ぶろぐ猫の目

笑う門には福来る・・
実験中

空中ブランコ 奥田英朗

2023-06-07 06:00:39 | 読んだ本の紹介





空中ブランコ 奥田英朗



精神科医 伊良部先生シリーズの2作目です

いらっしゃーいと患者を迎える伊良部先生

総合病院経営者であり医師会の理事を務める父親の御曹司

親の力と金で大学にもぐりこんだ伊良部一郎。

そこまではわかるが、なぜ医師国家試験に受かったのか

大学の七不思議

秋篠宮殿下のご成婚特赦かフリーメーソンの暗躍が言われています



そんな伊良部先生が、心を病む人たちを治療していく

短編集。



今回相談に訪れたのが

サーカスの花形、空中ブランコ乗りの山下。

急に空中ブランコができなくなり失敗を重ねます

後輩たちに馬鹿にされて相手にされなくなるのではと疑心暗鬼。



先端恐怖症で刃物が怖いヤクザ、猪野

こわもてが売りのヤクザが刃物どころか

つまようじまで怖くなり、とんがってるものを見ただけで

冷汗が出る始末



伊良部の大学時代の同級生で義父が大学の医学部長の池山

義父のヅラが気になって仕方がない

発作的にヅラをむしってしまいそうになる自分が

抑えきれない



プロ野球のベテラン3塁手、坂東

ある日突然、送球ができなくなる

送球イップスにかかってしまい。試合に出るのが怖くなり

仮病をつかって休んでいます。



女流作家の星山

いままで書いてきた恋愛小説が中身のない薄っぺらな

同じテーマの焼き直しではないかと悩み始め

いざ書こうとしても、過去の作品に書いているのではないかと

強迫観念に悩まされている。



とまあこんな感じの患者たちが

伊良部を訪れるのですが、相変わらずいい加減に自分の好きなように

接する伊良部。

肉感的看護師のマユミちゃんが無表情に注射を打つのも

今まで通りです。



特に共感したのが

サーカスの山下。

部下や他人から馬鹿にされているのではと自分一人で思い悩みます

ブランコを失敗するのは相手の意地悪のせいと思い込んだり

後輩たちが、自分を裏切ったり馬鹿にしたりしているといっては怒ります

すべては、山下の思い込みなんですが

妻や上司が言い聞かせても、まったく聞く耳を持たない



こういう状況は、わたしにもよくあります

人の顔色を見て過ごしてきた人生ですからね

すぐ人の顔色を読んで、必要以上に気にします

こいつはおれを馬鹿にしていると思い込みますね

それに悩んだりします

ラインを送ったのに既読スルーされると

無視された!とむかつきます

これも心の病なのでしょうね



そんな悩みを吐露する山下ですが、伊良部は聞いてるのか聞いていないのか

空中ブランコやりたーいって言いだして

巨体を揺らしながら、無理やり空中ブランコに挑戦します

そして、なんにも考えない伊良部が簡単な技を成功するのを見て

山下は何を感じたのか?



こんな感じで

伊良部先生は自分のやりたい事を子供のように無邪気に

やることで、いつしか患者の心を開かせていきます

なかなか面白いです



読んでて、ドラマのキャスティングを考えてたら

伊良部には、蛙亭の中野さんが目に浮かんできました

ちょっと若いけどあの甲高い声で「いらっしゃーい」ってのが聞きたいです



マユミちゃんは池田エライザさん一択でお願いしますw





コメント (2)
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