サブカルチャーマシンガン

自分だけの「好き」を貫く為のブログ。

思春期というアート きい「つめたい雨、やさしい君」 感想(快楽天2017年9月号)

2017-08-08 | 快楽天(きい)
                             
                           扉絵の時点で最高過ぎる。










あらすじとか抜きでいきますが、
恐らく十美坂さんには止むに止まれぬ事情があって
この街を後にしなくてはならない状況が、、、それも、割と唐突に出来たんでしょう
だから、最後に好きな人に会おうと思った、(例え疑似的でも)結ばれようと思った、だから、
全力で辻を誘った―――――。と、考えるとある意味刹那的な物悲しさが内包されている作品だと言えますし、
かつ、成人漫画で「しか」描けないリアルでピュアな気持ちが表現されている傑作だと思いました

例えば、
こういう恋愛系の漫画で「健全であること」が美徳とされる節があるのをたまに感じますが、
それは見た目や体裁が整っているだけで逆にそっちのがファンタジーに思えたりするのが個人的な本音ではある
本当のリアルは、偉い人に向けてご機嫌を立てている偽物の中にあるのではなく、
ある意味・・・生々しく描く事で逆に誠実だと思えるこういう作品の中にあるんじゃないか、って思ったりもします
人間、そう簡単に理性や割り切りを重視して行動出来る生き物ではないですからね。ちなみに持論です。





それにしても、行為のシーンは素晴らし過ぎた
まあ、世間的に考えれば決してランクインすることはないんでしょうが
個人的には漫画賞か何かに引っかかって欲しいくらいのアーティスティックなSEXのシーンがヤバかったです
直接的な表現を使わないでエロを表現する~とかいうぬるっちい戯言が小賢しく思えるくらいの
生々しい局部の描写、助平な雰囲気、なのにちょっと清廉とした空気感なんかもあって・・・
物凄く興奮が出来る、上に、芸術性すら感じるハイレベルな官能表現に仕上がっていました。

さっきからちょいちょい棘のある言葉を使ってこの漫画を絶賛してますけど、
ぶっちゃけ官能的である事に自覚的かつそれを高いレベルで表現している作品については
もうちょっとしっかりときっちりと深く評価されて欲しいなあ。。って気持ちが(個人的に)強いから、ですね
はっきりいって人間から官能を抜いたら、残るのは死滅だけですからね。そこにドラマも付随するのが「普通」かと。

「最中」に、今までの二人の思い出、それも特にたわいもないものばかりが蘇って来て、
「あの○○とやってる・・・!」的な衝動と興奮を引き起こすきいさん独自の演出が本当に素晴らしかった
勿論バカ正直にリアリティある、とかいうつもりは毛頭ないんですけど、
それでも妙な生々しさが作中から感じられるというか、
それが凄かったんですよね
成人漫画はそこまでページ数が多くない分バックボーンをいかに感じさせるかは重要なポイントですが、
サクッと行為のシーンを魅せつつ、その場で「積み重ね」“も”魅せていく演出手腕はオリジナリティが相当高く、
今この雑誌である種エース扱いされてるのも大納得の漫画だなあ・・・と素直に感じてしまいました
兎角、読み手を感情移入させるのが上手いというか・・・
きいさん流石だな。と唸らざるを得ない一作です。





ただ、この夜の一連の行為は、
恐らく十美坂さんがもう彼の前には居られなくなってしまう、
だからこその目配せであり、刹那的な行為であったんだろう。。とも思う
せめて、最後の夜だけは、好きな人の前では素直でいたい、愛し合っていたい・・・という
そういう行動理念だったんだとすれば、その瞳に浮かぶ涙の訳も重みもどっしりと伝わって来るんですが・・・
切ないですね
正直、このオチには面食らってしまったんですが、
だからこそ、主人公の未練にも共感出来る節が強かったのもまた事実。

同時に、あの夜深く刻んだ愛の行為こそが、十美坂さんが確かにそこに居た揺ぎ無い証になってるな~、とも思えて
そういう意味合いでも本当成人誌だからこそ表現出来る真っ当で切ない恋物語だなあ。って気はしました
多分、男の方が引き摺るタイプでしょうから、辻くんも正直苦労しそうだな~と思いつつ笑
それもまた青春・・・といつか割り切れるといいなあ、と。











しかし、辻くんは辻くんで、真っ当に思春期やってて可愛いな(笑
個人的に思春期フェチなんで、きいさんの作品はツボにハマる事が多いですね。
純粋に。




最新の画像もっと見る