ごはん

近くにある実家へ行って、両親と夕食を食べた。

と、書くと別に普通のことのようだけど
私にとっては何年ぶりのことだろう。

一緒に住んでいる頃、父親と折り合いが悪く
黙々と砂を噛むようにごはんを食べてた。
それが苦痛で、やがて食事は別の時間にとるようになり、
その後、私は別のところで暮らすようになった。

だから、こうして普通に親子でごはんを食べることは
もうないんだろうなと思ってた。

父もがん患者。
私よりも深刻な状況で、ご飯があまり食べられません。
だからごはんをたべているのを見ると
「今日はごはん食べてる～」って思う。

そういえば我が家にも家族みんなが健康という日々が
あったんだなぁと思った。
今よりみんなが少し若くて、誰も病気じゃなくて
普通に働いたり、ごはん食べたりできてた日々が
あったんだなぁと思った。
それなのに、お互いを疎ましく思ったり、
せっかくのごはんを味わうことなくそそくさと食べ、
とっとと席を立ってた。

病気にならないと、家族なのにお互いに歩み寄ることが
できなかった。
病気にならないと、ごはんをおいしく食べられることの
ありがたみがわからなかった。
病気にならないと、「普通に毎日過ごせること」が大切
ってわからなかった。

病気になると、いろんなことに気づかされる。