デイリー句会入賞発表

選者 高橋正子
水煙発行所

入賞発表/9月1日(月)~9月13日(土)

2008-09-14 09:33:35 | 入賞発表
■9月1日(月)~9月13日(土)
□高橋正子選

【最優秀】
★秋潮へ舳先を定め朝の船/藤田洋子
この句の良さは、「舳先を定め」にあり、観察の確かさが伺えます。(高橋正子)

【特選/5句】
★雲の峰ところどころの空っぽ田/大給圭江子
「雲の峰」と「空っぽ田」との取り合わせには、意表をついたところがあるが、無理のない絵がある。私の好きな句だ。(高橋信之)

★水澄むや森の緑の朗らかに/河野啓一
「水澄む」があって、緑の「朗らかに」が生きた言葉となった。生きいきとした詩がある。(高橋信之)

★ざっくりと包んでくれし新しょうが/前川音次
新しょうがは、新涼の季節に収穫できる。「ざっくりと」は、この季節にふさわしい感覚だ。 (高橋正子)

★新涼のあたらしき坂あたらしき朝/尾 弦
夏ならば、「涼し」である。秋になるとまた再びあらたな涼しさが訪れる。坂を上るにも、この朝も、さわやかにあたらしい。(高橋正子)

★信濃路は四方に山の爽かなり/大山正子
信濃路の四方は山。どの山も、その高さも、その色も、爽か。(高橋正子)
※もとの句の「莢」は、豌豆などの「さや」です。

【入選/12句】
★ねこじゃらし振っては児童駆けてくる/祝 恵子
どこにでも見かける学童の風景だが、読み手の心に入って楽しい句だ。子どもが元気であれば、未来が明るい。(高橋信之)

★吹かれ来し木の葉を沈め水澄みぬ/竹内小代美
★純白の花より生(あ)れし赤林檎/奥田 稔
★菜を洗う新涼の水やわらかき/吉川豊子
★秋の野へ声下ろしたる渡し舟/小口泰與
★葛の花子ら通う道に匂い立つ/飯島治朗
★稲光夜の窓枠真っ白に/多田有花
★さわやかに髪カットして旅支度/黒谷光子
★潮の香を纏いて登校休暇明け/池田多津子
★秋めくや野辺の仏の影長し/國武光雄
★朝礼の空いっぱいに赤とんぼ/小西 宏
★コスモスの風の中より車椅子/宮本和美