音楽の森とタイニーハウス

茨城県山間部のログハウス&音楽研修施設

鉈の形状から探る「カムイ伝」の舞台

2021-01-23 | 山林の道具と打ち刃物


カムイ伝全集【第一部】(小学館)から「カムイ」(C)白土三平

緊急事態宣言のなか大人しく「カムイ伝」を読む。
ご存じのように巨匠=白土三平の代表作ですが、数十年ぶりに細かく見ると
いろいろと気づくところが多い。

巨匠は人物の姿勢や動きの描写力は葛飾北斎以上であり、デッサン力は
手塚治虫を凌ぐと思います。そういった見方を中心にストーリーを追うのは
当然ですが、よく見ると画面に登場する「小道具」も大変に凝っています。



たとえば、この第二巻に出てくる正助の父親ダンズリが、何気なく薪割りをしている
(ブッシュクラフト)場面ですが、この特徴的な鉈はどこの地方なのか?

良く知られているように、日本の各地で使われている鉈は、その地方独特の形状が
ありますが、この鉈のシェイプは越中、あるいは越前の形状に近いと思います。
つまり「カムイ伝」の舞台は能登半島、石川、富山、福井県、あるいは新潟あたり
に絞られるかもしれません。



越中鉈といえば「泊鉈=とまりなた」と呼ばれるもので、上記の写真の形。
※これは自分が持っているものですが、有名な大久保さんの製作ではありません。

三平巨匠がどうやってこの鉈のシェイプを盛り込んだのか?よくわからりませんが、
普通は「鉈」と言ったら秋田鉈のような角鉈を描いてしまうはずです。

この微妙なカーブを持った嘴(くちばし)付の鉈を描くのは、相当に刃物オタクで
あることが類推されるがどうなんでしょうか? 今後も興味は尽きません。

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