G20きょう開幕 米中がパリ協定批准 温暖化防止で協調演出
産経新聞 9月4日(日)7時55分配信
■首脳会談は対立…南シナ海、人権問題で攻防
【杭州=西見由章】訪中したオバマ米大統領と中国の習近平国家主席は3日、中国浙江省杭州で会談した。両氏は会談に先立ち同日、地球温暖化対策の新たな国際枠組み「パリ協定」の批准を発表し、歩調を合わせて関連文書を国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長に提出するなど米中協調を演出した。
ただ米ホワイトハウスによると、オバマ氏は習氏に対し、南シナ海問題に関して国連海洋法条約を順守する重要性を強調。習氏は、米国が南シナ海の安定と平和維持に「建設的な役割」を果たすよう求めるなど、中国の軍事拠点化に対抗する米の軍事圧力を牽制(けんせい)した。摩擦が表面化している課題について、双方の溝は埋まらなかったもようだ。
オバマ氏は会談の冒頭、「人権やサイバー、海洋問題などの困難な2国間の問題についても率直に意見交換したい」と言及。オランダ・ハーグの仲裁裁判所が中国の主権を全面的に否定した南シナ海問題など立場の違いが際立つ案件について中国側に懸念を伝えた。オバマ氏は一方、「朝鮮半島情勢やイスラム国(IS)など、双方が利益を共有する地域や世界の安全問題についても議論を深めたい」などと中国との関係を重視する立場も強調。米次期政権が強力な基盤のもとで関係を構築できるよう準備を進めていると述べた。
国営新華社通信によると習氏は米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」に関して、中国の戦略安全の利益を尊重し、韓国配備を撤回するよう要求。また「中国は断固として主権と領土の保全を守り、あらゆる形の台湾独立活動を阻止する」と強調し、米国に「チベット独立勢力」の活動を支持しないよう求めるなど従来の主張を繰り返した。
ただ習氏は「両国は建設的な方法で相違をコントロールすべきだ」とも述べ、本格的な対立は避けたい意向もにじませた。
任期中の外交成果をアピールしたいオバマ氏と、4日から杭州で開かれる最重要課題の20カ国・地域(G20)首脳会議成功に向けて協力を得たい習氏は、対立の先鋭化は回避したいのが本音だ。
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