ムショ飯の試食や刑務官バンドのライブも! 噂の「府中刑務所文化祭」に行ってみた
2014年11月11日 10時30分
ウレぴあ総研
去る11月3日、あの3億円事件の舞台としても知られる府中刑務所で、年に一度の文化祭が開催されました。その内容は、刑務官バンド「デビルス」による野外ライブや、刑務所内を歩いて回る「プリズンアドベンチャーツアー」など、真面目なのかふざけているのかイマイチ分からないものばかり。なんだか気になりすぎるので、今回は当日の様子をレポートしていきます。
「府中刑務所文化祭」の写真を全部見る
■開門前に1000人以上の行列が……! 目的はパンと麻里子さま?
文化祭のスタートは午前10時。筆者が少し余裕を持って開門20分前に府中刑務所に到着すると、入り口にはすでに1000人以上の大行列ができていました。府中市民の筆者は思わず「え? 府中ってこんなに人いたの?」とうろたえてしまいます。
並んでいる方々に「どうしてこんなに早くから並んでいるんですか?」と聞いてみたところ、彼らの目的は刑務所特製のコッペパンだということが判明。こちらのコッペパンは、例年開門と同時に売り切れてしまう超人気商品なのだそうです。
給食で出てくるようなノーマルなコッペパンと、ぶどうパンの2本セットで、お値段は100円(税込)とリーズナブル。中身がぎっしり詰まっていて、食感は少し固めです。1本の重さが約170グラムと、かなりボリューミーでおトクですが、味はけっこう普通でした(笑)。
一年に一度しか買えないプレミア感と、100円というリーズナブルな価格が来場者の購買意欲をかき立てているようですね。
ちなみに今年の文化祭は、一日刑務所長の篠田麻里子さんが参加するテープカットで幕を開けました。
どうやら開門前の行列の半数は麻里子さま目当て、あとの半数がコッペパンを求めるお客さんだったようです。
■刑務所内を歩いて回る「プリズンアドベンチャーツアー」へ
コッペパンを購入してひと息ついていると、人々が次々に同じ方向へ走り出しました。筆者も訳が分からないままついていってみると、そこにはまたしても数百人の大行列が……!
どうやらこちらは、府中刑務所文化祭のメインイベントのひとつ「プリズンアドベンチャーツアー」の行列のようです。
普段は一般の人が立ち入ることのできない「塀の中」を探索できるこのツアーでは、工場や入浴場、体育館など、受刑者が生活する施設を無料で見学することができます。当然ながら内部の撮影はNG。入り口では厳重な荷物チェックが行われていました。
来場者の中には、昨年は混雑しすぎて入場できなかったというリベンジ組も多く、開門の30分前から行列に並んだという方もいました。
……コッペパンの行列を見た時にも思いましたが、来場者の、この文化祭にかける意気込みはディズニーランド並みに高いです(笑)
■“ムショ飯”を食べられる「府中麦飯食堂」
お次は、900食限定で刑務所の食事を提供するという「府中麦飯食堂」へ。
こちらの盛況ぶりも尋常ではなく、11時半の時点で900食分はほぼ完売。
注文できるメニューは、普段受刑者も食べているという牛すき煮定食セットとチキンカレーセット(ともに500円)の2品でした。
麦3、白米7の割合で炊かれたお米に、副菜と味噌汁も付いてとてもヘルシー。普段はこれらのメニューを、受刑者が1日約7000食も作っているのだそうです。
ちなみに外国人受刑者が約400人収監されている府中刑務所では、ベジタリアン向けのメニューや、イスラム教徒向けの特別メニューなども用意しているのだとか。
■売り切れ続出! 家具が激安で販売される物販コーナー
府中刑務所文化祭では、全国68の刑務所から出品された約1万2000点の刑務作業品が販売されています。
驚くべきは、ここで販売されている伝統工芸品の家具や桐ダンスがほぼすべて、受刑者の手によって作られたものだということ。これらの製品は市販のものよりも安価で質が高く、購入希望の人々で例年黒山の人だかりができるほど。
実際に会場を回ってみると、販売されている品数の多さに圧倒されます。食品やソファー、本革製の靴や鞄など、ちょっとしたデパート並みの品ぞろえです。挙げ句の果てには100万円以上もする神輿まで売られていて、もう訳が分かりません(笑)。
ちなみにこちらで購入した家具が故障した場合には、刑務所に連絡を入れれば修理を行ってくれるそうです。府中刑務所はアフターケアまで抜かりがない!
■締めは刑務官バンド「デビルス」による野外ライブ!
文化祭の締めは、メンバー全員が刑務所関係者(内3名は現役職員)というエレキバンド「デビルス」による野外ライブ。
これがいわゆる「おやじバンド」なのですが、インストゥルメンタルで往年の名曲を演奏する姿が超シブいのです。
1974年の結成以来、毎年この文化祭でライブを行っているというだけあって、会場には往年のファンが押しかけていました。
ベンチャーズの「ダイアモンド・ヘッド」や、奥村チヨの「恋の奴隷」など、だれもが一度は耳にしたことのある名曲を次々に演奏していきます。
最後は会場の皆さんと一緒に三本締めで終了(笑)。とてもアットホームで温かいライブでした。
しかし、どうしても気になるのは「デビルス」というバンド名の由来。刑務所職員のバンドとしては、さすがに攻めすぎなのでは……? 気になったので、ライブ終了後にリーダーの佐藤さんをつかまえて質問してみました。
「バンド名は、結成当時に使っていたドラムのロゴが“デビルス”だったからそこから取ったんです。よく考えれば刑務官のバンドとしては変ですよね。ここまで来たらもう変えられませんけど(笑)」
……いや、よく考えなくても変です(笑)。
そんなひょうきんなリーダーが率いる「デビルス」は、全国各地の刑務所で慰問ライブも行っています。この文化祭に訪れるファンの中には、彼らの演奏に心を洗われた元受刑者の方も少なくないのだとか。
ユニークなイベントやお得な物販品があふれる府中刑務所文化祭は、元受刑者達の心のよりどころとしても重要な役割を果たしているようです。
次回の開催は2015年11月3日(文化の日)。ご興味のある方は足を運んでみてはいかがでしょうか。
2014年11月11日 10時30分
ウレぴあ総研
去る11月3日、あの3億円事件の舞台としても知られる府中刑務所で、年に一度の文化祭が開催されました。その内容は、刑務官バンド「デビルス」による野外ライブや、刑務所内を歩いて回る「プリズンアドベンチャーツアー」など、真面目なのかふざけているのかイマイチ分からないものばかり。なんだか気になりすぎるので、今回は当日の様子をレポートしていきます。
「府中刑務所文化祭」の写真を全部見る
■開門前に1000人以上の行列が……! 目的はパンと麻里子さま?
文化祭のスタートは午前10時。筆者が少し余裕を持って開門20分前に府中刑務所に到着すると、入り口にはすでに1000人以上の大行列ができていました。府中市民の筆者は思わず「え? 府中ってこんなに人いたの?」とうろたえてしまいます。
並んでいる方々に「どうしてこんなに早くから並んでいるんですか?」と聞いてみたところ、彼らの目的は刑務所特製のコッペパンだということが判明。こちらのコッペパンは、例年開門と同時に売り切れてしまう超人気商品なのだそうです。
給食で出てくるようなノーマルなコッペパンと、ぶどうパンの2本セットで、お値段は100円(税込)とリーズナブル。中身がぎっしり詰まっていて、食感は少し固めです。1本の重さが約170グラムと、かなりボリューミーでおトクですが、味はけっこう普通でした(笑)。
一年に一度しか買えないプレミア感と、100円というリーズナブルな価格が来場者の購買意欲をかき立てているようですね。
ちなみに今年の文化祭は、一日刑務所長の篠田麻里子さんが参加するテープカットで幕を開けました。
どうやら開門前の行列の半数は麻里子さま目当て、あとの半数がコッペパンを求めるお客さんだったようです。
■刑務所内を歩いて回る「プリズンアドベンチャーツアー」へ
コッペパンを購入してひと息ついていると、人々が次々に同じ方向へ走り出しました。筆者も訳が分からないままついていってみると、そこにはまたしても数百人の大行列が……!
どうやらこちらは、府中刑務所文化祭のメインイベントのひとつ「プリズンアドベンチャーツアー」の行列のようです。
普段は一般の人が立ち入ることのできない「塀の中」を探索できるこのツアーでは、工場や入浴場、体育館など、受刑者が生活する施設を無料で見学することができます。当然ながら内部の撮影はNG。入り口では厳重な荷物チェックが行われていました。
来場者の中には、昨年は混雑しすぎて入場できなかったというリベンジ組も多く、開門の30分前から行列に並んだという方もいました。
……コッペパンの行列を見た時にも思いましたが、来場者の、この文化祭にかける意気込みはディズニーランド並みに高いです(笑)
■“ムショ飯”を食べられる「府中麦飯食堂」
お次は、900食限定で刑務所の食事を提供するという「府中麦飯食堂」へ。
こちらの盛況ぶりも尋常ではなく、11時半の時点で900食分はほぼ完売。
注文できるメニューは、普段受刑者も食べているという牛すき煮定食セットとチキンカレーセット(ともに500円)の2品でした。
麦3、白米7の割合で炊かれたお米に、副菜と味噌汁も付いてとてもヘルシー。普段はこれらのメニューを、受刑者が1日約7000食も作っているのだそうです。
ちなみに外国人受刑者が約400人収監されている府中刑務所では、ベジタリアン向けのメニューや、イスラム教徒向けの特別メニューなども用意しているのだとか。
■売り切れ続出! 家具が激安で販売される物販コーナー
府中刑務所文化祭では、全国68の刑務所から出品された約1万2000点の刑務作業品が販売されています。
驚くべきは、ここで販売されている伝統工芸品の家具や桐ダンスがほぼすべて、受刑者の手によって作られたものだということ。これらの製品は市販のものよりも安価で質が高く、購入希望の人々で例年黒山の人だかりができるほど。
実際に会場を回ってみると、販売されている品数の多さに圧倒されます。食品やソファー、本革製の靴や鞄など、ちょっとしたデパート並みの品ぞろえです。挙げ句の果てには100万円以上もする神輿まで売られていて、もう訳が分かりません(笑)。
ちなみにこちらで購入した家具が故障した場合には、刑務所に連絡を入れれば修理を行ってくれるそうです。府中刑務所はアフターケアまで抜かりがない!
■締めは刑務官バンド「デビルス」による野外ライブ!
文化祭の締めは、メンバー全員が刑務所関係者(内3名は現役職員)というエレキバンド「デビルス」による野外ライブ。
これがいわゆる「おやじバンド」なのですが、インストゥルメンタルで往年の名曲を演奏する姿が超シブいのです。
1974年の結成以来、毎年この文化祭でライブを行っているというだけあって、会場には往年のファンが押しかけていました。
ベンチャーズの「ダイアモンド・ヘッド」や、奥村チヨの「恋の奴隷」など、だれもが一度は耳にしたことのある名曲を次々に演奏していきます。
最後は会場の皆さんと一緒に三本締めで終了(笑)。とてもアットホームで温かいライブでした。
しかし、どうしても気になるのは「デビルス」というバンド名の由来。刑務所職員のバンドとしては、さすがに攻めすぎなのでは……? 気になったので、ライブ終了後にリーダーの佐藤さんをつかまえて質問してみました。
「バンド名は、結成当時に使っていたドラムのロゴが“デビルス”だったからそこから取ったんです。よく考えれば刑務官のバンドとしては変ですよね。ここまで来たらもう変えられませんけど(笑)」
……いや、よく考えなくても変です(笑)。
そんなひょうきんなリーダーが率いる「デビルス」は、全国各地の刑務所で慰問ライブも行っています。この文化祭に訪れるファンの中には、彼らの演奏に心を洗われた元受刑者の方も少なくないのだとか。
ユニークなイベントやお得な物販品があふれる府中刑務所文化祭は、元受刑者達の心のよりどころとしても重要な役割を果たしているようです。
次回の開催は2015年11月3日(文化の日)。ご興味のある方は足を運んでみてはいかがでしょうか。
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