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理不尽な「ブラック部活」の実情 自らの経験だけで指導する顧問が多数

2015-10-26 17:32:17 | 憎むべきいじめ
子どもに理不尽強いる「ブラック部活」の実情 丸刈りや白飯2杯ノルマも当たり前

2015年10月26日 13時2分

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体育会系の馬鹿教師が増えたと言う事か~


根性論で健康を害するほどの練習を強いられ、絶対権力者の顧問に意見もできない。そんなブラック部活慣れした子どもたちが、将来ブラック企業に狙われる?(ライター・島沢優子)

 首都圏に住むパート勤務の女性(40代)の長男は、昨年まで私立高校のサッカー部員だった。昨年、高校の部活の集大成でもある全国高校選手権の予選で、猛練習の割に早々と敗退した。今年も後輩たちは早い段階で公立高校に敗れたと聞いた。

「やっぱりねって感じ。サッカー推薦で上手な子を入れても、監督がつぶしてしまう。ケガや故障のケアはしないし、選手は使い捨て状態ですから」

 ちょうど1年前、連休に合宿があった。出発前日、息子は高熱で寝込んでいたが、「監督から来るように言われた」とフラフラになりながら家を出ようとする。聞けば監督から、「俺は熱を出しても練習を休んだことはない」と言われたという。顧問、副顧問とも30代半ばで、ともに全国大会出場経験があった。

●俺らはもっとひどい

「俺は捻挫くらいで休まないとか、常に高校時代の自分を基準にする。目の前の部員の状況なんて見ようともしない。指導以前の問題。安全管理さえできないんだから。とにかく死なずに卒業してと祈る毎日でした」

 他校は、夏場は北信越など避暑地で合宿するのに、「日本一暑い所でやろう」という顧問の一声で、わざわざ猛暑で名高い近県の町へ。「全国高校選手権予選が始まる8月末の暑さに慣れるため」が理由だった。

 合宿初日、朝の集合に遅刻した部員がいた。顧問は全員集めた部屋で説教をした後、バリカンを置いて出ていった。暗黙の「全員丸刈りの厳罰」だ。3ミリ以下の坊主頭で数日間、炎天下にさらされ続けた部員たちの頭皮は日焼けで水ぶくれになるやけど状態。熱中症で救急搬送されたり、体調を崩す部員が続出した。

 戻ってきた息子の姿に驚いた女性は顧問らに、「そこまでやる必要があったのか」と問いただしたが、「命じた覚えはない。生徒たちが自主的にやったこと」と言い訳した。顧問らが部員に言う常套句は「俺らの時代はもっとひどかった」だった。 女性は当該の教育委員会に惨状をメールで事細かに伝えたものの、ナシのつぶて。そのうち、息子から、「先生(顧問)に意見するのはもうやめて。俺が試合に出られなくなる」と涙ながらに訴えられた。ケガをしても、「練習に出ないと試合に出られない。みんなそうしてる」と言って休まない。顧問との話し合いを勧めても、「意見なんて言えない。逆らえば怒鳴られる」とうつむいた。この女性は言う。

「親はわが子を人質に取られているのと同じ。私たちが払った部費会計にバリカン代があったのにはあきれました」

●大柄だと熱中症リスク

 部活事情やスポーツ事故に詳しい名古屋大学大学院教育発達科学研究科准教授の内田良さんは、こう警鐘を鳴らす。

「自らの経験則だけで指導してしまう顧問が実に多いと感じている。医学的、生理学的な正しい知識を理解していないので非常に危険」

 例えば熱中症もそうだ。今年、神奈川・桐蔭学園高校の柔道部員(16)が、熱中症で搬送された2日後に死亡した。

 内田さんが、1994~2013年度の中高の主要な部活(04年度時点で部員が3万人以上)における熱中症の死亡率を調べたところ、柔道は100万人中4人と最も高かった。先のW杯で日本代表が活躍したラグビーは、部員数が少なく「主要部活」に入らないものの、8.3人と柔道以上のリスクを示した。

「柔道とラグビーは体重の重い、大柄な選手が多いという共通点がある。体が大きいと、軽い運動でもエネルギー消費量が上がり熱を発生しやすい。それなのに体内の脂肪が熱の拡散を妨げるため、重篤な熱中症になりやすい。以前から体の大きい子への注意を促されていたのに周知されていない」(内田さん)

 日本体育協会の調べでは、学校管理下の熱中症による死亡事例で肥満傾向にあったケースは71%と大きな割合を占める。首都圏にある県立高校の柔道部顧問は、この指摘にショックを受けた。

「周囲に熱中症で亡くなった子が4人いたが、大柄の子のリスクが高いとは知らなかった。どの競技も夏休みは練習量を増やし選手を追い込む時期ととらえているが、そういう意識は捨てたほうがいい」●ボールは上級生が先

 顧問たちはその方法で上達したのかもしれないが、目の前の子どもは資質も時代背景も違う。12年12月に大阪の市立高校でバスケットボール部の主将が顧問の暴力を苦に自殺した事件の発覚以来、スポーツ・教育界をあげて暴力根絶を推進してきたが、道半ばに映る。

「体罰ギリギリのところで、理不尽な罰を与えるのが指導なのか」(前出の女性)といった声は、どの競技の現場からも聞こえてくる。安全面が考慮されず、理不尽なことを強いられる“ブラック部活”は少なくない。

 関東地方にある私立高校バスケ部に所属する娘(1年)をもつ40代の会社員女性は言う。

「暴力はないみたいだけど、理不尽なきまりや習慣が残ったままでショックを受けた」

 1年生は2年生以上が体育館に現れるまでボールにさわれない「きまり」があるため、娘は自主練習もできない。4回もあった夏合宿中は、3食どんぶり飯2杯がノルマのため、泣きながら押し込んだ後、口のなかに指を突っ込んで吐いてから練習した。

「バカみたいに食べて、吐いて、練習するの繰り返しです。バスケだけやっていればいいみたいな。実情を知っていれば入学させなかったのに」

 一方、首都圏にある私立高校の野球部に息子が所属する40代のパート女性は、「今の顧問は野球を楽しもうというゆるい空気」だという。その野球部は、数年前に前の顧問が暴力問題で退任した。

「ほかに選択肢がなかったのも事実。他校の野球部はブラックな噂が多かった」

 他校に入学したシニアリーグの先輩は、凄まじいいじめに遭っていた。ごみ焼却場で制服を焼かれ、携帯電話は部室で2度なくなったと聞いた。●顧問のマネジメント力

 スポーツ法学に詳しい国士舘大学法学部教授の入澤充さんはこう言う。

「自分より能力の高い下級生への嫉妬があるのかもしれない。加えて、顧問から責められる、試合に出られないといった“圧”がかかると、非行に走るか、いじめに走るかのどちらかになる」

 本来はスポーツをすることで人間的な成長が望めるはず。それなのに、理不尽なことを押しつけられて思考停止に陥るような部活では子どもにマイナスだ。前出の内田さんは指摘する。

「理不尽を強いられても我慢するのが、いまだに部活の美徳になっている。そんなブラックな部活に染まってしまった従順な高校生たちが、ブラックバイト、ブラック企業に狙われるのではないか」

 入澤さんは、顧問のマネジメント能力向上を呼び掛ける。

「先生たちは技術や戦術を教えるのはうまくても、悪しき習慣や厳しい上下関係など部内の風土に無頓着。もっと運営する能力を磨かなければ。そうしないと永遠に生徒の可能性をつぶすことになると気づいてほしい」

 冒頭の女性は言う。

「部員の自主性を重んじる顧問のもとで楽しくサッカーをしている子どもたちを見るとうらやましかった。強豪校だからとか、監督の経歴がどうとかで部活を選んじゃいけないと心底思います」

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