【時事(爺)放論】岳道茶房

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11/3余録

2010年11月03日 | コラム
11/3余録 テロ情報ネット流出

 第二次大戦中の1943年、中立国スペインの海岸に英軍少佐の死体が流れ着いた。そのかばんからは連合軍のギリシャ侵攻作戦の書類が見つかった。当時スペインはドイツ情報部に秘密協力しており、作戦はドイツの知るところとなる。

 作戦名「ミンスミート(リンゴや干しぶどうなどで作るパイの具)」で知られる英国の対独偽情報工作の傑作だ。飛行機事故を偽装した死体は英軍が用意したもので、狙いは連合軍のシチリア侵攻の目くらましである。ドイツ人が書類を見るのもみな計算済みだった。

 後に敵が偽装にだまされたのを確認した作戦担当はこう報告した。「ミンスミートは丸のみされた」。いやはや油断もすきもない国際情報戦だ。さて各国の情報機関が国際テロに神経をとがらせる今、降ってわいた日本でのテロ捜査情報の大量ネット流出の怪である。

 警視庁で国際テロ対策にあたる部門の内部資料と見られる文書100点以上がインターネット上に流出したという。当局は文書が本物のデータか否かは未確認としているが、流出はウイルスや過失によるものではなく、何者かが故意に行った可能性が指摘されている。

 資料にはテロ情報収集の協力者の身元も含まれているというから、その身辺に危険が及ぶ恐れがある。また米連邦捜査局(FBI)との協力に関する資料もあり、交換情報の保秘について海外対テロ機関の信用を失いかねない。いずれも情報のプロには致命的事態だ。

 ここは日本警察の威信をかけ「流出」の真相解明を急がねばならない。むろん情報漏えいを装い、テロ組織にミンスミートを与えたのならその限りではない。


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