ロシア日記

~ペルミより愛を込めて~
日本語教師と雪のダローガと足跡

~サンクトペテルブルグ~
雪の上の足跡

ロンドン着

2013年12月30日 | 日記
 我の強いロシア夫人の意見をずっと聞いていたせいで、なんとなく自分の将来も不安に感じロシアへの愛も確信を持てずに挫けそうな気持ちになりながら、空港からパディントン駅にあるホテルまでの地下鉄を探しました。
 
 同じような旅行トランクを引いたアジア人の男の子と、なんとなく地下鉄までの長い道を同じ方向に互いのトランクをガラガラ引きずりながら、言葉を交わし始めました。
その子はこれから2時間かけて戻るバースというイギリスの古い街で電子学の勉強をしていて、今回の休暇では彼女に会いに中国に戻ったということでした。嬉しそうに、彼女に会えたことを話す姿が微笑ましく「何年付き合ってるの?」とか「離れていて寂しくない?」などと質問しました。

 話題が食べ物の話に移り、
「イギリス料理はおいしくないから自分で鍋料理を作っている」
「中に何を入れるの?」
「肉団子。肉団子は日本にもあるの?」
「鳥の肉団子を入れるよ。鍋はいいよね。簡単だし」
「だけどそのあと具が鍋に引っ付くから洗うのが少し面倒」

 少しの時間の他愛もない会話でしたが、それが耳に心地よく響きました。
その子が一足先の駅で降りてしまった後、一人になった夜のメトロで急淋しさが襲ってきて、早く明日になって友達のヨハンに会いたいなと思いました。ヨハンとは、私が日本でゲストハウスで働いていたときに知り合った韓国人の男の子で、今回ロンドンへ行くということで4年ぶりに連絡をとりました。彼は快く、大みそかとハッピーニューイヤーを一人で過ごしたくなかった私に、一緒に過ごせるからと言ってくれたのです。ペルミに来てから私の体質は変わってしまったようで、どうにも淋しさが襲ってくるようになってしまったのです。淋しがりやなどという言葉には縁がなかった私に、どうしてかこの1年前から淋しさが身にしてみて仕方がないのです。昔は一人でどこにでも行き、気楽な一人旅しか考えられなかったのに今は一人では寂しすぎて誰かと一緒に旅行したいのです。パディントン駅につき、Pread Streetの白いホテルで一人になり、早く一人から脱出したくて久しぶりのロンドンを楽しむ間もなくさっさと寝てしまいました。

SU206 ロンドン行機上

2013年12月30日 | 日記
 ロシアのことが嫌いなロシア人は自国をとことん罵ります。腹の底から嫌悪するのです。
慣れ親しんでいるであろうロシア料理ですら嫌悪の対象です。平気で不味いと言い放ち、大嫌い!と豪語します。

 ロンドン行の飛行機の隣に乗り合わせたにこやかな金髪夫人はHow’s doing?! と気楽に話しかけてきたあたり、この夫人はてっきりイギリス人なのかと思ったら、実は上述のロシア人でした。そのあまりのフレンドリーでにこやかな表情にてっきり騙されてしまいましたが、彼女の言葉の端々からロシア批判が噴出しました。隣に座っているのは彼女の2番目の夫であるアメリカ人で、ニューヨークで出会い半年後に結婚したということで、ロンドンへは休暇で遊びに行くということでした。

 ニューヨークはこの上なくlovelyということで、私が好き好んでロシアに暮らしていることを聞き、「早く脱出しなさい」とか are you crazy? とか「ロシア人を信用してはだめ」とか、法律関係の仕事をしているらしい彼女は、現在私が雇われている学校の体制批判をしたりしました。彼女曰く「国民を信用しない政府をどうやって信用できる?」ということでした。骨の髄までロシアを憎み切り、身も心もアメリカ人に成り代わった彼女を見ていて、自国のことをそこまで悪く言うのもどうかという気がする一方、確かに彼女の言うことも一理あるのです。ロシアはどこか信用ならない国なのです。けれど震災後の日本ももはや信用できないので、結局は最後は自分の判断で生きていくしかないんだとも思いますが。


ロンドンの夢

2013年12月30日 | 日記
 今回のウィンターバケーションの行き先をロンドン兼アイルランドにしたのも、大学の時に読んだアイルランド小説の地へ実際に行ってみたかったのと、その際にロンドンという活気ある都会を経由するということで決めたのです。
 ロンドンはこれが3回目になりますが、私は初めてロンドンを訪れた時からこの都会的な街が好きだったのです。古いものと新しいものが融合するロンドンは、ファッショナブルでクールでスマートです。そんな街を往来するあのスタイリッシュな赤いバスも大好き。イギリス男がブリティッシュ・イングリッシュを喋っているのを聞くのはこの上なくシビレルもの。パブも楽しみ。素敵な雰囲気でお酒を飲めるあの都会の雰囲気も味わいたい。コンベントガーデンで冬のセールのロンドンで可愛い小物たちも買いたい。
 都会の夢は広がります。


冬休み ーロンドンへー

2013年12月30日 | 日記
 12月30日、待ちに待ったロンドンへ飛びました。
 飛行機の時間は、午後2時ペルミ発、午後9時ロンドン着です。本当はもっと早い時間に飛び立てる便もあったのですが、不精な私はどうしても飛行機の時間に合わせて早起きするのが面倒で、午後の遅い出発便を選んだのです。ペルミからモスクワまで2時間。時差が2時間なので、ペルミを2時に飛び立ちモスクワに着いても時刻は2時のままです。

 すっかり馴染みになったモスクワの空港で5時間待ち、ロンドン行へ乗り込みます。このトランジットタイムのためにさんざん迷ってノートパソコンを持ってきました。手すきになると思ったからです。けれどそのパソコンは一度も開けることなく、ほとんどの時間をぼーっとして過ごしました。たまたま繋がった日本の友達のとのスカイプで近況報告をし合い、3000円もする大したことのないお肉の盛り合わせを食べ、不思議と「今年も終わった」というような感慨も湧かずに、「どうして湧かないんだろう」と考えました。

 おそらく日本のあの忙しない師走を体感してないからなんだろうなあと結論付けました。学校と家の往復で、忘年会というイベントもなく、淡々と12月のカウントダウンまで来たからだと思います。あの日本の煌びやかなネオンの光や人混みを味わってないからなんですね。

 日本にいると商戦絡めのクリスマスやお正月やバレンタインが過剰で鬱陶しいものに思えるのですが、ロシアにいるとあの煌びやかさがやけに恋しくなったりするのです。東京育ちの私には田舎暮らしがかなり性に合わないと見え、見るものすべてが目新しかった1年のペルミ生活を終え、2年目の今、その事実が明らかになってきました。ルームメイトのユーリャは、「東京育ちのさやさんには都会しか合わないんだよ。札幌育ちのあたしとは違いますから」とからかいます。