音楽の森とタイニーハウス

茨城県山間部のログハウス&音楽研修施設

鉈の口金に萌えるという事実

2023-01-22 | 山林の道具と打ち刃物
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かれこれ15年くらい打ち刃物を見ています。
総計1万本くらいチェックしてる??

山林整備で必要になりネットオークション、古道具市など
興味を持って眺めていますが、なかなかピンとくるものに
出会えません。「これ~That’s it !」っていうのは1000本に
1本くらいでしょうか。

どこを見ているのか?まずは「口金」の作りです。
これがピカピカした丸い指輪のような既製品だったら
ほとんどが大量生産品でじっくりと眺めるような趣はありません。



これは最近ヤフオクで買った無銘の両刃鉈で、関東鉈ともちょっと違う
重量のある打ち刃物で、かなり時代はあるかと思います。

目釘はシングルでこういった打ち刃物の時代性、手打ちの鍛冶の
基本を踏襲しています。

口金ですが、これは継ぎ目のないフラットで鎚目なし。
ハンドルの太さにフィットして見事な職人芸ですが、
鉄管をカットして嵌めている可能性もありそうです。

こういった時代のある打ち刃物は木の柄を交換してしまうと
残念ながら時代がわからなくなり価値が半減するかと思います。

同じようなタイプは会津に多くあり、例の重道も同じような作り。
古い鉈を眺めるのは楽しいですね~(^^♪


泊鉈、うなぎ鉈、角鉈

2022-04-02 | 山林の道具と打ち刃物
竹や笹竹を切るのによく使う鉈たち。
上から順に説明していきます。

1.泊鉈(越中鉈)
有名な泊鉈(とまりなた)ですが、例のプレミア鉈ではありません。
自分の物は10年以上前に長野県にて買ったものです。

土佐方面の工房に特注していたものらしく、非常に出来が良い刃物。
太い竹は少ししならせてこれで切るとズバッと気持ちよく切断できます。
刃先のくちばしも便利で、実用刃物の王様と言えるでしょう。

2.うなぎ鉈(または鉈鎌、両刃)
まさに鰻の形をしている携帯用の便利な鉈です。
普段はノコギリと二本差しにして携帯していますが、軽くてコンパクト
そして良く切れてバランスも良い。振り回しても疲れないことが特徴。
アンテナ(若くてシュッと伸びた竹)を切るのに重宝します。
これはやはり土佐系の刃物で、西山商会が有名です。

3.角鉈(両刃)
この小型の鉈は竹を割るのに使うのですが、ハンドルが素晴らしい出来で、
口金もアルミでぴったりと収まっています。握り具合が微妙にフィットしている
ので、滑り止め(自分はほとんどがテニスグリップ)は付けていません。
こういった逸品で良いものは、目釘が「一本」のみで、大量生産のものは二本打ち
がほとんどです。

※サイズは下のマス目の太い線が5センチ刻みですので、なにかのご参考に
なればと思います。



薪割りの打ち刃物いろいろ

2022-01-22 | 山林の道具と打ち刃物
薪割りの刃物たち。
キャンプ用品として話題にのぼることが多いですが、
ここでは生活用品として置いてあります。

しかし…鑑賞に堪えるものは実用としてでなく、
愛でるため(ハーハーする?)打ち刃物も少数あります。

写真いちばん上の物はその典型で「情報量の多い」歴史的工芸品。
道具としての使用跡、針金をグルグルと巻いた補修、上から叩いた
凹みやハンドルの傷など、時代を感じさせる逸品です。

二番目は両手でグリップできる長めの「枝払い鉈」
これが一番の実用刃物で、重量も900g以上あり、一発で薪が割れます。
どこの地方の形状かは分かりませんが、汎用性が高い優秀な道具です。

この類ですと「石突き」と呼ばれる、先端がくちばし状のタイプ
、つまり越中なた(泊鉈)のようなものがありますが、片手専用で
やや軽い、片刃で先端石突きが薪に当るなど、実際はやりにくいです。

下段の外国製斧は先日紹介しましたが、これらも実際は使いにくい
モノで、なんとなく格好が良いので、たまに使ってみるだけ。

道具の使い勝手は「使ってみなけりゃわからない」というのが
本当でしょう。もちろん片刃の鉈では薪は割れません。

まだまだ、いろいろとありますので後日また紹介いたします。




グレンスフォシュ アウトドア アックス

2021-11-08 | 山林の道具と打ち刃物
Gränsfors Outdoor AXE
グレンスフォシュ・ブルーク
アウトドア アックス


スウェーデンのサバイバル熟練者ラーズ・ファルト氏と
斧職人レナート・ペッテション氏が共同開発した特別な斧。

枝払い、薪割り、彫刻はもちろん、キャンプでは小屋作りや調理、
ナイフとしての活用まで、これ1本ですべてがまかなえる逸品。
経験と知恵を凝縮した精巧、かつ軽量な斧です。

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10年くらい前に購入した「Hultafors (ハルタホース) オールラウンド 」が
あるのですが、少し大きめで重いため、いつもは和鉈を使っています。

今月で65歳、年金をフルにもらう記念になにか買おうと考えました。
だいたい5年ごとにメモリアルなことを勝手にやっています。

これは英国の「RAY MEARS」というブッシュクラフトスクール(?)の
オリジナルOEM品で、スタンプがGransforsではありませんが本物です。
なぜそこから購入するかというと価格&送料が安いから。

なんか輸入梱包って到着するとワクワクしますが、とくにEU圏のものは
雰囲気が良いですね(中国は残念な感じですが)

THE AXE BOOKという冊子が付属していて、制作写真や斧の使用法、
発達の歴史などのほか「斧の投げ方」というページがあってビックリ!
どうもスウェーデンではそういった競技があるようです。

使いやすそうな斧なので、手になじむまでガンガン薪割りです。

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重信と重道

2021-05-25 | 山林の道具と打ち刃物
2本を並べてみました。

こうしてみると刃のフォルムはすごく似ています。
背の先端部分の切り欠きもそっくりです。
作家の個性というより会津打ち刃物の伝統でしょうか。
他の地域にはない微妙な造形です。

昨年の秋口に会津若松へ車中泊&ラーメンツアーに行ったのですが、
こういった打ち刃物を探す旅も良いかもしれません。
コロナ明けにもういちど会津に行ってみたいですね。


重道の切銘と刻印

2021-05-25 | 山林の道具と打ち刃物
『会津手語り』でも紹介されている歴代「重道」の刻印。

この鉈の切銘は何代目のものでしょうか?
本の中でも4世代ある「重道」(同じ刻印)が誰の作なのか?
書体がかなり似ているため判別が難しいとしています。

重道の切銘のアップ写真(鉋=かんな)ばかりを並べて比較
しているページ(P42~43)を見てみるがなかなか判定は
できない。たぶん4代目重道(日下部栄吉)の作かと思う。

この鉈をプロの研ぎ師に出したときに「すごい鉈持ってるね」
と言われて「え?どういうこと」と興味を持ったのが最初。

それから会津鍛冶や重〇をいろいろ調査していたのだが、
この「会津手語り」を見てびっくり。重〇だらけじゃん!

本当にこのムックには頭が下がります。
こういった素晴らしい本が出るということは、やはり会津の
打ち刃物と鍛冶屋にすごく魅力があるということだと思います。

重道の鉈と裏スキ

2021-05-25 | 山林の道具と打ち刃物
「裏スキ萌え」なんて言葉は無いと思いますが、
打ち刃物は「ウラ」を見てナンボではないでしょうか。

両刃で表裏が同じだと面白味は全くありません。
裏スキでも「裏押し」がどのくらいあるのか?
要するに写真でみると光って反射している部分がどうなのか?
どういう幅なのか、あるいはそれが無いのか?

泊鉈が人気なのはウラがカッコよいからでしょう。
もちろん全体のフォルムも素敵ですが、鉈萌えの見るところは
裏スキと裏押しの微妙な駆け引きです。

裏を見た時に刀身に沿って溝がある「(棒)樋(ひ)」「血流し」の別名
があるタイプは好きではありません。なんか雑なつくりが多いですし、
土佐系のものは味がありません。

「口金」の話になりますが、この重道の口金とグリップの作りは
絶品です。口金も鍛造で柄にぴったりの幅で仕事は丁寧です。

会津鍛冶と重道の鉈

2021-05-25 | 山林の道具と打ち刃物
会津鍛冶では名の知れた「重道」の鉈(なた)。

手に持つと程よい重量(540g)とバランス。
全長は37.5㎝で前掲の重信より短い。

この鉈を手に入れた時に他の土佐系打ち刃物とは
なにか違った雰囲気と密度があった。

これは素材の密度ではなく、日本刀の持つ「張り詰めた」
ような気配、あるいは緊張感があることに気づく。

普段の生活の中にある道具、単なる実用刃物である鉈。
殺気などはもちろん不要なのだが、なにかこの重道には
そういった「死」の気配があるのです。

手に持つと「よし、やってやる」という決意がみなぎる、
そんな感じでしょうか。

フォルムは例えようがない美しい曲線を持っています。
どこにも単純な直線(手抜き)が無いのです。


会津鍛冶「重信」

2021-05-05 | 山林の道具と打ち刃物
みなさんどう読めますか?
たぶん「重信」だと思うのですが。
はっきりしません。

前掲の「会津手語り」によると、福島県大沼郡 金山町に「重信」
という製作名の野鍛冶あり、と書かれています。

会津鍛冶で有名な「重延」と同じ読みであることはすこし疑問に
思いますし、切銘が手彫りでなく刻印押しであることも引っかかります。
ちなみにこういった刻印は鉋(かんな)の刃によく押される形式です。

しかしながら、本体形状や裏スキの様子からは明らかに会津鍛冶
の特徴が見られます。

調査続行ということで、時間があるときに「重道」のほうもアップ
いたします。それにしても味わいがあって、情報量の豊富な鉈は
手に取って眺めているだけで飽きませんね。

土佐系の打ち刃物もたくさん持っていますが、近代的な切れ味や
均一な品質は素晴らしいと思いますが、会津の打ち刃物のほうが
研ぎ澄まされた職人魂の中にも深い味わいがあって癒されます。

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重信の裏スキ

2021-05-05 | 山林の道具と打ち刃物
会津鍛冶の角鉈はほとんどが「裏スキ」ありで、微妙にRが付いてい
て、ほんの少し根本に向かってテーパーがかかる形状が、その特徴です。
嘴付(先端の鉤状のでっぱり)のものは一様ではありません。

片刃で裏スキありだと秋田鉈のようですが、会津式は平面の部分が残る
「裏押しあり」なので、少し違うようです。

これは右利き用ですが、オリジナルの柄(交換されると価値が無いかと)
ですが、実は上から見ると右に曲がっています。これはかなり珍しいことで、
そのほうが振り下ろしたときにブレードがまっすぐに入るので、都合が良い
から、わざと曲がっているものを着けたように思います。

刃の根本付近に「重信??」と刻印があります。