IPSO FACTO

アメリカの首都ワシントンで活動するジャーナリストの独り言を活字化してみました。気軽に読んでください。

かみ

2004-12-18 17:00:23 | ニュース
よく考えたら2004年も残すところあと2週間ということで、僕も昨日からクリスマスカードや年賀状を書き始めたのだが、今やっている雑誌原稿と同じようになかなか前に進んでくれないのだ…。日本の友人や知人らに送る年賀状はまだ来週末くらいまで時間的な余裕があるんだが、問題はクリスマスカードで、明日(正確に言うと今日なのだが)土曜日に出さないと、ヨーロッパとかの場合、間に合わない可能性があるのだ。

帰国前に大阪の梅田にあるLOFTで大量のクリスマスカードを買ってきており、今日もランチのあとなんかにカードにメッセージを書いていたのだが、本当に全然終わらない。「そんなんやったら、メールでみんなに同じメッセージを送信したらええやん」といったような誘惑が、今日だけで3回も頭の中をよぎっているのだが、どうも僕は変な所にこだわりがあるようで、それでは納得できないのだ。

確かにネット上で年賀状やクリスマスカードを送る習慣は少しずつ定着してきたかに見えるし、コンピューターでくる年賀状なんかはインタラクティブに富んだものもあるので、それはそれで1つのスタイルとしていいんじゃないのと思うのだが、僕はあくまでも紙にこだわりたいのだ。たとえ、メッセージが走り書き状態になっていて、自分でも字が汚いんじゃないかと思っても、僕は紙でできたカードにこだわりたい。

大袈裟な話を例に出して申し訳ないが、例えばアメリカの新聞業界は全体的に経営縮小の傾向を見せ始めており、将来的に紙媒体からネット媒体へと完全に移行しようと考えている社もあるそうだ。一説にはニューヨークタイムズも20年後に紙媒体としての新聞業を廃止する可能性があるとかで、これからもネットという媒体は大きくなり続けるんだろう。

アメリカには世界的に知られた新聞が幾つもあるが、発行部数だけを見てみると、これがどれも意外なほどに少ないのだ。全米発行部数第一位のUSAトゥディ紙は1日平均で約220万部を発行しているが、この数字は日本の朝日新聞や読売新聞の足元にも及ばない。全米で100万部の発行部数を超えている新聞はUSAトゥディ、ウォールストリート・ジャーナル、ニューヨークタイムズの3紙だけで(2004年12月の時点で)、あのワシントンポストさえ76万部なんだとさ。

しかし、インターネットの世界は少し話が違ってくる。プロバイーダー大手のAOLへの加入者は2000万人を超えているともいわれ、アメリカのトップ20にランク入りしている新聞全ての発行部数を足しても、AOLの加入者数の方が多い状態なのだ。まぁ、AOLにニュースを求めて加入する人はそんなに多くないとは思うけど、媒体としてのインフラは整っているし、さらにメチャメチャ大人数の顧客も抱えているわけだから、独自のニュースセンターを展開したら、既存の活字メディアには大きな脅威となりそうな気がする。

話が脱線しすぎたけど、どんなにネット媒体が進歩しても、ぼくは紙媒体も残してほしいのだ。インタラクティブ性の欠如や資源の無駄遣いを指摘する声もあるけど、新聞を開いた時の手触りや、年賀状を手にした時の嬉しさは、コンピューターでそのまま再現できるとは僕には思えない。仕事ではメールやネットの世話になりっぱなしだし、僕みたいなフリーになった人間にはコンピューターの機動力が無いと、とても仕事はやっていけないのが現状。けども、プライベートだけは、これからも古臭く紙をどんどん使っていこうと思ってるのデス。

セコい人間は国を問わず、どこにでもいるんだね~。ブッシュ大統領は国土安全保障省の新長官にバーナード・ケリック元ニューヨーク市警長官を指名したんだけど、すぐにケリック氏の私生活でのトラブルが表面化し、先週金曜日にケリック氏は長官就任の要請を正式に辞退している。ケリック氏はニューヨーク市警のトップとして911テロ直後の事態の収拾につとめた手腕をブッシュ大統領やセンセイ連中に高く評価されていたので、就任は確実かと思われていたんだが、不法移民を家政婦として雇っていたことが発覚し、自ら大統領の要請を断っている。

ケリック氏の問題はこれで終了するかに思えたが、先週末から地元ニューヨークのメディアを中心に、彼の私生活でのスキャンダルが次々と暴露され始めたニューヨークの地元テレビ局が報じたところでは、911テロ事件直後、貿易センタービル近くのアパートを2人の愛人との密会用に使っていたが、このアパートは本来ならば復旧作業に従事している警察官や建設作業員の休憩所として市が用意したものだったそうである。う~ん、やることがセコすぎる。本当に愛人を養いたいんだったら、アパートを買うぐらいはしないと…。

さらに他の複数のメディアは、ケリック氏が隣接するニュージャージー州の建設業者から数千ドルの現金を受け取っていたと報じている。この会社はマフィアのフロント企業との見方が強く、こうなってくると愛人うんぬんでは済まされなくなってくるんじゃないの?こっちのメディアの中には、ウォーターゲート事件をもじって「ケリックゲート」と呼び始めたところもあるけど、こんな小市民的なオッサンと一緒にされたんじゃ、地面より6フィート下で眠ってるニクソン元大統領だってやりきれないよ。国民や外国人のバックグラウンドチェックが大好きなブッシュ政権だけど、まずは身内の身辺調査からはじめた方がいいのでは…。