商標と著作権の違いは五輪エンブレム問題で多くの人に理解されるところとなった。でも、商標と地理的表示はいまだ理解する人は少ない。そこで、両者のちがいについて少し考えてみよう。
①商標は、一自然人、一法人又は一団体が独占的に使用できる知的所有権であるが、地理的表示は、その産地の人々の共通の財産であり、1人が独占的に使用できる権利ではない。②商標は、産品の品質を証明していないが、地理的表示は、生産基準の設定及び管理・監督機関の設立等の義務付けにより、産地と関連する品質を証明している。
③商標は、産地名は識別力がない、あるいは特定の者に独占的な使用を認めるのは適切でないとの理由から基本的には保護の対象としない。しかし地理的表示は、産地名を表示し保護するものである。④商標はその権利を自由に譲渡できるが、地理的表示は、基本的には譲渡できない性格のものとされている。特に産地外の生産者等に譲渡することはできない(詳しくは、農水省で要確認)。
以上の商標と地理的表示の性格の違いを考察するに当たって重要なことは、商標は原則として一企業に対して独占的な使用を認めるものであり、もし、その商標の産品の品質が名声にふさわしくないものになった場合は売れなくなり、その責任はその商標権をもつ企業がとることになる。
一方、地理的表示は、その地域に属する人の共通の財産であり、地域に属する人は一定の条件に合致して生産を行う限り誰でも使用できる権利とされている。これが大まかな両者の違いで~す。
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