第10話「開く過去の扉」。
ついに亮司(山田孝之)は笹垣(武田鉄矢)に出くわしてしまいました。
例のハサミで襲いかかる亮司。さて笹垣は・・・。
第10話はすごくよかったです。人間ドラマですよ。
亮司が書いていた小説は幽霊のお話。まさに亮司の人生そのものでした。
何をしても気づかれない男の話。でもそれは裏を返せば「誰にも気づいてもらえない」ということ。
気づいてくれた人間を青酸カリで殺してしまうという結末に、典子(西田尚美)は殺さないで欲しいと懇願しました。
主人公の男が目的を達成したら、その男も死んでしまう。すなわち現実の世界では亮司がいなくなってしまうことを直感したんですね。
思わず本当のことをすべて言ってしまいたい衝動に駆られた亮司。
やはり翌日、典子のもとを去ってしまいました。
笹垣探偵事務所に青酸カリを仕掛けにいくと、母弥生子の遺骨を発見し、絶句する亮司。さらに笹垣のノートを見つける。「桐原亮司・唐澤雪穂」というタイトルのノート。
そこにはあの事件から弥生子の自殺までがすべて書き記されていた。
それを読んで亮司は涙を流してしまった。
誰かに自分のことをわかってもらっては困る人生。だからこそ自分のことが知られるのが怖くて典子のもとも去った。
しかし、笹垣は詳細に亮司の歩んできた「人生」を知っていた。
幽霊なのに、笹垣にはきちんと気づいてもらっていたということなんですね。
ここまで自分が生きていた証を知ってくれていた笹垣にクラっときてしまったのですね、亮司は。母親を亡くした直後だったというのも大きかったのではないでしょうか?
雪穂(綾瀬はるか)は礼子(八千草薫)を殺してしまったことをやはり後悔しているようですね。
篠塚(柏原崇)にサボテンのことを話しているうちに礼子の厳しくもありやさしかった姿が次々に脳裏によみがえってきました。
このことによって礼子を失っただけでなく、亮司も失ってしまったようです。
「人の愛し方がわからない」という雪穂。
いつも親の役に立てなかった。でも小さい頃、親の役に立つということは売春を意味していた・・・。
礼子にはよくしてもらたのに、お返しもできずに殺してしまった・・・。
愛したくても、その表現方法が雪穂にはわからないのかもしれませんね。
図書館の真文(余貴美子)さんがいいことを言ってくれました。
「私が気づいていれば」、「あんなにSOSを出していのに」、「悪いのは大人じゃないですか、気づかなかった私じゃないですか」と自分を責めていました。
誰かに気づいて欲しかった亮司ですから、その通りかもしれません。
笹垣は「あいつらは悪いこととわかってやっている、だまされちゃいけない」というようなことを言っていました。いかにもお約束のようなことをいうと思ったら、
「もし責めをともに負うとしたら私だ」と言った。
みんな(弥生子も含めて)それぞれ亮司・雪穂に何もしてあげられなかったという想いがあるのですね。
おとなたちも自分と向き合いはじめたようです。
先週までは表面だけ捉えると、ただの殺人ドラマでした。それも自分たちが捕まらないためには手段を選ばない最悪の犯罪ばかり。
でも裏返すとその事件にかかわった人たちそれぞれのドラマがあるというか、想いがあるのですね。
なぜ人は事件を起こすのか?
「それはアホだから」というだけでは片付けられないもののようですね。
犯罪学の古い理論に「ボンド理論」というのがあります。
なぜ人は犯罪を犯さないのかいう問いに対して、ボンド(接着剤)でどこかにくっついているからという意味です。
それは、家族、恋人、友だち、会社の仲間、地域の人、学校の先生といった人間関係であったり、社会的地位といった世間体であったりします。
つまりどこかとつながっているから犯罪を抑止できているというひとつの考えです。
誰にも気づいてもらえなかった亮司。
子どもの頃からそうだったのかもしれませんね。
だから幽霊じゃいけないんです。世間との接着剤はもしかしたら笹垣なのかもしれませんね。
悲しいことにラストで亮司が死んでしまうのは第1話からわかっていることですが、
せめて雪穂には世間との接点を見つけてあげて欲しいです。
それができるのは「似ている」という篠塚なのかもしれませんね。
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ついに亮司(山田孝之)は笹垣(武田鉄矢)に出くわしてしまいました。
例のハサミで襲いかかる亮司。さて笹垣は・・・。
第10話はすごくよかったです。人間ドラマですよ。
亮司が書いていた小説は幽霊のお話。まさに亮司の人生そのものでした。
何をしても気づかれない男の話。でもそれは裏を返せば「誰にも気づいてもらえない」ということ。
気づいてくれた人間を青酸カリで殺してしまうという結末に、典子(西田尚美)は殺さないで欲しいと懇願しました。
主人公の男が目的を達成したら、その男も死んでしまう。すなわち現実の世界では亮司がいなくなってしまうことを直感したんですね。
思わず本当のことをすべて言ってしまいたい衝動に駆られた亮司。
やはり翌日、典子のもとを去ってしまいました。
笹垣探偵事務所に青酸カリを仕掛けにいくと、母弥生子の遺骨を発見し、絶句する亮司。さらに笹垣のノートを見つける。「桐原亮司・唐澤雪穂」というタイトルのノート。
そこにはあの事件から弥生子の自殺までがすべて書き記されていた。
それを読んで亮司は涙を流してしまった。
誰かに自分のことをわかってもらっては困る人生。だからこそ自分のことが知られるのが怖くて典子のもとも去った。
しかし、笹垣は詳細に亮司の歩んできた「人生」を知っていた。
幽霊なのに、笹垣にはきちんと気づいてもらっていたということなんですね。
ここまで自分が生きていた証を知ってくれていた笹垣にクラっときてしまったのですね、亮司は。母親を亡くした直後だったというのも大きかったのではないでしょうか?
雪穂(綾瀬はるか)は礼子(八千草薫)を殺してしまったことをやはり後悔しているようですね。
篠塚(柏原崇)にサボテンのことを話しているうちに礼子の厳しくもありやさしかった姿が次々に脳裏によみがえってきました。
このことによって礼子を失っただけでなく、亮司も失ってしまったようです。
「人の愛し方がわからない」という雪穂。
いつも親の役に立てなかった。でも小さい頃、親の役に立つということは売春を意味していた・・・。
礼子にはよくしてもらたのに、お返しもできずに殺してしまった・・・。
愛したくても、その表現方法が雪穂にはわからないのかもしれませんね。
図書館の真文(余貴美子)さんがいいことを言ってくれました。
「私が気づいていれば」、「あんなにSOSを出していのに」、「悪いのは大人じゃないですか、気づかなかった私じゃないですか」と自分を責めていました。
誰かに気づいて欲しかった亮司ですから、その通りかもしれません。
笹垣は「あいつらは悪いこととわかってやっている、だまされちゃいけない」というようなことを言っていました。いかにもお約束のようなことをいうと思ったら、
「もし責めをともに負うとしたら私だ」と言った。
みんな(弥生子も含めて)それぞれ亮司・雪穂に何もしてあげられなかったという想いがあるのですね。
おとなたちも自分と向き合いはじめたようです。
先週までは表面だけ捉えると、ただの殺人ドラマでした。それも自分たちが捕まらないためには手段を選ばない最悪の犯罪ばかり。
でも裏返すとその事件にかかわった人たちそれぞれのドラマがあるというか、想いがあるのですね。
なぜ人は事件を起こすのか?
「それはアホだから」というだけでは片付けられないもののようですね。
犯罪学の古い理論に「ボンド理論」というのがあります。
なぜ人は犯罪を犯さないのかいう問いに対して、ボンド(接着剤)でどこかにくっついているからという意味です。
それは、家族、恋人、友だち、会社の仲間、地域の人、学校の先生といった人間関係であったり、社会的地位といった世間体であったりします。
つまりどこかとつながっているから犯罪を抑止できているというひとつの考えです。
誰にも気づいてもらえなかった亮司。
子どもの頃からそうだったのかもしれませんね。
だから幽霊じゃいけないんです。世間との接着剤はもしかしたら笹垣なのかもしれませんね。
悲しいことにラストで亮司が死んでしまうのは第1話からわかっていることですが、
せめて雪穂には世間との接点を見つけてあげて欲しいです。
それができるのは「似ている」という篠塚なのかもしれませんね。
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