デイリー句会入賞発表

選者 高橋正子
水煙発行所

●第1回互選(好きな句)/9月19日~30日

2007-09-30 20:27:22 | Weblog
■互選高点句(第1回ネット(合同)句会/10月1日)最終結果

19名の方々から91句の投句があり、互選締め切りまでに18名が互選に参加されました。以下は、<第1回ネット(合同)句会/10月1日>の互選最終結果です。すべて1点として集計しています。同点は投句者名五十音順となっています。

【最高点/6点】
◎命継ぐ遡上の鮭に水澄める/志賀たいじ

【次点/4点/同点4句】
○赤とんぼここより先は真田郷/大山 凉
○幹すがる蝉の余命とわが余生/おくだみのる
○単線の電車すすき野分けて行く/黒谷光子
○研ぎ上げし鎌の切れ味天高し/宮本和美

(集計/臼井愛代)



■好きな句(互選)5句を下の<コメント>にお書き込みください。
①下記の<清記/19名91句>の中から選んでください。
②好きな句(互選)を5句選び、それらの番号をお書きください。もっとも好きな句1句は、コメントを付けて書き込んでください。
③互選集計の対象は、10月3日(水)午後6時までの選句です。早めに互選を済ませてください。
④投句者以外の選句は、ご遠慮ください。

■清記/19名91句(高橋信之抽出)

[柳 あき]
01.式部の実雨の雫をむらさきに
02.名月に地球の青を問いかけり
03.子の描くコスモス紙をはみ出せり
04.保育カー乗る子押す子に秋の風
05.子の未来地球の未来蚯蚓鳴く

[笠間淳子]
06.群雲の遥か高みに月光る
07.深き森ただ啄木鳥の聞こえくる
08.一瞬のライトの帯に花野あり
09.鬼やんま飛び入り来る我が住まい
10.歩を止めて樹々のざわめく秋を聴く

[滑川けい子]
11.照り返し髪の張りつく運動会
12.子のポケット形崩してどんぐりが
13.水際の弁財天の秋麗
14.路地裏の小さき祠に秋茜
15.夕闇の迫り強まる虫時雨

[甲斐ひさこ]
16.月のあと追いて恵那越ゆ高速道
17.稲刈って晒す地肌に風のあり
18.遠く来て伊那は美し稲の秋
19.旅の荷の一つを背負い帰路の月
20.冬瓜もごろりと載せて引越せり

[小口泰與]
21.道はたと消えて川あり沢桔梗
22.往合の一面の早稲空青し
23.秋薔薇のはつはつに咲き空青し
24.激しけれ里名物の稲光
25.コスモスやさわだつ波の山中湖

[國武光雄]
26秋高し組体操の決まりけり
27.たらちねの車椅子押す秋彼岸
28.金色の棚田画すや彼岸花
29.幼子も花を手向ける秋彼岸
30.筑後路は山裾までの稲の秋

[黒沼風鈴子]
31.あきつ飛ぶそれぞれの平面の中
32.人の首切る気配していぼむしり
33.また一つ白き石増え秋の川
34.墓石に名残りの熱さこぼれ萩
35.さびさびと一本の白彼岸花

[澤井 渥]
36.光る江を挟み花野の広がれり
37.古墳塚覆い尽くして葛咲けり
38.秋天を突き上げている幟柱
39.刈田中程よき距離に鷺のいて
40.花に穂を持ちし野の草風を呼ぶ

[まえかわをとじ]
41.秋耕や田の一枚を高畝に
42.田を囲む尺余の水路澄みにけり
43.小鳥来るあくまで碧き朝ならば
44.身にしむや札所の長き石階段
45.小鳥来る一木一草起伏せり

[志賀たいじ]
46.命継ぐ遡上の鮭に水澄める
47.深呼吸朝の秋雲流れだす
48.強歩子にゴ-ルは近し荻の風
49.十六夜の月膨らんで昇りくる
50.雲走る間を満月の午前二時

[宮本和美]
51.研ぎ上げし鎌の切れ味天高し
52.さゆらぎもなきアドバルーン天高し
53.十六夜母に教はるわらべ唄
54.澄み渡る一枚の空ピクニツク
55.大輪へ朝顔と書き種封ず

[黒谷光子]
56.銀杏の落ちしばかりのきららかに
57.単線の電車すすき野分けて行く
58.芋の葉の大きが伊吹の風を呼ぶ
59.すすき野を抜ければダムの深き青
60.門口を開け満月の真正面

[河野渓太]
61.鍬音も高く甘藷を掘り当てぬ
62.限りなき天の高さやいもの蔓
63.親潮に乗りて秋刀魚の現れる
64.豊漁の秋刀魚水揚げ海の人
65.渡り来て水面に騒ぐ鳥の影

[下地 鉄]
66.秋風や集団自決の壕の跡
67.真夜の月村を沈めて声もなし
68.秋風や片方欠けし夫婦碗
69.喫茶店書をよむ吾に秋日かな
70.宵月の家路をいそぐ異邦の娘

[おくだみのる]
71.暗黒の空切りとりし今日の月
72.十五夜やお伽噺の月がでた
73.灯を消して寝ころんでみる今日の月
74.幹すがる蝉の余命とわが余生
75.わが窓をたたきし火蛾の落ちてあり

[平田 弘]
76.大空にただ月という秋の夜
77.育ちゆく広がる尾花は輝きを
78.秋出水実りし稲に水なかば
79.枝豆の香りで知らす茹で上がり
80.焦げ目には玉蜀黍の懐かしさ

[大山 凉]
81.秋の空ひたすら青く青く染む
82.赤とんぼここより先は真田郷   
83.秋色に少し染まりぬ山河かな
84.晴れ渡る信濃の山の鰯雲
85.爽やかな深き緑の詩碑に立つ

[松本千恵子]
86.風呂上り四肢伸ばし月見かな
87.木々の陰ほのめく光り十六夜や
88.名月やワイン並べて宴かな
89.行く秋の岩風呂に背をもたせおり

[高瀬哲朗]
90.沛然と打つ秋時雨の戒壇院
91.遠花火終幕らしき音となり


▼好きな句(互選)を下の<コメント>の数字をクリックし、お書き込みください。

第4回青樹句会(9月19日)入賞発表

2007-09-30 13:48:42 | Weblog
■高橋信之選

【最優秀】
★桔梗挿す剪りし鋏の濡れており/宮本和美
「濡れて」に観察の眼が素直に向いたのだが、「桔梗挿す剪りし鋏」を捉えて充分だ。そして「濡れて」は、「桔梗」の命をも捉え得たのだ。作者の心が曇っていなければ、素直な写生で充分である。私の好きな句。(高橋信之)

【優秀/5句】
★少年の手足の長き宮相撲/まえかわをとじ
宮相撲にそろった少年たち。在郷の少年たちも、新しい住まいの子供たちも総じて、このごろの少年は背が高く、手足の長さが目立つ。勝ち負けはともかく、奉納相撲をした子供たちは健やかに育つであろう。(高橋正子)

★お日さまが真上に止まる水遊び/高瀬哲朗
水遊び」は、おそらく小さい子らであろう。明るい句だ。「お日さまが真上に止まる」のも嬉しい。読み手を喜ばせてくれる。(高橋信之)

★向日葵が鋤かれ青空動きだす/志賀たいじ
向日葵畑は、夏の間中、背景に青空を据えていた。一面の黄色い花が青空と明快な色調であった。夏も終わり、向日葵が鋤かれると、青空は、拍子抜けしたように、広がり、白い雲も流れ始めた。それが「青空動きだす」なのだろう。(高橋正子)

★コスモスの花びら揺れて争わず/大山 凉
いい句だ。「コスモスの花びら」は、生きいきと楽しく「揺れて」いる。争う必要がないのだ。自然は、優しくて強い。それが命である。(高橋信之)

★うす緑残る新藁積まれゆく/黒谷光子
作者の思いは、主題の「新藁」に絞り込まれた。余計なものは、すべて削ぎ落とされている。「うす緑残る」新藁であり、「積まれゆく」新藁である。(高橋信之)

【入選/6句】
★秋光を浴びて野に立つ讃岐富士/河野渓太
長年、四国松山に住んでいた私にとって、四国の「讃岐富士」は懐かしい。高松から琴平へ向う琴電の車窓風景の一つとしての「讃岐富士」は、讃岐平野に散在する「ため池」とともに私の思い出にある。「野に立つ讃岐富士」の「野」は、「讃岐平野」で、この句は、私にとっての懐かしい風景を思い出させてくれるので嬉しい。(高橋信之)

★萩咲いて山峡ふかし旅の空/下地 鉄
遙かなる「旅」、遙かなる「空」の感慨に深いものがあって、萩の咲く山峡が「ふかし」であれば、なおのことである。(高橋信之)

★そこだけにある静けさや吾亦紅/宮本和美
私にとっては、「吾亦紅」の静けさや寂しさに懐かしさと強さを感じるのを不思議に思う。いい句だ。(高橋信之)

★秋風やしゃれたリュツクを購えり/おくだみのる
秋風が吹くと、晴れやかで、新鮮な気持になる。しゃれたリュックサックを買って、出かけてみたくなる。楽しさがそこにある。(高橋正子)

★秋の蝶訪れる木の定まれる/平田 弘
少し弱さを感じさせる秋蝶の羽を休める場所が決まっているかの如く、ふと見るいつもの木に止まっている。弘様のやさしい目線を感じます。(大山 凉)

★光る機の曳く飛行雲天高し/澤井 渥
見上げる秋の空を、飛行機の機体がきらきらと輝きながら飛行機雲を曳いて行く。作者が、秋の高い空に見られた心楽しくなるような情景があります。(臼井愛代)


■高橋正子選

【最優秀】
★桔梗挿す剪りし鋏の濡れており/宮本和美
桔梗を挿そうと庭に出て剪ったのであろう。その鋏が濡れたまま置かれている。それを詠むことで、桔梗にみずみずしさが加わった。(高橋正子)

【優秀/5句】
★芭蕉葉の青きが吹かれ破れ始む/黒谷光子
夏の間、ばさりとした青い葉を茂らせていた芭蕉も、風にはたはたと吹かれ始めると、破れ出した。これから秋が深まるとともに、芭蕉も朽ちてゆくが、破れ始めの青芭蕉に俳味があって、品がある。(高橋正子)

★初鵙のきっちり鳴いて一度きり/澤井 渥
キチキチキチキチと、鋭い声で鳴く鵙。今年初めての声におどろいていると、一度きり鳴いて終った。しかし、青空を切るようにきっちりと鳴いたのは、さすが鵙の鋭さである。(高橋正子)

★少年の手足の長き宮相撲/まえかわをとじ
宮相撲にそろった少年たち。在郷の少年たちも、新しい住まいの子供たちも総じて、このごろの少年は背が高く、手足の長さが目立つ。勝ち負けはともかく、奉納相撲をした子供たちは健やかに育つであろう。(高橋正子)

★お日さまが真上に止まる水遊び/高瀬哲朗
水遊び」は、おそらく小さい子らであろう。明るい句だ。「お日さまが真上に止まる」のも嬉しい。読み手を喜ばせてくれる。(高橋信之)

★向日葵が鋤かれ青空動きだす/志賀たいじ
向日葵畑は、夏の間中、背景に青空を据えていた。一面の黄色い花が青空と明快な色調であった。夏も終わり、向日葵が鋤かれると、青空は、拍子抜けしたように、広がり、白い雲も流れ始めた。それが「青空動きだす」なのだろう。(高橋正子)

【入選/5句】
★秋風やしゃれたリュツクを購えり/おくだみのる
秋風が吹くと、晴れやかで、新鮮な気持になる。しゃれたリュックサックを買って、出かけてみたくなる。楽しさがそこにある。(高橋正子)

★秋光を浴びて野に立つ讃岐富士/河野渓太
長年、四国松山に住んでいた私にとって、四国の「讃岐富士」は懐かしい。高松から琴平へ向う琴電の車窓風景の一つとしての「讃岐富士」は、讃岐平野に散在する「ため池」とともに私の思い出にある。「野に立つ讃岐富士」の「野」は、「讃岐平野」で、この句は、私にとっての懐かしい風景を思い出させてくれるので嬉しい。(高橋信之)

★コスモスの花びら揺れて争わず/大山 凉
コスモスの花びら揺れて争わず
いい句だ。「コスモスの花びら」は、生きいきと楽しく「揺れて」いる。争う必要がないのだ。自然は、優しくて強い。それが命である。(高橋信之)

★えのころの穂先戦がす実りかな/平田 弘
えのころ草が穂をつけて、風に戦いでいる姿を見ると、心が安らぎます。戦ぐほどに実っている、この加減がなんとも言えずいい。(高橋正子)

★秋蝶の森より出でて森の色/下地 鉄
秋蝶の色と初秋の森の色を重ねられた所に作者の主観、実感があり、作者の感動が伝わってくるようです。(臼井愛代)

■互選高点句(第4回句会/9月19日)最終結果

11名の方々から53句の投句があり、互選締め切りまでに8名が互選に参加されました。以下は、<第4回句会/9月19日>の互選最終結果です。すべて1点として集計しています。同点は投句者名五十音順となっています。

【最高点/5点】
◎鎌洗う流れを蜻蛉掠め行く/黒谷光子

【次点/4点/同点3句】
○コスモスの花びら揺れて争わず/大山 凉
○少年の手足の長き宮相撲/まえかわをとじ
○そこだけにある静けさや吾亦紅/宮本和美

(集計/臼井愛代)

第1回たちばな・沙羅合同句会(9月19日)

2007-09-30 13:45:47 | Weblog
■高橋信之選

【最優秀】
★山風に強くはじけて鳳仙花/小口泰與
鳳仙花は、種が熟すると自然に弾けて飛ぶが、風などの助けがあると、よく弾ける。「山風に強くはじけて」は、土地に密着した生活が覗えて、強く訴えて来る。「山風に」が効いている。(高橋正子)

【優秀/3句】
★三日月を正面据え帰路につく/柳 あや
気持のよい、美しい帰路になりましたね。(高橋正子)

★開け放つ座敷を廻るやんまかな/滑川けいこ
★庭の木の枝払われて星月夜/黒沼風鈴子

【入選/4句】
★鰯雲夕空はんぶん占めており/甲斐ひさこ
悠然と広がっている鰯雲が、西に向かって色濃くなる太陽の沈みかけた情景がとてもきれいに感じられました。(滑川けい子)

★ボランティアせしあと見あぐ鱗雲/松本千恵子
奉仕活動のあとは、鰯雲を気持もさわやかに眺めることができますね。(高橋正子)

★新涼や朝の散歩に過ぎる風/國武光雄
日が高く上る前の朝なればこそ、季節の風が敏感に感じられるのだと思います。新涼の風に包まれた作者の感慨があります。(臼井愛代)

★一瞬の光の帯に花野あり/笠間淳子


■高橋正子選

【最優秀】
★山風に強くはじけて鳳仙花/小口泰與
鳳仙花は、種が熟すると自然に弾けて飛ぶが、風などの助けがあると、よく弾ける。「山風に強くはじけて」は、土地に密着した生活が覗えて、強く訴えて来る。「山風に」が効いている。(高橋正子)

【優秀/3句】
★屋根に登ればここまで秋の来ておりぬ/黒沼風鈴子(正子添削)
屋根にのぼり秋の温度差を感じている作者が見えてきます。(甲斐ひさこ)

★街裏の田にも小さき稲の花/甲斐ひさこ
街の家に囲まれもて生きていく稲のたくましさが出ていると思います。(笠間淳子)

★台風の八丈にありて海鳴りす/滑川けいこ(正子添削)

【入選/4句】
★秋澄むや小さく開く蔵の窓/柳 あや
小さく開いた蔵の窓が、すっきりと見えます。いよいよ空気が澄んできたからでしょうね。(高橋正子)

★しもつけの穂先に残る花やさし/笠間淳子
日々親しんでいるしもつけという場所への作者の思いが、穂先にさりげなく残る花のやさしさに重なり、実感のこもった御句と感じました。(臼井愛代)

★長良川大群衆の花火見る/松本千恵子
★里山に昇る朝日の秋めけり/國武光雄


■互選高点句(第1回合同句会/9月19日)最終結果

8名の方々から24句の投句があり、互選締め切りまでに7名が互選に参加されました。以下は、<第1回合同句会/9月19日>の互選最終結果です。すべて1点として集計しています。同点は投句者名五十音順となっています。

【最高点/4点/同点2句】
◎街裏の田にも小さき稲の花/甲斐ひさこ
◎屋根登るここまで秋の来ておりぬ/黒沼風鈴子

【次点/3点/同点5句】
○浅間はや定かになりて秋桜/小口泰與
○鰯雲夕空はんぶん占めており/甲斐ひさこ
○里山に昇る朝日の秋めけり/國武光雄
○庭の木の枝払われて星月夜/黒沼風鈴子
○開け放つ座敷を廻るやんまかな/滑川けいこ

(集計/臼井愛代)

第3回青樹句会(9月6日)入賞発表

2007-09-08 12:56:06 | Weblog
■高橋信之選

【最優秀】
★米くれし友と秋野に遊びけり/まえかわをとじ
「秋野」であれば、「米」は新米であろう。早稲の新米であろうか。「友」が新鮮だ。(高橋信之)

【優秀5句】
★コスモスの堤に停まる乳母車/宮本和美
童画を見ているような、心なごむ情景です。(黒谷光子)

★秋空へポプラ亭々と迷いなし/志賀たいじ
「亭々と迷ひなし」の表現がよいと思います。ありのままを素直に詠んでいることに好感を感じます。(宮本和美)
あくまでも青く澄んだ秋空にポプラが幾本か高くそびえている。先ず北海道ならではの雄大な景が浮かんでくる。下5の迷い無しがよく効いていると思う。(まえかわをとじ)
直として立つポプラから作句者の心境を感じます。(おくだみのる)

★鮎見える橋をゆっくり渡りけり/澤井渥
いきいきと泳ぐ鮎の姿を見ながらゆっくりと橋を渡ったという、ただそれだけで楽しい気持ちになれた作者の、よきひとときがそこにあります。(臼井愛代)

★赤芋茎藁もて結わえ持ち帰る/黒谷光子
食材となる畑の恵みが、藁で結わえて持ち帰られる様子に、素朴さと豊かさを感じます。(臼井愛代)

★陽を追いて向日葵生を育みぬ/おくだみのる
夏の間じゅう、強く眩しい日の下で、鮮やかな姿を見せ続けた向日葵の姿が、今また目に浮かぶようです。(臼井愛代)

【入選5句】
★ひとしきり鳴き別の木へ法師蝉/黒谷光子
暫くは盛んに鳴いていたつくつく法師、静かになったと思ったら別の樹へと移って行った。姦しいと思う鳴き声も離れてゆくと寂しくなるのも秋という季節のせいでしょうか。秋を思う一句です。(志賀たいじ)
南国沖縄でよく目にする景です。つくずく蝉とって遊んだ子供の頃思いだしたりして、懐かしさ一入です。その景が見えるようです。(下地鉄)

★刈田には人影見えず禽ばかり/大山 凉
稲刈りが済んだ田んぼの、のどかな、ほっと落ち着いた感じが伝わってきます。(臼井愛代)

★薄穂の月かげゆらす旅の空/下地鉄
月影を揺らす薄穂に、自分は今、秋の旅をしているのだという実感を強められた様子が伝わってまいります。(臼井愛代)

★今年米近江の人に貰いけり/まえかわをとじ
早くも今年収穫されたお米をいただく喜びと重ねて、近江の人への感謝の気持ちも溢れているようです。(藤田洋子)

★露草の露たつぷりとふふみたる/宮本和美
青い露草が露をたっぷりと含んで、見るからに涼しそうで、句に透明感がある。(高橋正子)


■高橋正子選

【最優秀】
★露草の露たつぷりとふふみたる/宮本和美
青い露草が露をたっぷりと含んで、見るからに涼しそうで、句に透明感がある。(高橋正子)

【優秀5句】
★流木の角(かど)みな丸し秋渚/志賀たいじ
夏の豪雨で川を流れ出した流木がやがて角が取れ、すべすべに--。さりげない秋の風物詩でしょうか。(河野渓太)

★赤芋茎藁もて結わえ持ち帰る/黒谷光子
食材となる畑の恵みが、藁で結わえて持ち帰られる様子に、素朴さと豊かさを感じます。(臼井愛代)

★今年米近江の人に貰いけり/まえかわをとじ
早くも今年収穫されたお米をいただく喜びと重ねて、近江の人への感謝の気持ちも溢れているようです。(藤田洋子)

★鮎見える橋をゆっくり渡りけり/澤井渥
いきいきと泳ぐ鮎の姿を見ながらゆっくりと橋を渡ったという、ただそれだけで楽しい気持ちになれた作者の、よきひとときがそこにあります。(臼井愛代)

★薄穂の月かげゆらす旅の空/下地鉄
月影を揺らす薄穂に、自分は今、秋の旅をしているのだという実感を強められた様子が伝わってまいります。(臼井愛代)

【入選5句】
★シニアらの漕ぐレガッタに秋日差/大山凉
秋の話題のテレビの一駒を見ているよう。しっかりと景色を捕らえられて、いい句になっているようです。(澤井渥)

★秋天を突き上げている夫婦杉/澤井渥
突き上げるような夫婦杉に、秋の空の高さ、爽やかさが一層増すようです。(臼井愛代)

★酢に和えて芋茎いよいよ紅を増し/黒谷光子
食卓をも明るくしてくれるような芋茎の紅色、季節のものをいただく新鮮な喜びが感じ取れます。(藤田洋子)

★コスモスの堤に停まる乳母車/宮本和美
童画を見ているような、心なごむ情景です。(黒谷光子)

★満月や森に胎して宙に浮く/おくだみのる
満月はどこから生まれるのだろう、と思う。森から上がる満月は、森にはぐくまれていたのだろうと思う。森の暗さ、満月の明るさに、詩情が生まれている。(高橋正子)


■互選高点句発表(第3回句会/9月6日)

8名の方々から24句の投句があり、互選締め切りまでに9名が互選に参加されました。以下は、<第3回句会/9月6日>の互選最終結果です。すべて1点として集計しています。同点は投句者名五十音順となっています。

【最高点/5点/同点2句】
◎コスモスの堤に停まる乳母車/宮本和美
◎流木の角(かど)みな丸し秋渚/志賀たいじ

【次点/4点/同点2句】
○今年米近江の人に貰いけり/まえかわをとじ
○シニアらの漕ぐレガッタに秋日差/大山 凉

【3点/同点4句】
○ひとしきり鳴き別の木へ法師蝉/黒谷光子
○秋空へポプラ亭々と迷いなし/志賀たいじ
○秋天を突き上げている夫婦杉/澤井 渥
○さんしんの音色の遠き秋の風/下地 鉄

(集計/臼井愛代)