<泊まれる本屋>1泊3500円~ 開業2カ月、ほぼ満室続く
毎日新聞 1月17日(日)10時0分配信
約1700冊の本に囲まれて一夜を過ごせる独創的な宿泊施設「BOOK AND BED TOKYO(ブック アンド ベッド トウキョウ)」(東京都豊島区西池袋1)が、人気を集めている。「本と宿泊」に特化したアイデアと、1泊4500~3500円(休前日などは1000円増し)という低価格が、本好き、旅好きの人たちに受けて、2015年11月5日の開業から、30あるベッドはほぼ満室の状態が続いているという。運営会社は空室が多い古いオフィスビルを活用して、年内に都内で同様の施設2カ所をさらに開きたいとしている。
【写真で見る】泊まれる本屋…本棚の奥にはベッド空間が
企画、運営しているのは、デザイナーズマンションやリノベーション物件など、個性的な賃貸住宅を専門に紹介する不動産業「アールストア」(東京都品川区、浅井佳社長)。海外からの観光客が増加して、都内のホテル不足が加速する中、39歳の浅井社長が「高級な五つ星ホテルでもなく、ビジネスホテルでもない、自分たちが泊まりたい施設を作ろう」と思い立ち、「泊まれる本屋」のコンセプトにたどり着いたという。
施設は、JR池袋駅西口から徒歩1分の、主に飲食店が入居するビルの7階。約3000冊まで並べられる本棚と、その奥に上下2段の「寝室」を設けた。
ベッドが大半を占める寝室の空間は、スタンダード(幅129センチ、長さ205センチ)12床と、コンパクト(幅80センチ、長さ205センチ)18床の計30床。トイレ、シャワー、洗面所は共同の、いわゆるユースホステルタイプの施設だ。
特徴は大きな本棚。そこにずらりと並んだ旅行記、食、文学、歴史、写真集、洋書、ライフスタイル雑誌、漫画などの幅広いジャンルの本を、宿泊客は自由に好きなだけ読めること。本の販売はしていないが、宿泊者の感性を刺激してくれそうな本が並んでいる。
この宿の利用客は20~30代が中心で、女性が約6割。居住地別では、約4割が東京都内と近郊で、3割が国内の出張・観光客。残る3割が海外からの観光客だという。「首都圏近郊の人は、わざわざ泊まる必要もないのに、本のある空間を気に入って泊まりに来てくれる。自宅でも職場でもない、『サードプレイス』を求める人がいると想定していたが、これほど多いとは思わなかった」と浅井社長。
本と寝具のほかには必要最低限のものしか用意していない。共有スペースには体を投げ出せるほどの大きなソファにクッションがあるが、あとはトースター、コーヒーマシン、ポット、カップ、皿くらい。コーヒーやみそ汁、シャンプーはフロントで販売している。また、他人のいびきや目覚まし音が気になる人のために、無料の耳栓も用意している。
池袋という立地の良さから、ある外国人観光客は現在、10連泊中。島根県の隠岐島から来た宿泊客は「地元のことを知ってほしい」と、隠岐島のことを紹介した本3冊に思いを書き添えて、本棚に残していった。「友だちの家に遊びにきたようにリラックスできる空間を作りたいと始めたが、隠岐島からのお客さんの例のように、この宿が人と人とがつながる『ハブ』のような場所になれるかもしれない」と、浅井社長はブックアンドベッドのいろいろな使われ方を喜んでいる。
施設は飲み物、食べ物の持ち込み自由。午後1~5時には1500円でシャワーを除く共有スペースが利用できるサービスもしており、宿泊しない人も本を読んでくつろぐことができる
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます