ポールマッカートニーのライヴ。
最高だった。
親父と同じ年の、七十五歳にもうすぐなる、言わば老人が、休憩なしで三時間近いライヴをこなす。四十曲近くを演奏し、歌い上げるパワフルさはもちろんのこと、その歌のほとんどが、超有名なヒット曲ばかりというのは、ホントにこの人くらいだろう。
ライヴに参加するたびに感じることだが、ポールは本当にライヴを楽しんでいて、それがこちらにもダイレクトに伝わるから、東京ドーム全体が、巨大なパーティ会場のようになって、誰もが笑顔でライヴを楽しめる。
『楽しんでいるかい?』と、何度もポールは尋ねていたが、いついかなる時でも楽しんでいくというのは、ポール自身のモットーかもしれないし、何よりビートルズの映像などを観ていて、常に感じることだ。彼らはいつだって、本気で楽しんでいた。
むろん、彼らにも辛い下積み時代はあって、ハンブルクでやっていた頃は、過労死一歩手前のような労働条件でプレイしたりもしているが、それでも楽しんでいる。自らも楽しもうとし、観客に楽しんでもらおうとする精神こそが、ビートルズをトップのトップにまで押し上げた。そのスピリットをポールは今も失っていないのだなと、無性に嬉しくなってしまった。
次がいつになるか、次があるのか。それは誰にもわからないが、ポールは『また会いましょう』と言った。いまは、その言葉を信じて待っていたいと思う。