IPSO FACTO

アメリカの首都ワシントンで活動するジャーナリストの独り言を活字化してみました。気軽に読んでください。

自称レムラードソース研究家のクリオール料理店めぐり

2006-08-16 15:20:44 | エンターテーメント・カルチャー
昨日のブログで紹介したスパイク・リー監督のドキュメンタリーだけど、被災者へのインタビューを多く含んだ4時間の作品という以外、あまり情報は無い。ただ、16日のプレミアを前に作品の試写会に参加したニューズウイーク誌の記者は「リー監督の20年のキャリアの中で、最も重要な位置づけとなる作品かもしれない」という批評を残している。僕はニューオーリンズで16日に行われるプレミアには参加できないので、21日夜のテレビ放送を待つしかないんだけど、15日のロイター通信は何人もの被災者がカメラを見つめながら当時の様子を語るシーンが多く、ナレーションはほとんど挿入されていないと伝えている。リー監督はロイター通信の取材に、「製作で最も難しかった部分は、被災者にカメラの前で当時の様子を話してもらうことだった」とコメントしている。僕もニューオーリンズ滞在中、インタビュー中に何人かが涙を見せる場面に遭遇した。29日にはハリケーンから1年を迎えるけど、被災者が心の傷を癒すには、まだまだ時間がかかるんだと思う…。さて、今日は映画『ワールド・トレード・センター』にまつわる話をAP通信の記事から。

オリバー・ストーン監督の最新作『ワールド・トレード・センター』は今月9日から全米で公開され、11日までに約2600万ドルの興行収入を記録し、好調な滑り出しを見せている。この作品は2001年9月11日に発生した同時多発テロ事件で倒壊したワールド・トレード・センターが舞台となっており、ハイジャックされた旅客機がビルに突入して間もなく救出活動に向かった2人の警察官の話だ。実話をベースに作られた『ワールド・トレード・センター』は、救出活動に向かったジョン・マクローリンとウィル・ジメーノの2人の警察官がビルの倒壊に巻き込まれ、地下に閉じ込められた2人がやがて救出されるまでを描いており、人気俳優のニコラス・ケイジがマクローリン役を演じている。マクローリンとジメーノの両氏はやがて1人の海兵隊員によって救出されるのだが、この海兵隊員は2人を助け出した後ですぐに現場から立ち去っており、映画の製作スタッフの間でもミステリアスな存在として語られていた。

映画のプロデューサー達でさえ、この海兵隊員については何も知らず、この兵士が2人の警察官に「トーマス伍長です」と語ったことだけが唯一の情報であった。しかし、「トーマス伍長をめぐるミステリー」は最近になって意外な展開を見せる。数週間前にオハイオ州コロンバスの自宅でソファーに寝転がってテレビを見ていたジェイソン・トーマスさんは、番組の合間に流された『ワールド・トレード・センター』のコマーシャルを見て仰天した。コマーシャルには2人の海兵隊員が懐中電灯を使って倒壊したビル内部で救出活動を行うシーンがあり、トーマスさんは「これは僕らじゃないか」とすぐに確信した。現在はオハイオ州最高裁判所に勤務するトーマスさんだが、テロ事件が発生した当時はロング・アイランドに住んでいた。そして、トーマスさんは先週、「自分が映画の中で出てくる海兵隊員だった」と自ら名乗り出たのだった。

『ワールド・トレード・センター』でプロデューサーをつとめたマイケル・シャンバーグ氏はAP通信の取材に対し、「トーマスさんとジメーノ氏がすでに電話で話をしており、会話の内容は2人だけが知りうるほど細かなものだった」と語り、トーマスさんが間違いなく救出活動にやってきた海兵隊員だったと語った。トーマスさんはテロ事件が発生する1年前に海兵隊を除隊していたが、母親から「旅客機がワールド・トレード・センターに突入した」という一報を電話で受け、すぐに自家用車でマンハッタンに向かっている。トーマスさんは同じく元海兵隊員のデービッド・カーネスさんと共に除隊後に保管していた軍服を着用し、倒壊現場で救出活動を開始した。「海兵隊時代に救出活動の訓練は受けていましたし、ビルに飛行機が突っ込んだという一報を聞いたときには、僕らが何かの役に立てると感じたんです」、トーマスさんはそう語った。トーマスさんはビル倒壊現場で約2週間ほど救出活動のボランティアを続けたのだという。

今日は友人とニューオーリンズ料理の店に行ってきたんだけど、僕がワシントンで行ったレストランの中で間違いなくベスト3には入るほどの美味しさで、特にガンボ(魚介類やソーセージなんかが入ったスープ)は毎日飲みに通いたいくらい素晴らしかったのだ。先週から友人とニューオーリンズ料理店に行こうと計画し、少し前にニューオーリンズに5日ほど滞在したことを口実に、「この店がいいんじゃないかと思う」と思いっきり知ったかぶりの知識で見つけてきたのが今日行ったスターフィッシュ・カフェなんだけど、結果として凄くいい店を知ることができました。料理もよかったけど、今日一緒に行った3人が僕を含めて全て同世代だったので、いろんな話で盛り上がり、久しぶりに腹筋が痛くなるディナーを堪能した。グリルした魚にレムラードソースをかけた料理を食べたんだけど、今月に入ってからの僕のレムラードソース消費量はハンパじゃないと思う。数週間前にニューオーリンズの空港で購入した2本のレムラードソースはもうほとんど無い状態で、オンライン通販で取り寄せようと真剣に考えている。ニューオーリンズではホットドッグにもレムラードソースがかかっていたけど、これが結構イケるんです。レムラードソースの研究、マイブームとしてまだまだ続きそう。


写真:5年前の9月に撮影されたジェイソン・トーマスさんの写真 (AP通信より)