夢をかなえる新聞・聖教新聞 -人間革命の指針-

聖教新聞は夢をかなえる新聞です。その中より「新・人間革命」、名字の言、体験から夢をかなえゆくための指針をつづります。

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2011-11-27 22:13:39 | 小説「新・人間革命」
 労働運動に嫌気が差した山内光元は、半ば、自暴自棄になっていた。

 〝結局、世の中は、もともと不平等にできているんだ!

 どこに生まれるか。平和な国か、戦争に明け暮れる国か。先進国か、発展途上国か。大都市か、田舎か――それだけで、運命の大枠は決まってしまう。

 さらに、金持ちの家か、貧しい家か。どんな親のもとに生まれたか――それで、ほぼ人生は決定づけられる。

 そして、自分が、生まれながらに病弱であったり、障がいがあれば、一生、大きな苦しみがついて回る。

 では、その運命を決めるのは何か。偶然の産物なのか……〟

 考えれば考えるほど、わからなくなった。

 彼は、五十歳になろうとしていた。その五十年の人生自体が、意味のないもののようにも思えるのだ。

 そんな時、病院通いをしていた妻の照子が、近くの学会員から仏法の話を聞き、入会したいと言いだした。

 「創価学会? どんな宗教なんだ」

 「私も、詳しくはわからないけど、人間のもって生まれた宿命を転換し、みんなが幸せになれる教えだということです」

 「人間の運命を転換できるというのか!」

 「なんでも、南無妙法蓮華経というのが、宇宙の根本法則なんだそうですよ。日蓮さんが顕した御本尊に、この南無妙法蓮華経という題目を唱えていけば、宇宙の根本法則に合致して生きることができ、宿命も転換ができると言っていましたね。

 そして、『あなたも、必ず病気を克服し、健康になることができます』って、確信をもって言われたんです。

 ただ、困ったことがありましてね。正しい御本尊を信じて、祈ってこそ、幸せになれるので、神札とか、これまで祈っていた対象物は、自分で処分し、新しい決意で信心を始めるように言われたんですよ」

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