IPSO FACTO

アメリカの首都ワシントンで活動するジャーナリストの独り言を活字化してみました。気軽に読んでください。

アルチ・ブラジレイラに目を丸くした夜

2006-08-28 14:35:01 | ハリケーン「カトリーナ」関連
週末にカポエラのパフォーマンスを見に行ってきた。アレキサンドリアの南にある教会の施設で行われたパフォーマンスには、ボストンやロードアイランドでカポエラを学ぶ人たちも来ていて、想像以上にダイナミックかつ素早い動きに、僕は一緒に見ていた友人と終始「すごい…」と言い続けていた(ボキャブラリー不足です、はい)。このパフォーマンスにはアメリカの某ニュース局で働いている日本人の友人と、彼女の旦那さんも参加していたんだけど、格闘技の力強さとダンスの優雅さがバランスよく融合された美しさがあった。少し前にこの友人と食事をした時、彼女の腕に打撲の痕がいくつもあったので、僕は本気で「家庭内暴力?」と心配したんだけど、あとになってカポエラの練習で受けた打撲だったと聞かされ、しかも大笑いまでされている。昨日のパフォーマンスを見て分かったんだけど、練習でアザだらけになるのも間違いない。かなりの衝撃を受けました!さて、今日はハリケーン「カトリーナ」とブッシュ政権のイメージに関する話をニューヨーク・タイムズ紙の記事から。

この数週間以内にアメリカ国内では911同時多発テロ事件から5年目を迎え、ハリケーン「カトリーナ」からも1年を迎える。自らを「慈悲深い保守主義者」と呼ぶブッシュ大統領だが、911テロ事件とカトリーナにおける対応では、全く異なるイメージを国民に対して与えており、昨年8月末に発生したハリケーンがブッシュ政権や共和党にとって大打撃になるだろうと指摘する声も少なくない。911テロ事件発生直後のブッシュ大統領のイメージといえば、倒壊した世界貿易センタービルの瓦礫の上に足をのせ、拡声器を手にしながら国民を勇気付けようとする姿だった。しかし、カトリーナ発生直後の大統領といえば、夏休みを過ごしたテキサス州クロフォードからワシントンに戻る際に、被災地上空を飛ぶ大統領専用機の窓から下を眺め下ろす写真のイメージが今も強烈に残っている。被災地の住民の多くが貧困層であり、黒人であったことから、エアフォース・ワン内で撮影されたスナップショットはブッシュ大統領の「慈悲する心」に疑問を投じている。

カトリーナ発生以降、ブッシュ大統領はイメージ改善に努めてきた。議会に対しては、数百億ドル規模の被災者支援予算を承認するよう催促し、全米有色人地位向上協会(NAACP)の会合でスピーチも行い、南部湾岸地域にも数回足を運んでいる。ブッシュ大統領は今月28日と29日も被災地を訪れる予定だ。しかし、戦時大統領として確立されてしまったブッシュ大統領のイメージは、アメリカ国内の災害に対しては無関心という別のイメージも作り上げてしまい、弱い立場にある自国民が災害で苦しむ様子を上空から眺めているだけだという「新ブッシュ像」が確立されてしまった。ブッシュ政権の災害対策に不満を示す国民は多く、ニューヨーク・タイムズ紙とCBSニュースが共同で行った最新の世論調査では、全回答者の51パーセントが「ブッシュ政権は被災者が必要とする復旧・支援活動は行っていない」と答えている。昨年9月に行われた調査では、48パーセントが同様の回答をしており、ブッシュ政権の対応に不満を示す人がハリケーン発生直後よりも増加している。

「カトリーナ発生後の対応のまずさは、ブッシュ政権の汚点として長く記憶されるでしょう」、アメリカン大学のジェームズ・サーバー議会・大統領研究センター所長はそう語った。ホワイトハウスはすでに総額で1100億ドルのカトリーナ復興支援予算を計上し、そのうちの440億ドルがすでに使われている。連邦緊急事態管理局(FEMA)は約95万人の被災者に対して仮設住宅(トレーラー)を供給するために60億ドル以上を使っており、これはFEMAによる単一の災害復興支援としては最高額となる。しかし、アメリカ国民の反応は冷ややかで、ブッシュ政権や連邦政府による復興プロジェクトに不満を持つ人は少なくない。「自国民に対して冷たい」というブッシュ政権のイメージは今秋に行われる中間選挙にも少なからず影響を与えそうで、民主党上院選挙委員会のトップでもあるチャールズ・シューマー上院議員(ニューヨーク州)は、民主党の各候補者が選挙活動の中でカトリーナについて必ずといっていいほど言及していると語った。

の大好きなサミュエル・L・ジャクソンが最新作「スネークス・オン・ア・プレーン」でスクリーンに戻ってきている。個人的には映画館にまで行って見る映画なのかなぁとも思うんだけど、先週だけで2人の友人からこの映画を見に行こうと誘われた。どんな映画なのかというと、殺し屋が飛行中の旅客機の中で何匹ものヘビを放ち、乗客が犠牲になっていくというパニック映画らしい。プロットだけを聞いていると、どうにもB級映画のイメージしか持てないんだけど、ボストン・グローブ紙の映画批評ではAマイナス、サンフランシスコ・クロニクル紙もBプラスという評価を出している。映画の中でサミュエル・L・ジャクソン演じる主人公が、「I have had it with these motherf**king snakes on this motherf**king plane!」というセリフを叫ぶんだけど、これが凄く彼っぽいセリフだなと僕らの間でちょっとした評判になっているのだ。少し前のトークショーに出演したジャクソン本人ですら、「このセリフが僕のキャリアの中で一番気に入っているよ」とコメントしている。なんだか、DVD化まで待てないような気がしてきました。

写真:26日にアレキサンドリアで行われたカポエラのパフォーマンス (筆者撮影)