ワンセグでNHK受信料契約の徴収、なぜNHKはそんなに焦るのか?
2016年9月14日 12時0分
THE PAGE
ワンセグ付きの携帯電話を所有する人がNHKと受信料契約を結ぶ義務があるかどうかを争った裁判で、さいたま地裁は8月26日、契約義務がないとの判断を示しました。ワンセグだけでは受信料の支払い義務がないことを司法が認めたわけですが、NHK側はすぐに控訴する方針を示すとともに、これまで通り受信料の徴収を続けるという強引な姿勢を明確にしています。NHKはなぜここまで受信料の確保に必死になっているのでしょうか。
「設置」の中には「携帯」は含まれないと地裁判決
この裁判は、埼玉県朝霞市の大橋昌信市議が、ワンセグ機能付き携帯電話を所有しているという理由でNHKから受信料を要求されるのは不当だとして、NHKに受信契約義務がないことの確認を求めたものです。
放送法の第64条には「受信設備を設置した者は受信契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備についてはその限りではない(一部省略)」との記載がありますから、受信設備を、視聴目的で設置した人には受信料を支払う義務が生じます。ポイントは、テレビを視聴することが目的なのかという点と、設備を設置しているのかという点です。
大橋市議は、単身赴任生活で自宅にテレビがなく、ワンセグ付きの携帯電話を所有しているが視聴はしていないと主張しています。また、ワンセグは持っているだけで「設置」しておらず、しかも、放送の受信が目的ではないので契約義務はないとしています。
判決では主に「設置」と「携帯」に関する部分が争点となりました。NHK側は「設置」という意味には「携帯」も含まれると主張しましたが、判決では「設置」の中には「携帯」は含まれないとの判断を示し、受信料を支払う義務はないと結論付けました。放送法の第2条には、「設置又は携帯」という文言があり、設置と携帯が分けて記述されています。同じ法律の条文で片方は携帯が設置に含まれ、もう一方は設置と携帯が別々に記載されているということでは、整合性が取れませんので、この部分が根拠となったようです。
社屋の建て替えでお金が必要?
しかしNHKは、判決について「設置についての解釈を誤ったもの」と主張しており、控訴する方針を明らかにしました。NHKがここまで受信料の確保にこだわっている理由の一つは、おそらく社屋の建て替えでしょう。
現在、NHKは東京・渋谷に巨大な放送センターを持っていますが、2020年の東京五輪の終了後、施設を建て替える計画を明らかにしています。計画書によると、地上18階建ての「制作事務棟」(高さ約90メートル)など、3つの巨大なビル群を、16年かけて建設し「世界を代表する公共メディアの拠点を目指す」と宣言しています。建設費は1700億円(放送設備費は含まず)に達する見込みで、このままではNHKが持つ積立金の多くを使ってしまいますから、財政力を強化したいと考えているのかもしれません。
ただ、こうした形で国民から強制的に徴収してまで、施設の更新が必要なのかについては様々な意見が出てくることになるでしょう。
2016年9月14日 12時0分
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ワンセグ付きの携帯電話を所有する人がNHKと受信料契約を結ぶ義務があるかどうかを争った裁判で、さいたま地裁は8月26日、契約義務がないとの判断を示しました。ワンセグだけでは受信料の支払い義務がないことを司法が認めたわけですが、NHK側はすぐに控訴する方針を示すとともに、これまで通り受信料の徴収を続けるという強引な姿勢を明確にしています。NHKはなぜここまで受信料の確保に必死になっているのでしょうか。
「設置」の中には「携帯」は含まれないと地裁判決
この裁判は、埼玉県朝霞市の大橋昌信市議が、ワンセグ機能付き携帯電話を所有しているという理由でNHKから受信料を要求されるのは不当だとして、NHKに受信契約義務がないことの確認を求めたものです。
放送法の第64条には「受信設備を設置した者は受信契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備についてはその限りではない(一部省略)」との記載がありますから、受信設備を、視聴目的で設置した人には受信料を支払う義務が生じます。ポイントは、テレビを視聴することが目的なのかという点と、設備を設置しているのかという点です。
大橋市議は、単身赴任生活で自宅にテレビがなく、ワンセグ付きの携帯電話を所有しているが視聴はしていないと主張しています。また、ワンセグは持っているだけで「設置」しておらず、しかも、放送の受信が目的ではないので契約義務はないとしています。
判決では主に「設置」と「携帯」に関する部分が争点となりました。NHK側は「設置」という意味には「携帯」も含まれると主張しましたが、判決では「設置」の中には「携帯」は含まれないとの判断を示し、受信料を支払う義務はないと結論付けました。放送法の第2条には、「設置又は携帯」という文言があり、設置と携帯が分けて記述されています。同じ法律の条文で片方は携帯が設置に含まれ、もう一方は設置と携帯が別々に記載されているということでは、整合性が取れませんので、この部分が根拠となったようです。
社屋の建て替えでお金が必要?
しかしNHKは、判決について「設置についての解釈を誤ったもの」と主張しており、控訴する方針を明らかにしました。NHKがここまで受信料の確保にこだわっている理由の一つは、おそらく社屋の建て替えでしょう。
現在、NHKは東京・渋谷に巨大な放送センターを持っていますが、2020年の東京五輪の終了後、施設を建て替える計画を明らかにしています。計画書によると、地上18階建ての「制作事務棟」(高さ約90メートル)など、3つの巨大なビル群を、16年かけて建設し「世界を代表する公共メディアの拠点を目指す」と宣言しています。建設費は1700億円(放送設備費は含まず)に達する見込みで、このままではNHKが持つ積立金の多くを使ってしまいますから、財政力を強化したいと考えているのかもしれません。
ただ、こうした形で国民から強制的に徴収してまで、施設の更新が必要なのかについては様々な意見が出てくることになるでしょう。
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