滋賀年金者ジャーナル

全日本年金者組合滋賀県本部の公式ブログです。

小沢さんを使いこなせなかった! 嘉田知事の 「 混乱 」

2013年01月10日 | 滋賀県本部
「 憲法メディアフォーラム 」 というブログ が あります。 http://www.kenpou-media.jp/
憲法問題を中心にメディアのあり方をまじめに検証しているジャーナリストのグループが運営しているブログです。
このブログに 年金者組合大津支部の方が投稿された論文が掲載されていますので転載します。


[ 憲法メディアフォーラム ] 2013年1月8日付け
小沢さんを使いこなせなかった! 嘉田知事の 「 混乱 」
 総選挙が終わり正月休みも明けた1月4日、滋賀県の嘉田由紀子知事が政治団体 「 日本未来の党 」 の 代表を辞任することを正式発表した。予算編成など県政の課題が山積する中、滋賀県庁や 「 国政政党役職の兼務解消を求める決議 」 を 突きつけてきた滋賀県議会には 「 やれやれ 」 といった声が 広がった。
 だが、「 脱原発 」 ではなく、原発から期間を決めて卒業するという 「 卒原発 」 の姿勢や、 「 地方自治の課題は国政で解決 」 といった嘉田知事の政治姿勢に対する県民の不信感は 簡単に 拭いきれそうにはない。
 知事の国政進出という突然の出来事から1カ月余り。 「 日本未来の党 」 も 総選挙で惨敗して 結成1カ月で分裂するというありさま。 改めて 地方自治と知事職のあり方が 問われる 「 事件 」 であった。

▼環境と政権
 日本一大きなびわ湖をかかえる滋賀県。 かつては 農業県を誇り、 農協連会長出身の谷口久次郎知事 ( 在任 1958 - 1966年 ) が 県内一の大中の湖を干拓して1000㌶の農地を開拓して見せたこともある。 だが、干拓が完成したころから 減反農政が始まり 、県内は 工業団地や京阪神のベッドタウン と 化した。
 嘉田さんは、 京都大学大学院出の環境社会学者で、 元滋賀県立琵琶湖博物館研究顧問だったが 2006年、 「 新幹線新駅の建設凍結、 県内に計画されているダムの 凍結見直し 」 などを 主張して滋賀県知事選に出馬、 國松善次前知事を破って当選。 開発オンリーの県政から 自然保護重視の県政に 転換するやに 見えた。
 しかし、 自民党などの議会勢力に 新幹線新駅やダム建設の凍結姿勢はぐらつき、 結局は 県民世論に押されて新幹線新駅は建設中止となったものの、 嘉田知事の歯切れの悪さだけが 後に残った。 そして、 2010年7月の知事選で 自民党前代議士の上野賢一郎氏らを破って 再選、 2012年に 未来政治塾を開講した。
 「 リニアモーターカーによる中央新幹線が完成すれば 米原駅と京都駅の間に新駅が必要 」 と 述べ、物議をかもしたり、 大飯原発再稼働反対についての関西首長の広域連合が事実上容認に転換していく中で、 同年11月に新党 「 日本未来の党 」 を 結成すると発表。 「 国民の生活が第一 」 代表の小沢一郎氏が 「 国民の生活第一 」 を 解党したうえで、 党ごと 「 日本未来の党 」 に 合流した。
 ところが、 総選挙で 61議席を持っていた 「 未来の党 」 は、 7分の1の9議席に減らして 惨敗した。 選挙前には 「 小沢さんを使いこなす 」 と いった嘉田さんだったが、 代表辞任会見では、 「 小沢一郎さんを使いこなせなかった 」 と こぼした。 「 利用されて 捨てられた… 」 との批判もあって 、政権獲得の厳しさを 嫌というほど 味わったに違いない。

▼びわ湖保全とは 何か
 びわ湖を抱える滋賀県では 歴代の知事が 「 びわ湖の保全 」 を命題として取り組んできた。 だが、 今、 県民の大多数が望む 「 脱原発 」 の 願いをどうするのか、 嘉田知事のこれからの大きな課題 と なるだろう。
 近畿1400万人の水道水の水源湖のびわ湖は、 原発銀座と呼ばれる若狭湾原発地帯から 40 ~ 60㌔の範囲にある。 福島市や郡山市の福島県中通りから福島原発の距離と同じくらいの位置。 そこに 400kBq/㎡の放射性物質が一様にびわ湖にそそぐと、 湖水の放射性物質濃度は 平均 10Bq/kg になる試算。 現在の飲料水の食品基準とほぼ同じ値だが、 それが 湖魚に蓄積されると 2000倍の放射能値となり、 食品基準 100Bq/kg を はるかに 上回って 湖魚は 食べられなくなる。
 「 近畿の水源 ・ びわ湖を 若狭原発から守れ 」 「 原発再稼働反対 ・ 脱原発 」 の声は 滋賀県はじめ近畿全域に広がっている。 私も 「 いのちとびわ湖を放射能から守る輪 ( 原発問題住民運動滋賀県連絡会 ) 」 の メンバーの一人として運動し、 嘉田知事らに 「 原発からの撤退と自然エネルギーへの転換 」 を 要請している。

▼集会に 退去要求
 だが、 嘉田知事は 滋賀県庁前でのデモ集会に対して 「 県庁敷地内での集会禁止 」 の規則 ( 滋賀県庁舎等管理規則 ・ 昨年9月18日公布 ) を たてに、 県庁前噴水のぐるりを 柵で囲んで集会の退去を通告してきている。
 これまで 2カ月に一度、 昼休み時間帯での県庁前集会を開いてきた滋賀県年金者組合や高齢者団体、県労連などが 「 県庁前は 県民のもの。 集会の自由を認めよ 」 と 抗議している。
 このような混乱を 今後も繰り返すならば、 国民、 県民の平和 ・ 護憲の願いに 背を向けるものであり、 嘉田知事の政治姿勢は ますます厳しく問われることになるだろう。(KS)


【写真】 滋賀県庁前をデモする 「 脱原発連 」 の ひとびと (2012年10月)


(注)
 Bq/kg=キログラムあたりベクレル
 kBq/㎡=平方メートルあたりキロベクレル

「いのちとびわ湖を放射能から守る輪 ( 原発問題住民運動滋賀県連絡会 ) 」 に 参加している脱原発運動のおもな県内団体は次の通り。
  ・原発ゼロをめざす湖西ネット
  ・ばいばい原発・湖西の会
  ・原発ゼロの会・守山
  ・原発からの撤退を求める湖南市民の会
  ・ばいばい原発守ろうびわ湖住民運動連絡会
  ・さよなら原発実行委員会
  ・原発即0パレードin湖東実行委員会
  ・ひこね子どもと明日を守る会
  ・いますぐ原発ゼロへ彦根実行委員会
  ・湖北原発ゼロの会
コメント
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