うんどうエッセイ「猫なべの定点観測」

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南アフリカW杯欧州予選のプレーオフの組み合わせが決定

2009年10月20日 | サッカー(全般)
◆サッカー・2010 FIFAワールドカップ南アフリカ大会予選の各大陸のプレーオフの組み合わせ
(左側のチームが第1戦をホームで開催。カッコ内は2009年10月16日発表のFIFAランキング

・欧州 (第1戦11月14日、第2戦11月18日)
アイルランド(34) vs フランス(9) 通算対戦成績:フランスの6勝4敗4分
ポルトガル(10) vs ボスニア・ヘルツェゴビナ(42) 初対戦
ギリシャ(16) vs ウクライナ(22) 通算対戦成績:ウクライナの2勝1敗1分
ロシア(12) vs スロベニア(49) 通算対戦成績:1勝1敗1分

・南米/北中米カリブ海 (第1戦11月14日、第2戦11月18日)
コスタリカ(43) vs ウルグアイ(25) 通算対戦成績:ウルグアイの5勝1分

・アジア/オセアニア (第1戦10月10日、第2戦11月14日)
バーレーン(61) vs ニュージーランド(83) 通算対戦成績:NZの2勝1分
※10月10日のマナマでの第1戦は0-0でドロー。

〔写真はロイター〕


                           *  *  *  *  *


●欧州
昨日決定した南アフリカW杯欧州予選のプレーオフの組み合わせ。今月発表のFIFAランキングによって、上位と下位それぞれ4チームずつ分けて抽選を行いました。今回のプレーオフには、前回W杯で準優勝のフランスと4位に入ったポルトガルが参加するとても豪華な顔ぶれ。まあ、当事者にとっては不名誉であり、ありがた迷惑ですけどね(苦笑)。ちなみに、欧州予選に現在のようなプレーオフ制度を導入したフランスW杯予選以降では、前回のファイナリストがプレーオフに回るのはフランスW杯予選のイタリア以来、実に12年ぶりです。ただ、前回4強に進出したこの2チームが楽に勝てるほど、プレーオフは甘くはありません。勢いがものを言う短期決戦ですから、地力の差が反映しにくいからです。また、両チームとも強豪という事もあり、プレーオフへ参加すること自体、とても少ないのが気にかかります(過去に1950年と1962年大会の2度プレーオフを経験しているフランスは全て敗退)。ただ、それ以前に、この両国のチーム状態は、ハッキリ言って良いとは思えませんから。

今回の予選では、両チームとも格下相手に白星を取りこぼしたのが、首位通過を逃してプレーオフに回った原因です。フランスはレイモン・ドメネク監督と選手の間に確執が伝えられます。中でも、プレーオフ進出すら危ぶまれたポルトガルのチーム状態は深刻です。かつて、1989年&1991年のワールドユース(現・U-20W杯)で2連覇を達成した経験のあるカルロス・ケイロス監督(元名古屋の監督)も、拙い采配や不可解な選手起用がサポーターやメディアから不評を買って信頼を無くしてます。それに、C・ロナウドも負傷で本調子ではありませんし、代表だと彼は真ん中に入るので本来の良さが全然生きてないです。対ボスニア戦は、今回のプレーオフの中で、最も力の差がありそうなカードですが、ポルトガルは初戦をホームで戦うので、ある程度得点差をつけないとまさかの展開も無いとは言い切れません。ボスニアは予選10試合で25得点を挙げるなど攻撃力があり、トルコとベルギーを退けました。それに、初出場を狙うボスニアはかなり士気が高いはずですから。

そして、フランスは、プレーオフの対戦相手がアイルランドなので、非常に厳しい組み合わせです。両チームは前回も予選で対戦。フランスの1勝1分でしたが、ホームでスコアレスドローを喰らうなど、苦戦を強いられました。今回のアイルランドは、イタリア代表とインテルなどの監督を務めた経験のあるジョバンニ・トラパットーニが率いてます。アイルランドも、予選で格下相手に取りこぼした事が命取りになりましたが、世界王者イタリアとは2試合ともドロー。予選も4勝6分と無敗です。優秀なアタッカーを揃えるフランスは、初戦を敵地で戦いますが、アイルランドは守備が堅いチームなので、アウェーゴールを奪えないとホームの第2戦で苦境に陥ると思います。それに、アイルランドは、欧州選手権を含めてもプレーオフの経験が多いので、短期決戦の戦い方を熟知しているから非常に不気味です。

ロシアは、なんといっても、前回豪州を率いてウルグアイとのプレーオフを勝ち抜いた経験のあるヒディンク監督の存在が最大の強みでしょう。アンドレイ・アルシャヴィンを中心に「走るサッカー」で昨年の欧州選手権でベスト4に進出。今回の予選では、ドイツと同居する不運を味わって2戦全敗でしたが、内容的には強豪相手に健闘。一方、スロベニアは守りが堅く、予選では僅か4失点しか奪われてません。また、予選を4連勝で終えているので調子は上向きです。FIFAランキングほど力の差は離れてないのかもしれません。今回のプレーオフで最も力の差が接近していると思われるカードは、5年前の欧州王者ギリシャと前回ベスト8のウクライナとの対決でしょうか。かつて、奥寺康彦を指導した経験のあるオットー・レーハーゲル監督は、ギリシャを率いて今年でもう8年になります。泥臭い対人守備からの堅守速攻は、古臭くて面白みが無くても有効に機能してます。一方、ウクライナも似たようなチームです。やや衰えが目立ち始めた英雄アンドリー・シェフチェンコは、意地を見せられるのでしょうか。


●南米/北中米カリブ海
南米5位と北中米カリブ海4位の間で争う、今回の大陸間プレーオフ。過去、地元開催だった1930年の第1回大会と、戦後初めて行われた1950年の第4回ブラジル大会の2度W杯優勝経験のあるウルグアイ。だが、もう彼らには優勝をする力はありません。せいぜい、W杯にギリギリ出場できる程度のうだつの上がらないチームです。一方、コスタリカは、北中米においては、メキシコと米国に匹敵する実力を持った地域大国です。過去2回、南米選手権に招待を受けた時は、いずれも決勝トーナメントに進出するなどレベルアップしてます。今回の予選は、両チームとも、予選の最終戦を落としてプレーオフに回りました。特に、コスタリカは、ロスタイムでの悪夢でW杯の切符を手放しただけに、ショックは甚大です。ただ、コスタリカは、プレーオフまで時間が開いたのが、不幸中の幸いでしょうか。一方、ウルグアイは守りが非常に堅いチームですが、プレーオフの初戦では守備陣2人を出場停止なのが痛恨です。初戦をホームで迎え撃つコスタリカはこの機を見逃してはいけません。対するウルグアイは、過去2大会連続でプレーオフの経験があるので、それを活かしたいところです。


●アジア/オセアニア
10月10日にバーレーンの首都マナマで初戦を戦った、アジア5位とオセアニア1位の対決。試合展開は、ミラン・マチャラ監督率いるバーレーンの一方的なペースでした。何度か決定的な場面をバーレーンは作り出すものの、いずれも逸します。攻撃を続けるバーレーンに対し、NZは専守防衛でそのプレッシャーをかわす事に終始専念します。その為、バーレーンゴールに脅威を与えるような決定的なチャンスを作り出せませんでした。しかし、それと引き換えに、NZは敵地で貴重なスコアレスドローの成果を手に入れます。この為、バーレーンは、念願の本大会の切符を手にする為には、ウェリントンでの第2戦を絶対に攻撃的に行く必要が生じました。おそらく、遠距離移動を強いられるこの第2戦は、NZが試合を支配する可能性があるので、バーレーンはかなり苦戦を強いられると思います。4年前のプレーオフで、トリニダード・トバゴに味合わされた悪夢を払拭する為にも、「リヤドの奇跡」の再現を期待したいところ。一方、28年ぶりのW杯出場を狙うNZも、オセアニア代表としての意地を見せたいはずです。なんだか、この一戦は、とんでもない筋書きの無いドラマを、サッカーの神様が用意するような予感がします。


それにしても、今回のプレーオフは、監督が豪華なメンバーが揃っている感じがします。
そして、我々日本人はプレーオフの当事者にならずに、他人様の喧嘩を高みの見物で眺めることが出来るので、本当によかったよかった(笑)。



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