続・カオルちゃん伝説

　その後Sさんと話す機会がありましたので補足します。カオルちゃんの正式なニックネームは「よいこ」と云います。Sさん曰く「あれはホント、じゃりんこチエに出て来るテツみたいな奴や。町のチンピラにでも金をたかっていたからな。カオルちゃん伝説に出て来る主人公もちょっとここが（頭を指さして）オカシイやろ。よいこもちょっとここがおかしかってん」。
Sさんも５６歳になって往年の生気を失いつつも、眼光鋭く時に笑いながらありのままをしゃべってくれました。「よいこは極真かなんか武道の心得があったな。あの体さばきは普通の喧嘩慣れのんと違うかったからな」「俺か。・・・まあ、負けたんやなぁ。あんなんに勝たれへんで」と最後には口惜しそうに話していました。

　話を映画に変えますが、岸和田少年愚連隊・カオルちゃん役の竹内力さんがこんなに芸達者とは思いませんでした。おそらく竹内さん以上にカオルちゃんを演じられる俳優さんは輩出しないでしょうね。

岸和田少年愚連隊・カオルちゃんのお話で・・・

　岸和田のカオルちゃん・・・本当に実在するモデルがいました（今は故人になっている）。もう伝説化していますが、南河内・泉州方面ではかなり有名だった人です。僕らの少し先輩では浪速高校の赤井英和さんが有名でしたが。・・・泉州の出身でカオルちゃんを知っている同僚の先輩がいたので、色々と話を聞く機会がありました。何でも身長は１８０㎝以上あり横もゴッツイ、ゴリラみたいな大男だったとのこと。カオルちゃんが商店街を歩くと潮が引くように人が道を空けたとか。正味、ヤクザもチンピラも一般人も区別なく、攻撃対象と見做したらシバキ回していたと云います。

　このカオルちゃんと喧嘩をした人を一人だけですが知っています。名前がSさんと云います。Sさんはカオルちゃんとの喧嘩で正攻法では敵わないので、ビール瓶をドタマに食らわして先制攻撃しました。大抵一般人ならこの時点でかなりのダメージを受けて気絶寸前となり、怯んだ隙に押し倒して足で蹴り捲って相手をボコボコにするんですが、カオルちゃんは頭にダメージを受けても向かって来たそうです。「こらあかん。こんなバケモンと喧嘩したら殺される」と思って逃げたそうです。

　このSさん、身長も１８０㎝あり横幅もかなりなもんですが敵わなかったんですね。高校生の時は運動部に所属して１年から活躍を嘱望されていたんですが、先輩部員とトラブル後クラブ活動をリタイヤしてしまいました。高校卒業後はヤクザの構成員になったんですが、病気が昂じてかなり前から足を洗っています。Sさんから聞く武勇伝もホント面白くて、小説か漫画になる内容です。その中で覚醒剤入りの注射を２０人程の仲間で打ち合って、相手の組事務所を襲う話には流石に吹き出してしまいました。