「家では嫁と娘に怒られるんだよ」深夜の上野アメ横に響く中年ギタリストの悲哀
2018年4月21日 15時55分
日刊SPA!
フレッシュな新入社員のおかげで社内がにぎわうこの季節。研修続きで気が滅入ってしまう新卒生も多いだろうが、環境の変化でストレスがたまっているのは何も彼らだけではないはずだ。ベテラン勢もなにかとやることが増え、自分の時間が削られている人も多いだろう。そのうえ家に帰れば嫁さんに愚痴をこぼされ、子どもは「おかえりさえも言ってくれない」なんて人も。
夕方6時ごろ、DVDボックスに駆け込むスーツ姿のおじさんやファミレスの喫煙席でDSをプレイするおじさん。家に帰っても自分の居場所がないのだろうか……。
夜の街は何をしているのかよく分からないおじさんたちで溢れている。みなさんも「なんかあのおじさん怪しい……」と思ったことはないだろうか。そんなおじさんたちの生態を知るべく、今回は閑散とした夜の上野駅にいたちょっと怪しいおじさんに少し話を聞いてみた。
◆街によくいる“怪しいおじさん”の正体
上野駅前にある観光スポット「アメ横」の夜は早い。20時を過ぎるとほとんどの店がシャッターを閉め、通行人もまばらになる。23時になるともう通りは真っ暗で昼間とはまるで違う雰囲気になる。
そんな深夜のアメ横でエレキギターを演奏する謎のおじさんが目に入った。服装はモコモコしたダウンジャケット、白髪まじりで恐らく50代だろうか。観客はゼロだが、ノリノリで自分の世界に没頭している。すぐ隣には自転車が置かれ、上野によくいるホームレスかと思いきや……。
「ただの会社員だよ。家で弾くとうるさいって嫁と子どもに怒られるからね。『近所迷惑だ』って言うんだよ。だから仕方なく外で弾いているだけ」
さっきまで家族と上野で飲んでいたというこのおじさん。お酒が入り気分がよくなったので、「ちょっと遊んでから帰る」と抜け出してきたのだそうだ。通行人からは若干冷ややかな視線を送られ、ちょっと怪しいおじさんと化していたが、ギターを弾いている理由はいたってふつう。話してみてもふつうのおじさんだったのだ。
◆青春時代はミュージシャンになりたかった
「このギターにはアンプが内蔵されているんだよ。もうボロボロだけど愛着があってもう15年以上使い続けているんだ」
そう話しながらおじさんはアンプの音量を一気に上げ始めた。駅に向かう人々も「何事だ?」と後ろを振り返る。観客は筆者一人であるものの、おじさんは昔よく弾いたという洋楽メドレーを披露。「私はパフォーマーでもなんでもないからね」とは言いつつも、人に聞いてもらいたいという気持ちもある。帰路に着く上野駅前の人々もおじさんの弾くクラプトンの曲が少しでも頭に残ったはずだ。
いままでサラリーマンとして家族を養ってきたおじさんであるが、若いころにミュージシャンを目指したことはなかったのだろうか。
「あったな~。仲間とバンドを組んでプロを目指していた時期もあった。でも結婚して子どももできちゃったからね。その子どもも今は社会人だから、俺も自分の時間ができるようになったんだ」
バンド仲間とはもう音沙汰なしというが、おじさんにも若さで輝いていた青春時代があるのだ。
◆家の外に居場所を求める中年サラリーマンたち…
どんな街でも怪しいおじさんの1人くらいはいる。例えば千葉の松戸駅で全身ピンクの衣装を着たおじさんがおもちゃのマイクでエルビス・プレスリーを熱唱し続けている場面に遭遇したことがあるが、そういうおじさんでも話してみると意外や意外、ふつうの会社員なのであった。そして自分の時間をしっかり楽しんで充実した私生活を送っている。
会社も家もなんだかイマイチという方は、ちょっと怪しいおじさんになってみるのもアリかもしれない。本当に怪しい人もいるかもしれないが、街にいる怪しいおじさんもただ趣味を楽しんでいるだけのちゃんとしたおじさんなのだ。マンネリ化した私生活がガラリと変わるかも?
2018年4月21日 15時55分
日刊SPA!
フレッシュな新入社員のおかげで社内がにぎわうこの季節。研修続きで気が滅入ってしまう新卒生も多いだろうが、環境の変化でストレスがたまっているのは何も彼らだけではないはずだ。ベテラン勢もなにかとやることが増え、自分の時間が削られている人も多いだろう。そのうえ家に帰れば嫁さんに愚痴をこぼされ、子どもは「おかえりさえも言ってくれない」なんて人も。
夕方6時ごろ、DVDボックスに駆け込むスーツ姿のおじさんやファミレスの喫煙席でDSをプレイするおじさん。家に帰っても自分の居場所がないのだろうか……。
夜の街は何をしているのかよく分からないおじさんたちで溢れている。みなさんも「なんかあのおじさん怪しい……」と思ったことはないだろうか。そんなおじさんたちの生態を知るべく、今回は閑散とした夜の上野駅にいたちょっと怪しいおじさんに少し話を聞いてみた。
◆街によくいる“怪しいおじさん”の正体
上野駅前にある観光スポット「アメ横」の夜は早い。20時を過ぎるとほとんどの店がシャッターを閉め、通行人もまばらになる。23時になるともう通りは真っ暗で昼間とはまるで違う雰囲気になる。
そんな深夜のアメ横でエレキギターを演奏する謎のおじさんが目に入った。服装はモコモコしたダウンジャケット、白髪まじりで恐らく50代だろうか。観客はゼロだが、ノリノリで自分の世界に没頭している。すぐ隣には自転車が置かれ、上野によくいるホームレスかと思いきや……。
「ただの会社員だよ。家で弾くとうるさいって嫁と子どもに怒られるからね。『近所迷惑だ』って言うんだよ。だから仕方なく外で弾いているだけ」
さっきまで家族と上野で飲んでいたというこのおじさん。お酒が入り気分がよくなったので、「ちょっと遊んでから帰る」と抜け出してきたのだそうだ。通行人からは若干冷ややかな視線を送られ、ちょっと怪しいおじさんと化していたが、ギターを弾いている理由はいたってふつう。話してみてもふつうのおじさんだったのだ。
◆青春時代はミュージシャンになりたかった
「このギターにはアンプが内蔵されているんだよ。もうボロボロだけど愛着があってもう15年以上使い続けているんだ」
そう話しながらおじさんはアンプの音量を一気に上げ始めた。駅に向かう人々も「何事だ?」と後ろを振り返る。観客は筆者一人であるものの、おじさんは昔よく弾いたという洋楽メドレーを披露。「私はパフォーマーでもなんでもないからね」とは言いつつも、人に聞いてもらいたいという気持ちもある。帰路に着く上野駅前の人々もおじさんの弾くクラプトンの曲が少しでも頭に残ったはずだ。
いままでサラリーマンとして家族を養ってきたおじさんであるが、若いころにミュージシャンを目指したことはなかったのだろうか。
「あったな~。仲間とバンドを組んでプロを目指していた時期もあった。でも結婚して子どももできちゃったからね。その子どもも今は社会人だから、俺も自分の時間ができるようになったんだ」
バンド仲間とはもう音沙汰なしというが、おじさんにも若さで輝いていた青春時代があるのだ。
◆家の外に居場所を求める中年サラリーマンたち…
どんな街でも怪しいおじさんの1人くらいはいる。例えば千葉の松戸駅で全身ピンクの衣装を着たおじさんがおもちゃのマイクでエルビス・プレスリーを熱唱し続けている場面に遭遇したことがあるが、そういうおじさんでも話してみると意外や意外、ふつうの会社員なのであった。そして自分の時間をしっかり楽しんで充実した私生活を送っている。
会社も家もなんだかイマイチという方は、ちょっと怪しいおじさんになってみるのもアリかもしれない。本当に怪しい人もいるかもしれないが、街にいる怪しいおじさんもただ趣味を楽しんでいるだけのちゃんとしたおじさんなのだ。マンネリ化した私生活がガラリと変わるかも?
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