柳川は詩人北原白秋を輩出した文化の町である。
ひな祭りの時に飾られるさげもんめぐりや冬に風情あふれるこたつ舟など実に上品で落ち着いた時を過ごせる素敵な町なのである。
そんな柳川に住んでいながらどろつくのヤロウは生まれ持っての天然ボケである。
ヤツの小鉢にからしを入れりゃ「なんか酢がきいとるなあ!」と言いながらしばらくパクパク食べるし(あとで怒るんだけど)、ビールに焼酎を混ぜて注いであげれば「なんか変わった味やなあ!」と言いながらいつまでも飲んでやがる。(あとでブーブー言うんだけど)。
そんなどろつくが殊勝にもお歳暮を贈ってくれた。
僕は大いに誤解していたのだ。
どろつくはとても律儀な好青年だったのである。
ヤツは海苔屋の社長なので中身は見なくてもわかる。
以前ももらったことがあるが、どろつく自慢の海苔ざんまいである。
ぱりっとした海苔でごはんを巻いて食べると実にうまい。
天然素材を生かしてる分、ごはんがより一層おいしく感じる一品なのである。
さっそく開封!
ちゃんとノシまで貼ってるではないか!
本当に律儀なオトコである。
・・・なんだこれ。
いきなり「お中元」ってなんでやねん!
「捨てるのもなんだし」ってどういうこっちゃ!
「何か?」って、言いたいことはいっぱいあるわい!!!
こういう天然ボケのエロじじいと仲良くするから僕の上品で紳士なところが認められないのである。
まったくどろつくのヤロウ!
絶対仕返しすっかんな!
悔しいけど海苔は食っちまうぞ、うめえからさ!