町長選挙 奥田英朗
精神科医の伊良部シリーズの第3弾
2005年に発表された内容なので、20年位前の世相を反映してます
当時の社会がしのばれて面白いです
短編なんですが、今回精神を病むのは大物ばかり
「オーナー」ではナベツネをほうふつとさせる、球団オーナーのナベマンが主人公
80を前にやり残したことが多すぎるナベマンは、引退とか隠居とか眼中にない。
俺がいなくては、世の中悪くなるばかり。死ぬのが怖くて仕方がない。
暗闇や閉所が棺桶に思えてパニック障害に。
「アンポンマン」ではホリエモンをほうふつとさせる、アンポンマン安保が主人公
ネットサービスの黎明期で「ライブファスト」を立ち上げてIT長者の大金持ちへ
ネットの世界にどっぷりはまり、文字が書けなくなりました
ひらがなが書けなくなるほどの重傷。
「カリスマ稼業」では歌劇団出身の女優、白木カオル44歳が主人公
若さと美貌の維持に気を病んでいます。
すこしでも高カロリーのものを食べてしまうと
運動しないと気が済まない。強迫観念に振り回されています。
そして「町長選挙」
これが一番面白かった
東京の離島、千寿島に出向してきた都庁の職員、宮崎良平。
千寿島は、現町長と前町長の派閥に分かれており。
互いをののしりあう勢力争いが繰り広げられています。
そんな中、2年に1回の町長選挙がやってきました
両派閥の選挙戦が始まり熾烈な票集めが始まります。
態度を明らかにしない宮崎に両陣営が迫ってきます。
どっちへつけばいいのか?悩みに悩んで胃が痛い宮崎君
そこへ、伊良部総合病院から派遣されてきたのが伊良部一郎とマユミちゃん
父親である院長の命令で、離島で勉強して来いといわれ
しぶしぶやってきました。
町長選挙の争点である、特養老人ホームの建設にからんで
両陣営が、伊良部の支持を取り付けようと現ナマ攻勢に
金を積まれた伊良部は、にやっと笑うのですが・・
町長選挙が迫り、両陣営の攻勢に会い態度を決めることできない
伊良部はにっちもさっちもいかなくなり診療所から出てこず
引きこもってしまいます。
そんな伊良部を引っ張り出すのがマユミちゃんの一言。
お母さんにいうぞ!と
マザコン伊良部の弱点をつきます。
はてさて、伊良部はどっちの陣営につくのでしょうか?
とまあこんな感じ
日本を代表するような、人たちでも心を病むのです
そんな著名人が、なぜかしら伊良部の病院に来てしまう。
そして、なりふり構わない子供のような伊良部の行動をみて
いつの間にか、癒されていくんですね
世の中、考えすぎはよくないですね
よく見せようとか、あれもこれもやらなくちゃとか
だれからも好かれたいとか
無理な話ですね
なるようになると考えないとですね