碧田直の いいじゃないか。

演劇ユニット、ミルクディッパー主宰の碧田直が、日々を過ごして、あれこれ思ったことを、自由気ままに綴ります。

無題そのにひゃくじゅうはち

2016-11-22 12:30:31 | 日々
妻は富士山が好きだ。電車に乗っていて、富士山がちょっとでも見られると喜ぶし、神奈川県西部に位置する俺の実家の最寄り駅からは、かなり大きな富士山が拝めるので、晴れていると写真におさめたりもする。
といって、別に山好きなわけでもなく、むろん登山もしない。ただ、富士山を見るのが好きらしい。生まれた頃から、富士山を見られる環境にいた身としては、何もそこまで、と思わなくもない。

ずいぶん変わった性癖だなと思っていたが、この間久留米へ帰省した時にお会いした、妻の叔母さんも、その人の姉であるお義母さんも、富士山が生で見られると言うと、羨ましがっていた。彼女の一族に特有のものでは、という疑いは若干残っているものの、どうやら富士山を直接見られない地方の方々は、多かれ少なかれ、富士山に対して、いささか過剰な憧れを抱くようだ。

確かに自分だって、高知の桂浜に建つ、坂本龍馬像を見てみたいと思ったりするし、ロンドンのアビイロードの、あの横断歩道を渡ってみたいと考えたりもする。近くにないから、なおさら思うわけで、すぐそこにあったなら、富士山と同じく、何とも思わないでいただろう。遠いものだからこそ、憧れるのだ。

人間関係も案外そんなもので、いつでも会える関係だと、いてくれるありがたさも薄れて、やがて粗も見えてくる。ましてや憧れなど持ちようもない、

が、実際のところは、遠かろうが近かろうが、それで価値が変わるものではない。まして人なら。

近しい人に感謝をしよう。いつも誰かがそばにいてくれる。こんなにありがたいことはない。
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