豊洲・地下空洞設置 「議会優先」情報共有怠る 幹部「予算凍結…民主対応に集中」
産経新聞 9月22日(木)7時55分配信
築地市場(東京都中央区)の移転先となる豊洲市場(江東区)の主要施設下で都が土壌汚染対策の盛り土をしていなかった問題で、地下空洞の設置を決めた当時の担当幹部が都の調査に対し「移転に反対だった都議会民主党への対応に追われ、盛り土をしないことは知らなかった」などと証言していることが21日、分かった。盛り土をせず、地下空洞を設ける整備案は技術系職員が決めたとみられるが、移転論議が紛糾する政治局面の中、幹部との情報共有が十分に行われていなかった可能性がある。
都幹部によると、元幹部は「万が一、地下水の汚染が分かった場合に備えて(地下空洞を)設置したが、対策が十分でないと不安視されるのを避けたかった」とも話しているといい、積極的な情報発信を避ける狙いもあったとみられる。
旧民主党は政権交代選挙直前の平成21年7月に行われた都議選で、127議席のうち54議席を占めて第一党に躍進。築地市場の移転反対を公約に掲げており、22年3月の22年度の移転関連予算案審議の際には「議会として現在地(築地市場)再整備の可能性について検討し、知事は議会の検討結果を尊重すること」という付帯決議をつけて事実上、予算を凍結させた。
都は築地市場の建て替えを模索し、豊洲移転との比較検討を続けたが、当時の石原慎太郎知事が22年10月の記者会見で「現在地再整備には十数年かかるという致命的な欠点があり、豊洲移転を進めていくことを決断した」と表明。移転への動きが加速する一方、都議の賛否は拮抗(きっこう)し、23年度の移転関連予算案は民主から会派離脱した都議が賛成に回ったことで、賛成63、反対62と肉薄する形でようやく可決に至った。
地下空洞の整備案は22年7月までには決定したとみられるが、中央卸売市場の当時の担当幹部は、産経新聞の取材に「予算が凍結された時期は築地での再整備が難しいことを議会に説明することに注力していた。意識は議会に集中していた」と説明。「施設の設計を発注する際も、素晴らしい市場にしようと建物をどう配置し、どんな設備を入れるかということばかり考えていた。盛り土の上に建物が建つという認識だった」と述べた。
議会対応を担っていた別の幹部は「当時は民主党のチェックも厳しく、何かを隠すような状況ではなかった。全ての情報をオープンにしてきたつもりだ」と話すが、盛り土をしない方針については「知らなかった」といい、都議会にも地下空洞に関する詳しい説明はしていなかった。
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