■高橋正子選
【最優秀/5月8日】
★田植機の土の匂いを曳き帰る/池田多津子
田植えをしたあと、田植機に田圃の土がついたままを曳いて帰る。道すがら匂う土に、今日の疲れと、田植えの済んだ安堵感がある。(高橋正子)
【最優秀/5月9日】
★朝ごとに垣根の薔薇の開きけり/多田有花
晴朗な句。朝ごとに、花を増やして咲く薔薇のはつらつとした生命感がいい。(高橋正子)
【最優秀/5月10日】
★若草の野にありいよよ牛らしく/志賀たいじ
若草が萌える野にいる牛は、いよいよ牛らしいという。若草を食み、若草に座る牛は、それでこそ牛だというユニークで柔和な作者の視点。長い冬を牛舎で過ごした牛には、若草の季節は何よりも嬉しい季節に違いない。(高橋正子)
【最優秀/5月11日】
★青梅の小さきが粒に地にも落つ/小川美和
梅の実があおあおと枝に生っている。雨風に打たれたせいか、地面にもころころと落ちている。「地にも落つ」に、はかなく実を落としたものへの愛惜がある。(高橋正子)
【優秀Ⅰ/10句】
★校内の呼び出し聞こゆ薔薇の園/祝 恵子
作者の位置、姿が定まっていて、はっきり見えてくる。作者は、「薔薇の園」に居て、その近くに学校がある。作者のいい心境があって、優しい。(高橋信之)
★一塁は緑陰にあり子等野球/小川美和
それほど広くない広場か。一塁ベースがちょうど緑陰にあって、気取らない楽しそうな野球風景。日向の暑さ、緑陰の涼しさの両方が子らのもの。(高橋正子)
★新緑や先ずパレットにみどり置く/飯島治蝶
新緑の景色を描くパレットに、まずみどりの絵の具を置かれるということに納得します。パレットの上でさまざまな緑色が作られる事でしょう。(臼井虹玉)
★老鶯に朝の泉のひそとある/おおにしひろし
何度も鳴くことを繰り返す老鶯。人一人いない朝の泉の静けさの中で響き渡って聞こえます。(碇 英一)
★カルストの突き出す白さ夏に入る/宮地ゆうこ
季語が効いています。夏になり、光も強さを増して来ましたので、「突き出す白さ」も理解できます。夏ならではの句。(飯島治蝶)
★麦の穂の青々真直ぐに空を指す/黒谷光子
「青々真直ぐ」はいかにも青麦の美しさです。当地にはあまり麦の畑がありません。一面の青麦、見てみたいです。(宮地ゆうこ)
★板の間に庭の新緑映りこむ/臼井虹玉
板の間が、ぴかぴかに磨きこまれている様子が伺えます。濃い緑と強い光りとが感ぜられて気持ちよい空間です。(おおにしひろし)
★明けてゆく空に一声ほととぎす/篠木 睦(添削)
★若葉雨あがりし河口の濁りかな/多田有花
★アカシアの花零しつつ雨上がる/碇 英一
【優秀Ⅱ/25句】
★そよぎ合う若葉の下を歩み行く/竹内よよぎ
いいことがあったに違いない。快い風に吹かれ、「若葉」の光の中を「歩み行く」のである。(高橋信之)
★駆け弾む少女に日毎柿若葉/能作靖雄(添削)
「柿若葉」が「少女」に映えて美しい。健康であって美しい。聖五月の季節だ。(高橋信之)
★いつせいに麦の穂日矢に立ち向かい/小口泰與
麦の穂の勢いのよい伸びた麦畑が浮かんで参ります。(碇 英一)
★風薫り嬰は両手に絵本持ち/渋谷洋介
生命感に満ちた青葉を吹いて来る風は、幼な子のすこやかな成長に相応しく思います。(臼井虹玉)
★田水張る棚田下れば琵琶の湖/除門喜柊
水を張られた棚田から遥かに大きな琵琶湖が見える。小さな棚田をゆっくり下ればきらきらと水辺の輝き。美味しいお米ができるでしょう。(宮地ゆうこ)
★麦の穂の青空目指し鏃伸ぶ/大山 凉
本当に御句のとおりです。「鏃」とは面白い比喩ですね。もう当地では、下から黄色くなりかけた田もあります。(おおにしひろし)
★透きとおる青現われて蕗をむく/あみもとひろこ
蕗の青い皮をむくと、もっと瑞々しく透きとおる青が現れて嬉しくなる。そんな気持ちに共感致しました。(甲斐ひさこ)
★豆ごはん手づかみにして離乳の子/野田ゆたか
みどり美しい豆ごはん。赤ちゃんのかわいい手づかみに、健やかな喜びが広がります。皆の笑顔が見えてくる句ですね。(宮地ゆうこ)
★病窓に見おろす丘の新樹燃ゆ/かわなますみ
初夏の新樹の若葉ももえる季節、病窓から見下ろす作者にどんどん向って来る様なエネルギ-を感じ取ったことでしょう。明るくパワ-のある句っていいですね。(志賀たいじ)
★鉄線のひかり広げる厨窓/中村光声
近くに鉄線が生えているのでしょうか、それとも一輪挿しに厨に入れたのでしょうか・・・いずれにせよ、鉄線花のあかるさが厨に満ちている。鉄線の明るさが目立ちます。(おおにしひろし)
★筍の三和土にごろり土つけて/ふるたけいじ
一斉に筍が芽を出し始め成長がはやいゆえに掘り出すときは若芽を見つけ次第掘り出し持ちかえって三和土に寝かせる光景が好きな句です。(平田 弘)
★雀発ち新樹の空を貫けり/安藤かじか
雀の勢いと、それを受けとめるに相応しい新樹。この季節の希望に満ちていて、好きな句です。(かわなますみ)
★朝空の青に浮かびて棕櫚咲けり/甲斐ひさこ
初夏の明るい朝空に浮かぶ棕櫚の花。力強ささえ感じます。(大山 凉)
★桑を解く棚田にかぜの生れしとき/湯澤まさえ
ほどかれた桑が風に伸びやかに。棚田に新しい風と色があふれますね。(宮地ゆうこ)
★全開の窓いっぱいに麦の秋/吉田 晃
★芝桜斜面に風を滑らせり/池田加代子
★青空に蕾ほどけてポピー咲く/丸山草子
★投函のコトリと音のして立夏/松澤龍子
★クレマチス小さな壷に挿す朝に/堀佐夜子
★鶯の声に目覚める湖畔宿/大給圭泉
★打球音溢れるグランド夏はじめ/長岡芳樹
★若葉風きらめく波のはしり来る/小西 宏
★裸婦像の足元飾るチューリップ/澤井 渥
★銀色の滑り台にも若葉雨/安丸てつじ
★紋羽咲き上にクリスの海辺かな/下地 鉄
■投句選句箱
http://bbs5.cgiboy.com/p/50/03007/
■ブログ句会
http://blog.goo.ne.jp/npo_suien102/
■むかしのデイリー句会(保存版)
http://5.pro.tok2.com/~suien1/0001/dk/
▼伝言などは、下記の<コメント>にお書きください。
【最優秀/5月8日】
★田植機の土の匂いを曳き帰る/池田多津子
田植えをしたあと、田植機に田圃の土がついたままを曳いて帰る。道すがら匂う土に、今日の疲れと、田植えの済んだ安堵感がある。(高橋正子)
【最優秀/5月9日】
★朝ごとに垣根の薔薇の開きけり/多田有花
晴朗な句。朝ごとに、花を増やして咲く薔薇のはつらつとした生命感がいい。(高橋正子)
【最優秀/5月10日】
★若草の野にありいよよ牛らしく/志賀たいじ
若草が萌える野にいる牛は、いよいよ牛らしいという。若草を食み、若草に座る牛は、それでこそ牛だというユニークで柔和な作者の視点。長い冬を牛舎で過ごした牛には、若草の季節は何よりも嬉しい季節に違いない。(高橋正子)
【最優秀/5月11日】
★青梅の小さきが粒に地にも落つ/小川美和
梅の実があおあおと枝に生っている。雨風に打たれたせいか、地面にもころころと落ちている。「地にも落つ」に、はかなく実を落としたものへの愛惜がある。(高橋正子)
【優秀Ⅰ/10句】
★校内の呼び出し聞こゆ薔薇の園/祝 恵子
作者の位置、姿が定まっていて、はっきり見えてくる。作者は、「薔薇の園」に居て、その近くに学校がある。作者のいい心境があって、優しい。(高橋信之)
★一塁は緑陰にあり子等野球/小川美和
それほど広くない広場か。一塁ベースがちょうど緑陰にあって、気取らない楽しそうな野球風景。日向の暑さ、緑陰の涼しさの両方が子らのもの。(高橋正子)
★新緑や先ずパレットにみどり置く/飯島治蝶
新緑の景色を描くパレットに、まずみどりの絵の具を置かれるということに納得します。パレットの上でさまざまな緑色が作られる事でしょう。(臼井虹玉)
★老鶯に朝の泉のひそとある/おおにしひろし
何度も鳴くことを繰り返す老鶯。人一人いない朝の泉の静けさの中で響き渡って聞こえます。(碇 英一)
★カルストの突き出す白さ夏に入る/宮地ゆうこ
季語が効いています。夏になり、光も強さを増して来ましたので、「突き出す白さ」も理解できます。夏ならではの句。(飯島治蝶)
★麦の穂の青々真直ぐに空を指す/黒谷光子
「青々真直ぐ」はいかにも青麦の美しさです。当地にはあまり麦の畑がありません。一面の青麦、見てみたいです。(宮地ゆうこ)
★板の間に庭の新緑映りこむ/臼井虹玉
板の間が、ぴかぴかに磨きこまれている様子が伺えます。濃い緑と強い光りとが感ぜられて気持ちよい空間です。(おおにしひろし)
★明けてゆく空に一声ほととぎす/篠木 睦(添削)
★若葉雨あがりし河口の濁りかな/多田有花
★アカシアの花零しつつ雨上がる/碇 英一
【優秀Ⅱ/25句】
★そよぎ合う若葉の下を歩み行く/竹内よよぎ
いいことがあったに違いない。快い風に吹かれ、「若葉」の光の中を「歩み行く」のである。(高橋信之)
★駆け弾む少女に日毎柿若葉/能作靖雄(添削)
「柿若葉」が「少女」に映えて美しい。健康であって美しい。聖五月の季節だ。(高橋信之)
★いつせいに麦の穂日矢に立ち向かい/小口泰與
麦の穂の勢いのよい伸びた麦畑が浮かんで参ります。(碇 英一)
★風薫り嬰は両手に絵本持ち/渋谷洋介
生命感に満ちた青葉を吹いて来る風は、幼な子のすこやかな成長に相応しく思います。(臼井虹玉)
★田水張る棚田下れば琵琶の湖/除門喜柊
水を張られた棚田から遥かに大きな琵琶湖が見える。小さな棚田をゆっくり下ればきらきらと水辺の輝き。美味しいお米ができるでしょう。(宮地ゆうこ)
★麦の穂の青空目指し鏃伸ぶ/大山 凉
本当に御句のとおりです。「鏃」とは面白い比喩ですね。もう当地では、下から黄色くなりかけた田もあります。(おおにしひろし)
★透きとおる青現われて蕗をむく/あみもとひろこ
蕗の青い皮をむくと、もっと瑞々しく透きとおる青が現れて嬉しくなる。そんな気持ちに共感致しました。(甲斐ひさこ)
★豆ごはん手づかみにして離乳の子/野田ゆたか
みどり美しい豆ごはん。赤ちゃんのかわいい手づかみに、健やかな喜びが広がります。皆の笑顔が見えてくる句ですね。(宮地ゆうこ)
★病窓に見おろす丘の新樹燃ゆ/かわなますみ
初夏の新樹の若葉ももえる季節、病窓から見下ろす作者にどんどん向って来る様なエネルギ-を感じ取ったことでしょう。明るくパワ-のある句っていいですね。(志賀たいじ)
★鉄線のひかり広げる厨窓/中村光声
近くに鉄線が生えているのでしょうか、それとも一輪挿しに厨に入れたのでしょうか・・・いずれにせよ、鉄線花のあかるさが厨に満ちている。鉄線の明るさが目立ちます。(おおにしひろし)
★筍の三和土にごろり土つけて/ふるたけいじ
一斉に筍が芽を出し始め成長がはやいゆえに掘り出すときは若芽を見つけ次第掘り出し持ちかえって三和土に寝かせる光景が好きな句です。(平田 弘)
★雀発ち新樹の空を貫けり/安藤かじか
雀の勢いと、それを受けとめるに相応しい新樹。この季節の希望に満ちていて、好きな句です。(かわなますみ)
★朝空の青に浮かびて棕櫚咲けり/甲斐ひさこ
初夏の明るい朝空に浮かぶ棕櫚の花。力強ささえ感じます。(大山 凉)
★桑を解く棚田にかぜの生れしとき/湯澤まさえ
ほどかれた桑が風に伸びやかに。棚田に新しい風と色があふれますね。(宮地ゆうこ)
★全開の窓いっぱいに麦の秋/吉田 晃
★芝桜斜面に風を滑らせり/池田加代子
★青空に蕾ほどけてポピー咲く/丸山草子
★投函のコトリと音のして立夏/松澤龍子
★クレマチス小さな壷に挿す朝に/堀佐夜子
★鶯の声に目覚める湖畔宿/大給圭泉
★打球音溢れるグランド夏はじめ/長岡芳樹
★若葉風きらめく波のはしり来る/小西 宏
★裸婦像の足元飾るチューリップ/澤井 渥
★銀色の滑り台にも若葉雨/安丸てつじ
★紋羽咲き上にクリスの海辺かな/下地 鉄
■投句選句箱
http://bbs5.cgiboy.com/p/50/03007/
■ブログ句会
http://blog.goo.ne.jp/npo_suien102/
■むかしのデイリー句会(保存版)
http://5.pro.tok2.com/~suien1/0001/dk/
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