どうしても気にかかるので今日は原発問題に触れておきたい(9/16参照)。
日本の新聞各社は、「IAEAが、ストレステストが適切であったと結論した」と報じている。朝日新聞は大飯原発再稼働のお墨付きが得られたという。IAEAの中間報告の結論は、「ストレステストの結果に対する原子力保安院の評価は、IAEAの安全基準と一般的には(generally)矛盾しない」である。generallyの意味はいろいろあるが、ここでは、「詳細はともかくとして」であろうか。
ニューヨークタイム紙によると、IAEAのスポークスマンG Webb氏は、「IAEAは大飯原子力発電所の安全性を保証しているものではない。原子炉の安全性についてとやかく言うことは出来ない。原子炉の危険とそれによって得られる利益を天秤にかけ運転を再開するかどうかが決まるであろう。これは日本国がすることである。」と述べている。
大飯原子力発電所のストレステストによると、津波の際、全く安全なのは津波の高さが4.65メートル以下の場合である。それ以上になると、11.4メートル以下では補機冷却水が、13.5メートル以上になると主給水も止まるという。これに対して、恒設非常用発電機の設置が予定されているが、これは未完成である。現在のところ、ディーゼルエンジンと非常用発電車が用意されている。それらの設置場所については良く理解していないが、果たして緊急時に発電車を運転してエンジンに到達し、接続することが可能かどうか疑問を感じる。
IAEAの調査員は、どのような高さの津波が発生する可能性があるのか、当然御存じないはずである。したがって、上のような数値が与えられていると、「一般的には矛盾しない」ということになってしまう。しかしながら、日本人にとっては深刻である。福島発電所の事故でその恐ろしさは嫌というほど体験している。しかも、もし同じような規模の事故がもうひとつ起こったら、日本国は壊滅的な被害を受けるであろう。
心配なのは、運転中の原子炉だけではない。多くの原子炉で、燃料貯蔵用プールが原子炉建屋の高い階に存在する。地震でプールに穴があいたりまた水冷が止まると、燃料が過熱し水素爆発などの危険性がある。特に運転停止後間もない原子力発電所が問題である。
日本のメディアは、もう少し心配性であってほしい。