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日本、グァムの脅威になる可能性 中国、次世代爆撃機の開発を明らかに

2016-09-19 12:13:36 | ニュースまとめ・総合

日本、グァムの脅威になる可能性 中国、次世代爆撃機の開発を明らかに

乗りものニュース 9月19日(月)10時35分配信

「目の上のたんこぶ」である島

 中国空軍の馬曉天大将は2016年9月1日(木)、次世代大型爆撃機の開発が進行中であることを明らかにしました。その名称や性能など、詳細について馬大将は一切触れませんでしたが、開発自体はかねてより西安飛機H-20(轟20)という仮名がうわさされており、今回、その事実を初めて公式に認めた形となります(以降、H-20の仮名で表記)。

 H-20は、恐らく核兵器投射能力は持たないか、あったとしてもそれほど重視しないでしょう。最大の目的は、ほぼ間違いなく太平洋方面におけるアメリカ軍への対抗手段、特にグァム島に存在する一大拠点、アンダーセン空軍基地の無力化であると推測されます。

 今年8月、アンダーセン空軍基地にアメリカ空軍の爆撃機B-52H「ストラトフォートレス」、B-1B「ランサー」、B-2A「スピリット」の3機種全てが、初めて同時に配備されました。これらは中国や北朝鮮まで飛行可能な航続距離を持っており、両国への圧力となっています。アンダーセン空軍基地の存在は、中国側からしてみれば、まさに“目の上のたんこぶ”ともいえる邪魔な存在です。

 現在のところ、中国軍が保有するアンダーセン空軍基地への攻撃手段のひとつとして、H-6K爆撃機があります。H-6Kは空対地巡航ミサイル搭載能力を有しており、東シナ海から南西諸島のあいだを通り、太平洋方面へ抜ける姿がたびたび観測されています。これは、アンダーセン空軍基地に対する攻撃を想定した訓練であると見られます。
日本、グァムの脅威になる可能性 中国、次世代爆撃機の開発を明らかに

アメリカ空軍の爆撃機B-52H「ストラトフォートレス」。Tu-16と同様、1952年に初飛行している(写真出典:アメリカ空軍)。
中国軍の次世代大型爆撃機H-20、想定される能力 それにより変わるもの

 しかしながらこのH-6Kは、1952(昭和27)年に初飛行したソ連製の爆撃機ツポレフTu-16「バジャー」が原型。アメリカ空軍の爆撃機B-52H「ストラトフォートレス」と同じくらい古く、もはや戦闘機や地対空(艦対空)ミサイルに狙われてしまうと、生き残ることはできません。そのため、グァムに対する攻撃はやや荷が重いといわざるを得ません。

 中国軍の次世代大型爆撃機H-20は、間違いなくステルス性に優れた機体となるでしょう。そしてH-6Kの航続距離6000kmを上回り、小笠原諸島からマリアナ諸島にいたるライン、いわゆる「第二列島線」ならびに、それ以遠へ到達可能な長距離飛行能力を持つこと、空対地巡航ミサイルによるグァム基地攻撃能力、または太平洋の西半分をカバーできる空対艦ミサイルによる対艦攻撃能力を持つことが見込まれます。

 性能が劣るH-6Kは東シナ海や南シナ海、いわゆる「第一列島線」の内側に活動の中心を置き、ステルス性の高いH-20は太平洋方面へ投入――H-20の実用化後は、こうした運用が行われるようになるでしょう。

日本にとっても直接の脅威になる可能性

 中国軍の次世代大型爆撃機H-20は、アメリカ空軍の爆撃機B-2A「スピリット」に比肩するのではないかという観測もありますが、実際、B-2のような、機体がひとつの主翼だけで構成された、ステルス性能などで有利な「全翼機」となるかは、いまのところ不明です。しかし中国はすでにJ-20、J-31といったステルス戦闘機の開発経験を有しており、ステルス技術に関してはアメリカに次ぎます。また、B-2Aの開発自体は30年以上も前であることを考慮すれば、H-20がB-2Aに匹敵するステルス性を実現する可能性は十分にありえます。

 もしそれらの能力が現実のものとなった場合、グァムのアンダーセン空軍基地は中国の圧力のもとにさらされることになります。そして現在アメリカ軍が実施している、アンダーセン空軍基地にB-52H、B-1B、B-2Aと爆撃機の全機種を配備し、圧力をかけるといった手段は、万が一攻撃を受けた場合に多数の機を一瞬で失いかねないというリスクを負うことになるため、少なくとも容易には行えなくなります。また実際にグァムの基地が破壊された場合、アメリカ軍の最前線は一気にハワイにまで後退することになります。

 日本にとっても、H-20の存在は大きな脅威となります。これまでH-6Kでは攻撃が難しかった千歳基地(北海道)、三沢基地(青森県)、松島基地(宮城県)、百里基地(茨城県)といった太平洋沿岸の戦闘機配備飛行場が、ほぼ攻撃範囲内に収まります。

 そう遠くないうちに、H-20の目撃写真がネットを通じて拡散されることになるでしょう。そしてその存在は、東アジア諸国の安全保障政策に大きな影響を与えるようになるかもしれません。

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