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【西日本豪雨】“プラモの聖地”閉店へ 数十万点浸水、再建へ目処たたず 岡山・真備

2018-08-10 09:59:58 | ニュースまとめ・総合
【西日本豪雨】“プラモの聖地”閉店へ 数十万点浸水、再建へ目処たたず 岡山・真備



2018年8月9日 15時17分

産経新聞


 西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町(まびちょう)では、“プラモの聖地”と呼ばれる店も、閉店を余儀なくされた。

 全て含めると、店内に並ぶプラモデルや模型などは数十万点。希少価値のある商品を求めて俳優の石坂浩二さんも来店したという名店だが、再建を断念した。開催中の閉店セールには多くのファンが訪れ、別れを惜しんでいる。(尾崎豪一)

 「いらっしゃい。いっぱい買って帰って」。玩具店「エラヤ」の店長、団迫敬郎(だんさこ・けいろう)さん(62)は店頭に立って、訪れた常連客らに気さくに呼びかけていた。

 店内に入ると、床はまだ一面の水たまり。戦艦模型やガンダムのプラモデル、戦車のラジコンなどの箱が天井近くまで所狭しと積み上げられているが、全てが泥まみれだ。あまりの光景にファンらは「限定モデルが…」とため息をつきながら品定めを続けていた。

 同店は昭和63年にオープン。当初は子供向けの玩具店だったが、団迫さんの趣味や常連客の要望もあり、徐々に玄人向けの品を集め始めた。スズキの人気バイク「カタナ」の西部警察バージョンの完成プラモ(12万8千円相当)や、「陸上自衛隊10式戦車」(4万6千円相当)も。そして2年前、テレビ番組のロケで石坂さんが訪れたことで、プラモの聖地として知る人ぞ知る店となったという。

 その名店も水害に襲われた。7月9日に店の状況を見に来た団迫さんが入り口のシャッターをこじ開けると、泥をかぶって散乱した箱が壁のように立ちふさがった。「ファンにとっては一緒に飾る箱も重要。もうどうしようもない」。団迫さんは言葉を失った。

 エラヤの浸水被害を知った常連客が週末に駆けつけた。義援金を持ってきた客もいたが断った。「どうしてもというのなら、店の商品を買っていってほしい」と定価の1割で販売するセールを始めた。それが商売人としての矜持(きょうじ)だった。クラウドファンディングも提案されたが、被害総額は1億円以上。年齢も考慮し、閉店を決めた。

 日を追うごとに増えるファンからは、閉店を惜しむ声も。徳島大3年の坂本翼さん(21)は、「高校時代までは(岡山県)矢掛町(やかげちょう)から月に1回は来ていた。なくなるのはやっぱり悲しい」とつぶやいた。

 店内にある商品の販売や処分が終わり次第、9月にも閉店する。「普段からこの店をかわいがってくれていた人の手に商品が渡ればうれしい」と気丈に笑顔を見せる団迫さん。だが、プラモデルを片付ける後ろ姿は寂しげだった。

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