★10月12日の本大会の翌日は、分科会に分かれて様々なテーマが討議されました。第1分科会は、テーマが「地域資源の再発見」から国際化・インバウンドへの対応。第2分科会は「顧客起点の観光地づくり」~移住を視野に入れた新戦略。第3分科会が「資源を活かす 地域を活かす」~温泉・食・宿。さらに第4分科会が「世界一の海底トンネル見学」となっています。
★私としては、観光カリスマ大西 雅之氏の話に興味があったので、第3分科会に出席させていただきました。
★この分科会には、温泉博士の異名を取る札幌国際大学観光学部の松田 忠徳 教授、真狩村にレストラン「マックリーナ」をつくったフランスレストラン・モリエールノオーナーシェフ中道 博 氏、そして、(株)阿寒グランドホテル社長大西 雅之 氏という個性的な構成となっています。
★まず、松田教授が、簡単な発表を行いました。内容は、
-今は、温泉の危機、ひいては、温泉経営者と温泉行政の危機である。宮崎ではレジオネラ菌の集団感染で7名が死亡、平成14年の白骨温泉の入浴混入事件など。温泉旅館の宿泊客は、年々減っており、平成16年は、9.5%減。北海道は、これまで1位だったが、統計的には平成17年に静岡県に抜かれるはず。全体を見ていると、北海道観光は、沖縄観光に負けつつある。
-温泉文化の危機ともいえる。かつて、病気を治せないのは、温泉ではない。」はず。これが「源泉かけ流し宣言」につながっている。今、客が求めているのは、「本物」と「静けさ」。「安全・安心」とともに、消費者のニーズに応える必要がある。
★松田教授は、「温泉文化は日本の文化」でありアドバンテージという強い信念があるようです。「本物」志向であれば、不便ででも客は来るという考えで、実際に実践されています。これが後で、議論を呼ぶことに。
★次に中道シェフがコメントしました。
-よく料理は、「見て覚えろ」と言われるが、高いレベルの技術はそんな簡単に習得できないはず。また、講義だけではなかなか伝わらないものがあり、「料理人学会」を立ち上げた。
-料理人には、次の3つの側面がある。
①(料理を)つくる、②(店や料理人の)管理、③(メニューなどの)開発。人には得手不得手があるのに、ホテル側は、料理人はオールマイティと錯覚している。「なんでもできる」ように言われ、いわばほめ殺しになってしまう料理人も多い。
-行政が仕掛けて、「地産地消」をやっているが、食べ物に対する敬意を感じない。小皿でつまようじで食べるようなものではダメだ。料理というのは、最高の状態で楽しんでもらうべき。
★阿寒グランドホテルの大西社長からは、
-道東(十勝支庁、釧路支庁、根室支庁、網走支庁)は、九州に匹敵する広さ。民間レベルで冬の7大まつりの連携や「ホワイトエクスプレス」(ひがし北海道エクスプレスバス)という長距離バス網を整備した。今、「あすらんて」という取組をしている。「あすらんて」とは、アイヌ語で「特別な店」という意味。道内レストランのミシュランを目指している。これに関連して、道庁で、道内ホテルのミシュランをつくろうとしたが、反対にあって立ち消えになってしまった。道庁が提示した案は、色々な項目をチェックリスト化して、主観の入らない形でやるやり方だった。これだけサービスに厳しい時代なだけでに取り組んでほしかったが。
-道東観光は、新千歳空港から回ってくるが、これは、広島空港に降りて、九州を回るのと同じことで、相当無理な行程。いかに道東から入り回遊させるかが課題。
-阿寒湖温泉でも「阿寒湖温泉再生プラン2010」を策定し地域再生に取り組んでいる。まりも倶楽部というのを組織しており、構成メンバーは、若者+よそ者+バカ者+女性、年寄りさらに外国人で観光ルネサンス事業に取り組んでいる。
-また、地域性として、アイヌ文化を大事にしようということで、バリ島のウブドをモデルにして、ホテル内の内装や部屋づくりにアイヌ文化を取り入れている。 ・・・・・(続く)