いよいよ明日は追い山(櫛田入り)
午前4時59分、 1番山の大黒流が大太鼓の合図とともに、櫛田神社の境内に入り、
清道を回って「祝いめでた」を歌う
このとき、山の舁き手、そして台上がりは一世一代の晴れ舞台!!
各流の選ばれし者だけが山を舁くことが許される
そのため、櫛田入りのカウントダウンを告げるアナウンスがされるたび、舁き手の顔は
みるみる紅潮していき、30秒前、そして、10秒前を告げるカウントダウンがあると、
一気に!「鬼のような形相」となり、「やーっ!!」の掛け声とともに、渾身の力!で
山を清道(境内)へと導く
このとき、重要なのは「鼻取り」、これも追い山の見どころ!!
山笠の1番棒鼻に取り付けられた「鼻縄」を持ち、山笠の進行方向をコントロールする、
いわば「山笠の操縦係」。山笠の表と見送りにそれぞれ2名ずつが付く
彼らの舵とり如何により、タイムに大きく影響するという大事な役目だ
山に精通しているだけではなく、どう取り回しすればロスなく最短で櫛田入りができるか
それを身体で覚えているスペシャリストたち
さて、運よく、境内の桟敷券を入手できた人。これは、サッカーのワールドカップ決勝戦の
チケットに相当するぐらい超!プラチナチケットだ!!!
大迫力の櫛田入り、鼻取りの鼻綱さばき、祝いめでたの大合唱!
そして、8番目の動く飾り山の櫛田入り・・・これらを目の前でみることができる!!
しかし、残念ながら、チケットがない人に、与太郎推薦の見学コースを伝授しよう!
15日(水)
午前2時ごろ、
7つの舁山と走る飾り山は、冷泉公園から櫛田神社にかけての「土井通り」に勢揃いする
櫛田入りを控えた舁き手たちの表情は真剣そのもの、見物する側にも緊張感が伝わる
午前4時ごろ、
「櫛田入り」の舁き手を選抜する「棒競り(ぼうぜり)」が始まる
櫛田入りに先立ち、「我こそは」と櫛田入りを希望する舁き手たちが、流の実力者の
前に整列して真剣な表情と気合いをアピールする!!
これにより、櫛田入りの舁き手が選ばれる
選ばれれば大変な名誉のため、棒競りには多くの舁き手が殺到する
但し、「土居通り」は、見学のぼせで大混雑する場所でもあり、早めにいい場所を
確保、あとは数時間ジーッ!と待つだけ
午前5時過ぎ
櫛田入りを果たした舁山は、そのあと国体道路を経て東長寺へ向かう
東長寺前の清道をまわり、その後すぐ近くにある承天寺前の清道をまわる
全コース中で清道が設置されているのは櫛田神社、東長寺前、承天寺前の3カ所のみ
櫛田神社の清道が無理でも、残り2つの清道は比較的見物し易い
土居通りで7つの山を見学したら、速やかに国体道路へ移動しよう!!
さらに、通が好むのは、舁山が通りかかる東町筋
此処は、道幅が約4〜5メートルと狭く、舁山もすぐ目の前を通過する!
そのため、自分も流に参加しているような錯覚を起こすほどの迫力
なかでも、上呉服町の坂道は、短いながらも下り坂を一気に駆け下りる山の迫力は最高!!
ケガをしたくないなら大博通りでの見学がお奨め
歩道も比較的広いので、子供連れやお年寄りにはぴったりの見物ポイント!
大博通りは、道幅が広く、舁き手がめまぐるしく交代するところでもある
そのため、舁き手の息が合っていないと山笠が左右に蛇行してしまう!
これも山笠特有の醍醐味であり、舁き手のスタミナが要求される「隠れた難所」だ
さらに、山笠は一転して道幅の狭い旧西町筋になだれ込む
旧西町筋は、東町筋よりもさらに道幅が狭い所が多い
しかも直角に曲がる箇所があるため、舁き手の度胸とテクニックが要求される!
言い換えれば、追い山コース屈指の難所といえよう
ただし、ここでの見物は舁き手の邪魔になるので、極力避けて欲しい
毎年、直角コーナーでふくらんだ舁き手たちと見物客の接触が必ず起こっている
これほど迷惑なことはない。どちらにとっても不幸な出来事になる
さて、山笠は狭い西街筋を経て廻り止め(ゴール地点)のある奈良屋町へ
ここでの見所は舁き手たちの最後の力を振り絞った「ラストスパート」だ
最後の角を曲がって廻り止めが見えると、いっせいに男たちが後押しにつく
このとき、「オイサッ!」のかけ声はひときわ大きく、早くなり、舁山が一気に加速する
ゴールした後の感極まった舁き手たち・・・これほどドラマチックな光景はない
無事に追い山全コースを走り終えて山小屋に帰ってきた舁山は、間髪入れずに
取り壊される。「山崩し」と言われる山笠の取り壊し作業、特に、西流の「山崩し」は
舁き手が台に殺到!!入り乱れて飾り付けや人形の争奪戦を行う
飾りが全て撤去されたら、流総務が飾りのない山笠台に上がり、舁き手たちが山笠台を
前後に揺らしながら、期間中最後の「祝いめでた」を全員で歌う
さて、改めて、追い山(櫛田入り)とは、
博多祇園山笠のクライマックスであり、午前4時59分、一番山の櫛田入り奉納を皮切りに、
合計8つの山が次々と櫛田入りを行い、境内を出て旧博多部に設けられた約5kmの
「追い山笠コース」を須崎町の廻り止め(ゴール)を目指して懸命に舁く行事だ
「櫛田入り」「コース」ともに所要時間が計測される
しかし、1位になったからといって表彰されるわけでもない
タイムや順位は流の「栄誉」であり、次年に向けた「課題」にもなる
さて、山崩しが行われている同時刻、櫛田神社の能舞台では午前6時から荒ぶる神様に
捧げる鎮めの能が演じられる。これが滞りなく執り行われると、すべての神事終了となる
静から動へ、そして再び静へ