「機能性表示食品」開始から1年 届け出300品超、好調商品も
09:59産経新聞
企業が科学的な根拠を届け出れば健康効果を表示できる「機能性表示食品」制度が始まって1年が過ぎた。届け出は300品目を超え、売り上げを伸ばした商品もある。一方で、消費者からは公表されている届け出情報が分かりにくいとの声も出ている。(平沢裕子)
◆半数が加工食品
雪印メグミルクは平成21年発売のヨーグルトを昨年8月、機能性表示食品としてリニューアルした。中身は変えず、パッケージに「内臓脂肪を減らす」と記載したところ、今年1月から3カ月間の販売額が、リニューアル前の3カ月間に比べ4倍増に。同社広報部は「効能を明確に伝えられたのが良かった」と話す。
パッケージに「情報の記憶をサポート」と大きく記載したフィッシュソーセージを今年4月に発売したマルハニチロ。含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)の機能性を表示したもので、同社広報IR部によると、「取り扱ってくれる店舗が多く、動きがいい」という。
一方、「脂肪の吸収を抑える」などとうたった茶飲料やノンアルコールビールなど売り上げが目標に届かなかった商品も。食品業界に詳しい関係者は「売り上げを伸ばしているのはごく一部。好調なものも一時的な広告効果によるものかもしれず、表示の効果がどの程度あるのか、現時点では分からない」と指摘する。
食品関係のコンサルティング会社「グローバルニュートリショングループ」によると、今月12日までに消費者庁が受理した304品目の内訳は、加工食品159品目▽サプリメント142品目▽ミカンなど生鮮品3品目。機能性に関与する成分では、食物繊維の一種である難消化性デキストリン▽葛の花由来イソフラボン▽EPA(エイコサペンタエン酸)・DHA▽ギャバ▽酢酸-などが多かった。
◆根拠の信頼性は?
表示の根拠となる有効性や安全性は事業者の自己申告で、消費者庁が効果の有無などをチェックしているわけではない。事業者が届け出た臨床試験や研究論文は同庁のホームページで公開されており、消費者はこれらの情報に基づき自ら判断する。ただ、「専門用語が多く、意味が分かりにくい」との声も上がる。
消費者団体「消費者市民社会をつくる会」(理事長=阿南久前消費者庁長官)は昨年、公表されている情報を分析するための科学者委員会を設置。安全性や科学的根拠を検証した77品目について今月1日、評価結果を公表した。
評価は、商品が消費者庁のガイドラインに適合しているかどうかと、科学的根拠のデータ量で判断。データ量が多い商品をA~Cの3段階でランク付けした。科学的根拠が「十分ある」とするAは16品、「かなりある」のBは40品、「ある程度ある」のCは15品。ガイドラインに沿っているかどうかで企業との見解が異なった「見解不一致」も6品あった。
阿南理事長は「今後も評価を続け、問題があるものは指摘したい。企業は評価結果を受け止め、レベルアップしてほしい」と話す。
◆「薬と同じ」誤解も
機能性表示食品を含む健康食品はあくまでも食品だが、「くすりの適正使用協議会」が今年2月、600人を対象に実施した調査では、健康食品について医薬品と同じような効き目があると誤解していた人が4割以上に上った。
消費生活コンサルタントの森田満樹さんは「多くの量を摂取すればいいわけではなく、安全性が問題となることもある。食生活は主食・主菜・副菜を基本にバランスを取ることが大切」と話している。
◇
【用語解説】機能性表示食品
企業が科学的根拠を示した論文などを消費者庁に届け出れば、健康への効果を商品のパッケージなどに表示できるとして昨年4月にスタート。他に健康効果や栄養機能を表示できるのは、国が効果と表示内容を審査・許可する「特定保健用食品(トクホ)」と、特定のビタミンやミネラルを含む「栄養機能食品」。
09:59産経新聞
企業が科学的な根拠を届け出れば健康効果を表示できる「機能性表示食品」制度が始まって1年が過ぎた。届け出は300品目を超え、売り上げを伸ばした商品もある。一方で、消費者からは公表されている届け出情報が分かりにくいとの声も出ている。(平沢裕子)
◆半数が加工食品
雪印メグミルクは平成21年発売のヨーグルトを昨年8月、機能性表示食品としてリニューアルした。中身は変えず、パッケージに「内臓脂肪を減らす」と記載したところ、今年1月から3カ月間の販売額が、リニューアル前の3カ月間に比べ4倍増に。同社広報部は「効能を明確に伝えられたのが良かった」と話す。
パッケージに「情報の記憶をサポート」と大きく記載したフィッシュソーセージを今年4月に発売したマルハニチロ。含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)の機能性を表示したもので、同社広報IR部によると、「取り扱ってくれる店舗が多く、動きがいい」という。
一方、「脂肪の吸収を抑える」などとうたった茶飲料やノンアルコールビールなど売り上げが目標に届かなかった商品も。食品業界に詳しい関係者は「売り上げを伸ばしているのはごく一部。好調なものも一時的な広告効果によるものかもしれず、表示の効果がどの程度あるのか、現時点では分からない」と指摘する。
食品関係のコンサルティング会社「グローバルニュートリショングループ」によると、今月12日までに消費者庁が受理した304品目の内訳は、加工食品159品目▽サプリメント142品目▽ミカンなど生鮮品3品目。機能性に関与する成分では、食物繊維の一種である難消化性デキストリン▽葛の花由来イソフラボン▽EPA(エイコサペンタエン酸)・DHA▽ギャバ▽酢酸-などが多かった。
◆根拠の信頼性は?
表示の根拠となる有効性や安全性は事業者の自己申告で、消費者庁が効果の有無などをチェックしているわけではない。事業者が届け出た臨床試験や研究論文は同庁のホームページで公開されており、消費者はこれらの情報に基づき自ら判断する。ただ、「専門用語が多く、意味が分かりにくい」との声も上がる。
消費者団体「消費者市民社会をつくる会」(理事長=阿南久前消費者庁長官)は昨年、公表されている情報を分析するための科学者委員会を設置。安全性や科学的根拠を検証した77品目について今月1日、評価結果を公表した。
評価は、商品が消費者庁のガイドラインに適合しているかどうかと、科学的根拠のデータ量で判断。データ量が多い商品をA~Cの3段階でランク付けした。科学的根拠が「十分ある」とするAは16品、「かなりある」のBは40品、「ある程度ある」のCは15品。ガイドラインに沿っているかどうかで企業との見解が異なった「見解不一致」も6品あった。
阿南理事長は「今後も評価を続け、問題があるものは指摘したい。企業は評価結果を受け止め、レベルアップしてほしい」と話す。
◆「薬と同じ」誤解も
機能性表示食品を含む健康食品はあくまでも食品だが、「くすりの適正使用協議会」が今年2月、600人を対象に実施した調査では、健康食品について医薬品と同じような効き目があると誤解していた人が4割以上に上った。
消費生活コンサルタントの森田満樹さんは「多くの量を摂取すればいいわけではなく、安全性が問題となることもある。食生活は主食・主菜・副菜を基本にバランスを取ることが大切」と話している。
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【用語解説】機能性表示食品
企業が科学的根拠を示した論文などを消費者庁に届け出れば、健康への効果を商品のパッケージなどに表示できるとして昨年4月にスタート。他に健康効果や栄養機能を表示できるのは、国が効果と表示内容を審査・許可する「特定保健用食品(トクホ)」と、特定のビタミンやミネラルを含む「栄養機能食品」。
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