高齢者介護を必要とされる方が介護認定を受け、介護サービスを受けるとき、どのようなサービスがその方に適しているか、それを考え、取りまとめるものが「ケアプラン」です。私が勤務する「特別養護老人ホーム」でも入所者のみなさん一人一人に対してケアプランが作成されています。
施設では概ね半年に一度、各入所者のみなさんお一人ずつのケアプランの作成(見直し)を行います。介護職員はそれぞれ担当する部屋があり、そのお部屋の入所者のケアプラン作成の際には施設内の他のセクションの方々と会議を行います。他のセクションとは、看護・栄養士・リハビリ担当・施設長、そしてケアプランの取りまとめを行うケア・マネージャーです。
先日、私が担当するお部屋の方4名のうちAさんとMさん2名の方のケアプラン作成の会議がありました。私が担当するお部屋は男性4名のお部屋、そして比較的要介護度の低い方々です。要介護度の低い方といっても、特養に入所されている方ですからそれぞれ問題点はあります。
Aさんは今年6月に蜂窩織炎(ほうかしきえん)という脚がむくんで熱をもってしまう病気に罹り、1ヶ月程度入院されてしまった方です。脳梗塞により右半身の麻痺も患っていもいらっしゃいます。幸い蜂窩織炎については治療が成功して、悪化することなく現在まで至っています。
今回のAさんのケアプラン作成では6月の入退院以後の状況を鑑みて、主に病気の治療と治療に伴う介護の要点確認を行いました。
介護の要点では、脚のむくみという病気の性質からベッド上で安静にしていただく時間を確保することが問題になりました。Aさんは認知症の症状もなく、ご自分の意思で早朝から夕食後まで、そのほとんどを離床して車椅子上で過ごされることを好まれています。お元気なうちはできるだけ自由に動きたいというお気持ちもおありなのでしょう。ただ、車椅子に座るという行為は脚のむくみに対しては好ましいことではありません。できるだけベッドで横になって休んでいただく時間を確保するよう工夫してみることになりました。
時間の確保は意外と難しいものです。午前・午後それぞれの通常スケジュールの中でなんとか1時間弱の安静時間を確保するのがやっとの状況です。わずかな時間ですがAさんの治療に役立つのであれば幸いです。
Mさんもまた今年は入退院があった方です。それも6月と8月に延べ3ヶ月ほど入院されていました。Mさんは肝機能に障害がおありで肝硬変と診断されています。退院して施設に戻られてからはお元気がなくなったように見受けられました。肝硬変であることはご本人には正しく伝えられていません。でもご自分の意思がはっきりしているMさんは自分の病気が肝臓がんではないかと疑っておられるようです。今は肝臓がんではないのですが、肝硬変が肝臓がんに移行してしまう可能性は否定できません。肝臓がんではないことを伝えながらも肝硬変であることを正しく伝えてしまうのは危険です。Mさんとのコミュニケーションで病気に関する話題のときには注意が必要です。
Mさんのケアプランでは日常生活面でのケアも問題となりました。Mさんはお食事も入浴もトイレの利用も自力で行うことが可能な方です。身の回りのことはほとんど自力で行えるので、私たち介護職の手を煩わせることはほとんどありません。逆に私たちの介護を拒絶することがあります。例えば居室内の清掃・衣類の整理などは定期的に行わなければいけないのですが、私たちが居室に入ることを強行に拒んでカーテンでベッドの周りを囲んでしまうこともしばしば。。。
衣類も痛んだり破れたりして処分し、新しいものと入れ替えなければならないことも間々あるのですが、Mさんは5年以上も同じ衣類を着まわしています。これには経済的な事情もあります。Mさんは生活保護を受けていらっしゃる方であるため、ほとんど買い物をなさいません。やはり倹約されているのでしょう。しかし、いくらなんでも5年以上着まわした衣類はヨレヨレになったものばかりです。施設長にMさんからお預かりしているお金の残高を確認し、必要最低限の下着と冬物衣類を近々買うことになりました。
ケアプランの作成はその分野が多岐にわたります。私のような経験の浅い介護職員にとってはとても勉強になる場です。取りまとめ役のケアマネージャーは介護主任も兼ねています。つまり私たちの直属の上司です。上司と一緒にケアプランを立案するということは、職場での職員指導の一環という面もあります。
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私は一人の女のケアプランさえ満足に出来ず、大勢の方々のプランを策定し、実施するノンには頭が下がる思いです。
出来る限りのことをしたいとの思いと、実際に出来ることのギャップに歯がゆさ・限界を感じますよ。
無理しない程度で、お仕事・音楽に精一杯頑張れ~~☆
その方のことを想っていることだけでもケアになるのではないでしょうか?焦っても仕方のないことだし。。。
良い方向に進むといいですね♪