れます。大きい株に風をふくんで鳴ります。「さらさら」と互いに触れあう音です。(池田多津子)

★葉桜の葉裏の光風が見せ/黒谷光子
★田水張る山も深空も近く入れ/甲斐ひさこ
★夏座敷児はかたかたと玩具押す/篠木 睦
★遠蛙遠き所に闇のあり/吉田 晃
★有松の絞りハンカチ開き見る/河ひろこ
★薔薇園に微風とどまるところなく/池田加代子
★丈高く蕾は葉隠れ百合の花/堀佐夜子
★梅をもぐ枝撓めてはまた空へ/宮地ゆうこ

【優秀Ⅱ/23句】
★走り根の岩を掴むやかんこ鳥/小口泰與
走り根が岩を掴む姿も生きる姿ならば、その場で聞く閑古鳥も生きる鳥の性と侘しく思う心に迫るものがあります。そこに作者の詠みがあると解しました。(志賀たいじ)

★白薔薇の蕾に仄か紅させり/かわなますみ
白い薔薇は、心を落ち着かせてくれるような気がします。その蕾に淡い淡い紅色がひそんでいるのは、なんだか素敵ですね。とってもきれいな句と思いました。(あみもとひろこ)

★坂ひとつ下れば一面植田かな/中村光声
坂道をゆるゆる下ってくると、さわやかな風とゆれる植田のみどり。里のひろやかな景が見えます。(宮地ゆうこ)

★テーブルへ庭初咲きの十薬を/ふるたけいじ
子どもの頃から、世話になっている十薬。今は煎じて飲用に。十薬への愛着が伝わる句です。(飯島治蝶)

★新しき窓に緑のさわさわと/今村七栄
あたらしい家に居るだけでも心が浮き立つのに、若葉がその窓をさわさわなでてくれればなおさらである。作者のさわやかな気持ちが伝わる句。(ふるたけいじ)

★蒲公英の黄はみどり野にわが窓辺/志賀たいじ
きっと今、春のまっただ中におられると思います。この句も、暖かい春のロマンに溢れた心情が、やわらかく伺えました。(おおにしひろし)

★風薫るチャイムを鳴らし孫の声/渋谷洋介
さわやかな風に乗って、かわいい声が玄関に。チャイムの音が軽やかで、弾むよろこびが見えるようです。(宮地ゆうこ)

★葉桜へ纏わる霧に動きあり/澤井 渥
★幼孫来ると聞きつけ苺買う/飯島治蝶
★がかんぽや破れ障子に脚かけて/除門喜柊
★若葉風紡ぎ出す音色地球の歌/大給圭泉
★風青し開聞岳のうるわしき/大山 凉
★日を閉じて新緑やはきプラタナス/小西 宏
★さわさわと葉裏をみせて若楓/丸山草子
★若夏の風のしろさや海の蒼/下地 鉄
★夏雲や鳳凰正に翔けんとす/安丸てつじ
★青時雨濡れつつ竿を取り込めり/小川美和
★ジェット機の伸びやかに行く青岬/長岡芳樹
★さざなみに乗り萍の広がりぬ/池田多津子
★五月闇黒ふかぶかと樹のかたち/あみもとひろこ
★薫風を部屋いっぱいに日曜日/岩本康子
★万緑の峰すれすれに雲翔ける/安藤かじか
★それぞれの籠へ梅もぐ日曜日/宮地ゆうこ

▼伝言などは、下記の<コメント>にお書きください。

■□優秀/5月15日-18日

2006-05-21 05:32:45 | Weblog
■高橋正子選
□5月15日-18日

【優秀Ⅰ/10句】
★母の日の母の背中を掴み立つ/かわなますみ(添削)
背に置いた手のぬくもりと、掴む背のぬくもりと、そして支え合う力。母の日の思いが「立たむ」の一言に込められているようで、深く心に残りました。(宮地ゆうこ)

★髪洗えば草の匂いのふと掠め/宮地ゆうこ
今日一日、青草の中にいた髪を洗うと、梳いて流す湯に、微かな草の匂いが掠める。いつの間にか髪に纏っていた香を、洗う折りに知る喜び。自然でたおやかな句に、憧れます。(かわなますみ)

★銀色の音させ風鈴軽く鳴る/碇 英一
もう風鈴の音が心地よい頃となりました。「銀色の」「軽く鳴る」が涼しさを盛り上げます。(おおにしひろし)

★遅咲きの桜に朝の明けはやし/志賀たいじ
北国の春という感じですね。西日本に比べたら1ヶ月半くらいの差があり、その分夜明けもも早くなってきますね。早朝の空に明るい桜がきれいでしょうね。(やまなかみゆき)

★白百合の土手の斜めをあまさずに/下地 鉄
★夏河にかかり特急軽くなる/池田加代子
★山からの青き風受け鯉のぼり/池田多津子
★石楠花や谷に明るき陽の満ちて/多田有花
★噴水の音に紛れる笑い声/河ひろこ
★杉落葉濡れて清しき瑞巌寺/中村光声

【優秀Ⅱ/21句】
★陽炎うて鉄路ゆららと続きけり/大山 凉
確として堅固な鉄路が「ゆららと」陽炎う不思議。でも、陽炎の先にあっても、やはり線路は続くのですね。「続きけり」と言い切られている強さに、惹かれます。(かわなますみ)

★雨上りハマナスの白晴れ渡る/おおにしひろし
初夏の海辺、雨が上れば空は爽やかに日差しが注ぐ、浜辺のハマナスの日に反す白が美しい時期です。ちなみに北海道のハマナスは赤紫色が主流です。(志賀たいじ)

★天空に蕾もありし朴の花/除門喜柊
人に見せるためでなく天空に奉げられたように咲く朴の花。蕾さえ天空に奉げられているようです。(碇 英一)

★飛騨川へ下りる石垣ゆきのした/ふるたけいじ
どこか懐かしい景が見えます。川へ下る細い道、石垣にちらちら白いゆきのした。(宮地ゆうこ)

★紫陽花の蕾をつつむ葉の尖り/甲斐ひさこ
今、盛んに育ち盛りの紫陽花の青々とした葉のぎざぎざも特に鋭角に見えます。瑞々しさが浮かびます。(おおにしひろし)

★梅の実も葉もみどり雨を受く/あみもとひろこ(添削)
よく観察されたお句だと思います。葉のうらにあるものは色が重なり、きずかずにいることが多いようです。梅の木は雨に濡れ美しいみどりに見えています。(甲斐ひさこ)

★風薫る雑木林に我を置く/渋谷洋介
少しずれましたが、五月の雑木林は木々も草も鳥達も空も空気も、歩く足音さえ生きいきと生きていて、爽やかで、すべてが伸び伸びと活気と新しさに満ちているような気がします。梅雨に入ると駄目ですが。そんなことを思い出します。(おおにしひろし)

★田水張る発動機の音高々と/堀佐夜子(添削)
人影が見えず発動機の音だけが響く水田。田園の景が拡がって好きな句です。水車を脚で踏んでいた長閑な景を懐かしく思い出されます。(野田ゆたか)

★ラベンダ-の高さに風のあり清(すが)し/小川美和(添削)
★筑波山植田広がるその先に/大給圭泉
★目覚むればエンジンかたっこと初田植/能作靖雄
★緑陰の下のスケッチ白きシャツ/飯島治蝶(添削)
★万緑や利根の流れを身の内に/小口泰與
★久に観し映画館出で新樹光/澤井 渥(添削)
★田の水の夏山映し鎮まれり/丸山草子
★噴水の煌めく高さ潔し/長岡芳樹
★田水張る棚田眼下に日本海/安丸てつじ
★若葉光千体仏の大屋根に/黒谷光子
★自転車で五月の朝日押し返す/竹内よよぎ
★雨匂い闇に蛙の声拡がる/吉田 晃
★アネモネの赤草叢に燃えて揺れ/岩本康子


▼伝言などは、下記の<コメント>にお書きください。

■互選高点句/5月19日-21日

2006-05-20 01:50:09 | Weblog
35名の方々から108句の投句があり、32名が互選に参加されました。
以下、5月19日-21日投句分の互選最終結果です。同点は投句者名五十音順となっています。

【最高点/20点】
◎いくたびも青葉の峠越えゆけり/多田有花
【次点/18点】
○窓少し開け行く車掌の白いシャツ/碇 英一
【14点】
○田水張る山も深空も近く入れ/甲斐ひさこ
【10点/同点2句】
○満たされる水に蛙の鳴き始む/池田多津子
○葉桜の葉裏の光風が見せ/黒谷光子
【9点/同点2句】
○朴の葉に包まれている夏料理/祝 恵子
○梅をもぐ枝撓めてはまた空へ/宮地ゆうこ
【7点】
○青萱の風を抱きいてさらさら鳴る/おおにしひろし
【6点/同点3句】
○親指のおおまかに剥く夏みかん/池田加代子
○白薔薇の蕾に仄か紅させり/かわなますみ
○宇治来れば茶そば茶団子緑風/安丸てつじ
【5点】
○一本のずいと離れて今年竹/今村七栄
【4点】
○夏座敷児はかたかたと玩具押す/篠木 睦


互選最優秀句(コメント付き)は2点、並選(コメント無し)は1点として集計しています。互選をされていない方の得点は無効となっております。間違い等ございましたら、お知らせください。(集計/臼井虹玉)