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【COSMOS】俳句会・勉強会 「俳句の基本知識」

2024年06月19日 | 俳句・短歌・評論・俳句誌・俳句の歴史
COSMOS】俳句会・勉強会 「俳句の基本知識」
(ウイキペディアその他から参照させていただきました)
1.用語について
●写生の必要性
 俳句に「写生」という概念をもちこんだのは正岡子規です。子規は当時の月並俳諧――見立てや言葉の面白さだけの通俗的な俳諧(俳句)――を打破し、俳句の革新をめざした。そのときに注目した技法が、西洋絵画から学んだ絵画におけるスケッチ、すなわち写生です。
 目に映ったままを画面に写す、それによってそのものの存在感、生命観を表現できるのなら、俳句でもそれが方法として通用すると考えたのです。
★中原道夫のことば
 結社によっては「客観写生」を金科玉条のように掲げるところもある。しかし絵画の写生と異なり、言葉は「もの」に与えられたいわば名称であって実態を完全に表し得ない。
 子規の教えは方便であり、端的に短い俳句を読者に納得させるための手段であった。その結果、見えない――霊的なものを隅へおしやる結果になったといえる。「見えない」俳句というものは未だ不当な扱いを受けているのが現状である。
 この中原の言葉は現代の俳句に通ずる俳句手法である。水原秋櫻子に端を発した新興俳句は、やがて社会性俳句、前衛俳句などに展開される。
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●俳句に季語は必要か
季語には季節感・連想力・象徴力の3つを表現する力があり、俳句に深みを増す上で必要な要素。
俳句に季語が必要な理由は、季語には季節感・連想力・象徴力の3つを表現する力があり、俳句に深みを増す上で必要な要素だからです。また、季語を使うことによって、世界最短の文学とも称されるほど完成度が高いものだと言われています。しかし、厳密には絶対に季語が必要だと考える有季派と、季語よりも全体の文脈から溢れ出る季節感が重要だと考える季感派、あえて季語を使用しないことで古い伝統から放たれた新しい俳句ができると考える無季派があります。

●季重なり
一つの俳句の中に2つ以上の季語があることを「季重なり」と言います。
一般的には、季重なりは避けるのがよいとされています。初学者では季重なり部分で失敗が起こりやすいことから、このように言われます。
しかし季重なりの名句はたくさんあります。
一家に遊女もねたり萩と月(作者:松尾芭蕉)
目には青葉山ほととぎす初がつを(作者:山口素堂)
啄木鳥や落ち葉をいそぐ牧の木々(作者:水原秋桜子)
梅雨ながら且つ夏至ながら暮れてゆく(作者:相生垣瓜人)
四五人に月落ちかかるをどりかな(作者:与謝蕪村)
これらは季重なりが許される場合です。つまり主役がハッキリしているならOK!となるのです。
つまり俳句の中に明らかに「強い季語」と「弱い季語」があり、どちらが主役かハッキリしている場合は、季重なりでもOKです。このケースの場合は、季語同士がお互いを邪魔しません。(ただし初心者は避けた方がよいでしょう)

●「切れ字」
俳句の感動の中心を示し意味を切る言葉。「や」「かな」「なり」「けり」「よ」「ぞ」などが代表。俳句の切れ字の中でも特に使われる「切れ字」を一覧にしました。
動詞の命令形語尾 「せ」「れ」「へ」「け」
形容詞語尾 「し」
副詞「いかに」 「に」
助動詞と終助詞 「かな」「もがな」「じ」
「や」「らむ」「か」
「つ」「ず」「ぬ」
具体例で切れ字を考えてみよう
例1)
しずかさや 岩にしみいる 蝉の声
この俳句は「しずかさ」に切れ字「や」がついていますから、感動の中心は「しずかさ」になります。意味も切れていますから、初句切れとなります。
俳句の意味は「なんと静かなのだろう。蝉の声がまるで岩に染み入っていくようだ」という感じです。
作者:松尾芭蕉
季語:蝉 季節:夏
句切れ:初句切れ
例2)
柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺
この俳句は「鐘が鳴る」に切れ字「なり」がついていますから、感動の中心は「鐘が鳴る」になります。二句切れですね。
俳句の意味は「柿を食べていると、鐘の音が聞こえてきた!法隆寺の鐘の音だな」となります。
作者:正岡子規
季語:柿 季節:秋
句切れ:二句切れ
例3)
万緑の 中や吾子(あこ)の歯 はえ初(そ)むる
この俳句は「中」に切れ字「や」がついていますから、感動の中心は「(万緑の)中」ということになります。「中」だけに注目しても意味が分からないので、「万緑の中」ととらえるとよいでしょう。
句切れですが、二句の途中に「や」が入っていますね。これを「中間切れ」と言います。数は少ないですが知識としては知っておきましょう。
意味は「一面の緑の中で我が子に生え始めた白い歯が印象的だ」というような意味です。
作者:中村草田男
季語:万緑 季節:夏
句切れ:中間切れ
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◆俳句の句切れとは
短歌のときに、「5/7/5/7/7」の意味の切れ目を句切れというという話があります。31音ある短歌は短いとはいえ、その中に複数の意味のかたまりが入ることが多く、その切れ目を「句切れ」といいました。
俳句も同様で「5/7/5」の中で、意味の切れ目を「句切れ」と言い、「初句切れ」「二句切れ」「句切れなし」と言います。ただし、俳句の場合、稀に二句の途中に切れ目が入ることがあります。これを「中間切れ」といいます。
「初句切れ」「中間切れ」「二句切れ」「句切れなし」の4つがあると覚えましょう。
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◎まとめ
切れ字は、強く言い切ることで俳句に切れを生み、感動や余韻を読んだ人に与える効果があります。
基本的に、文章で言う読点「。」が入るところに切れ字があると覚えておくと見つけやすいでしょう。
現代俳句で主に使われる切れ字は「や」「かな」「けり」。
「や」は主に上の句に、「かな」「けり」は下の句によく使われます。

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2.■古典文法の問題点  助詞の留意点
「て」「して」 原因結果にならないように。
「も」 あれも是もでなく焦点を。
「が」は「の」に置き換えてみて推敲。
「す」の活用はサ行四段・サ行変格活用・助動詞下二段活用などの違いがある。
★(下記に参照欄あり)

●接続助詞「て」の『順接確定条件』用法
順接確定条件とは、自分の目の前にある事実を受けて、その事実から順接(予期される結果が現れることについて)の話を進める表現です。
『あるひとつの事実から、予想される(順当な)こたえが導き出されることについて述べたい場面』に使われる表現です。
文章の中では、接続助詞の「て」の直前に位置する内容が、事実に相当する部分になり、接続助詞「て」の直後に位置する内容が、予想される(順当な)結果を表す部分になります。

●再び切字について
俳句の切れ字は、句の中に切れを生み、余韻を与える言葉のことである。切れ字を用いて強く言い切ることにより、読者に余韻を与え、俳句の世界に引き込む効果が生まれる。俳句の中でよく見られる切れ字は、「や」「よ」「ぞ」「なり」「かな」「をり」などである。
◎切れ字「や」
「や」は作者が深く感動したり呼びかけたりする時に使い、上の句に用いられることが多い切れ字です。
◎切れ字「よ」
「よ」は終助詞(文の終わりに用いる助動詞)の場合は呼びかけの切れ字ですが、大抵は「〜だなぁ」と、詠嘆の意味で使用します。
◎切れ字「なり」
「なり」は、「〜だ・〜である」という、強い断定の意味がある切れ字です。
主に中の句で使われます。
◎切れ字「かな」
「かな」は詠嘆・感動を表す切れ字で、終助詞として文章の終わりに使用します。
◆切れ字「けり」の意味と活用
次に「けり」ですが、これも主に俳句の最後に使われ、断言するような強い調子を与えます。
また、過去を表すものでもあるので、過去のことを断定するような意味合いにもなります。例えば・・・
桐一葉日当りながら落ちにけり  虚子
という俳句があります。
これは、「秋に入ったばかりの明るい静けさの中を、桐の葉が一枚、日の光を受けながら落ちていった。」という秋の始まりをしみじみとよんでいる俳句です。
桐の葉が日に当たりながら落ちていったという事実に感動したことを強調するために、最後に「けり」という切れ字を使ったのです。

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■紛らわしい語法
●助動詞「き」について
一般に『過去』をあらわす助動詞には「き」、また『過去・詠嘆』の助動詞には「けり」がある。ここでは「き」をみてみよう。
★「き」の注意点
「き」は終止形、連体形、已然形のみに活用する。
  鰤が人よりうつくしかりき暮の町(終始形) 加藤楸邨
  白樺の花をあはれと見しがわする(連体形) 水原秋櫻子
  白藤や揺りやみしかばうすみどり(已然形) 芝不器男

★「き」はカ変動詞には特殊な接続をする。
  夜の客に手探りに葱引いて来し(終止形) 中村汀女
「引いて来し」は言い切りの形であるため、「し」は連体形ではなく、終始形をあらわす。
 このように変則が生じたのは、終止形を用いた場合「引いて来き」と「き」音が重なるので、それを理由による。
◆なおまた、「き」の連体形「し」と已然形「しか」は、サ変動詞には未然形に接続する。
 深峽や旗じるしせし鮎の宿(連体形) 山口誓子
「せし」の「し」は、サ変動詞「旗じるしす」の連体形でなく、未然形「旗じるしせ」に接続している。連用形に接続すると「旗じるししし」となる理由による。
【注】
「し」が接続する場合
過去の助動詞「き」の連体形「し」が接続する場合に起こりがちな誤りは、サ行四段活用・サ行下二段活用・サ行変格活用の混同によって起こるものです。接続する活用の種類 どの活用形に接続するか 何という文字に接続するかによる。
 サ行四段活用    連用形に付く      し
 サ行下二段活用   連用形に付く      せ
 サ行変格活用    未然形に付く      せ
◎例
 (サ四) 散らす⇒散しし  こぼす⇒こぼしし
 (サ下二)任す⇒任せし   馳(は)す⇒馳せし
 (サ変) 念ず⇒念ぜし   減ず⇒減ぜし
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●「も」について
「も」は「は」と同じく、係助詞である。感動の声がその源であって、それが文中の体言などを取り立てて述語と結ぶ係助詞になったものだという。
 対象を主題として取り立て、明確に述べる「は」とは異なり、「も」は対象を対比的に、含みをもたせて述べるものである。
◇同類の存在を暗示
  塩鯛の歯ぐきも寒し魚の店  芭蕉
  無月かな匂ひ袋も遺品にて  島ふで女
この句の〈匂ひ袋も〉の「も」は他にも遺品があることを示している。
 「も」の使用で注意しなければならない場合がある。「も」に寄り掛かりすぎないことである。例えば
  草の香も夏の果てとはなりにけり
  産土の銀杏黄葉も散りにけむ
  凍雲の影も動かぬ裾野かな
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●「す」の活用はサ行四段・サ行変格活用・助動詞下二段活用などの違い。
       未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
サ行四段活用  さ   し   す   す   せ   せ
サ行変格活用  せ   し   す   する  すれ  せよ
助動詞下二段  せ   せ   す   する  すれ  せよ
【注】
★奈良時代の尊敬の助動詞はサ行四段活用に準ず
★「為(な)す」と「為(す)」は、同じ意味であるが活用が違う。
 為(す)⇒ サ変、為(な)す ⇒ サ行四段活用である
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