五劫の切れ端(ごこうのきれはし)

仏教の支流と源流のつまみ食い

日本の夏祭り

2005-09-28 22:02:16 | 迷いのエッセイ
今回は玄奘さんをお休みし、日本のお祭りについてお話します。少々古いネタなのですが、折角書いた文章ですので載せることにします。 ■8月23日の朝日新聞に、東北の夏祭りに関する記事が掲載されました。もっぱら観光資源としてのお祭の話なのですが、ちょっと違和感を覚えました。 ねぶた祭り (青森市・8月1~7日)   334万人(1万人減) 八戸三社大祭(八戸市・7月31日~8月4日)109万人(16万 . . . 本文を読む

玄奘さんの御仕事 其の参拾参

2005-09-24 18:53:26 | 玄奘さんのお仕事
其の参十弐の続き ■一足跳びに、唯識思想が人間の心の奥底を分析して見つけ出した「阿頼耶識」に話を進めてしまいましょう。凝然さんは、アサンガ(無著)、ヴァスバンドゥ(世親)から真っ直ぐにダルマパーラ(護法)に唯識の正統が伝えられたように書いていますが、実際は、無著と世親が唯識を唱えて100年ほど後に、「識」についての見解が分かれてしまうのです。5世紀に始まるナーランダー僧院では、有名なディグナーガ . . . 本文を読む

玄奘さんの御仕事 其の参拾弐

2005-09-20 22:58:51 | 玄奘さんのお仕事
其の参十壱の続き ■凝然さんは、こう紹介しています。 問う。何故に法相宗と名くるや。答う。諸法の性相を決判するが故に、法相宗と名くるなり。汎く此の宗を言えば、総じて四名あり。一には唯識宗と名く、此の宗の大意唯識を明すが故に。二には応理円実宗と名く、一切の法門皆理に応ずるが故に、三には普為乗教と名く、五乗を摂するが故に。四には法相宗と名く、其の義前の如し。 この四つの名称以外にも、護法宗や慈 . . . 本文を読む

玄奘さんの御仕事 其の参拾壱

2005-09-13 21:49:39 | 玄奘さんのお仕事
其の参拾の続き ■鎌倉時代の凝然さんがまとめて下さった説によりますと、 ……此の教、三国の次第相承分明なり。如来滅後九百年の時、弥勒菩薩、都(兜)率天より中天竺安瑜遮国に降り、瑜遮那の講堂に於いて、五部の大論を説きたまう。補処の薩捶、位、十地に居す、これ則ち如来在世親聞の所伝、非空非有中道の妙理、諸教の中に於いて、マコトに明鏡となす。瑜伽論の如きは、巻軸百巻あり、諸教悉く判ずるが故に、広釈諸 . . . 本文を読む

玄奘さんの御仕事 其の参拾

2005-09-10 10:11:52 | 玄奘さんのお仕事
其の弐拾九の続き ■玄奘さんは、波頗三蔵さんからシーラバドラ(戒賢)が説く唯識思想を聞いて感銘を受けます。そして、どうしても直接教えを乞わねばならないと決心したようです。玄奘さんは、波頗三蔵さんが長安に至った旅の全てを聞き出して記憶し、心の中でその旅路を逆に辿るシミュレーションを何度も繰り返したことでしょう。そして、その旅の成否を決めるのが西突厥の統葉護(トンヤブク)可汗から庇護を受けられるかど . . . 本文を読む

冷戦の終わりで復活する神々 其の五

2005-09-10 10:06:17 | 仏教以外の宗教
其の四の続き ■ウクライナとロシアの関係は、常に正教会の正統性を争う形で分裂と併合を繰り返して来ました。それは東方教会が持っていた一種の柔軟性とモンゴル帝国の出現という大事件が原因となっています。ラテン語を決して手放さないローマ・カトリックに対して、東方教会はギリシア語を中心として広がった後、教えが定着した場所で使われている各民族の言語が認められ、各地の正教会は独自に組織を運営することが認められ . . . 本文を読む

冷戦の終わりで復活する神々 其の四

2005-09-07 21:29:45 | 仏教以外の宗教
其の参の続き ■16世紀、欧州にはプロテスタントの宗教改革が嵐のように吹き荒れました。同時にロシア正教を信仰するロシア帝国も強大になった時代です。この二つに挟まれた地域はローマ法王庁の支配地域拡大方針に呼応して、自らの教義をカトリックに変更してローマ法王に忠誠を誓うようになりました。「ブレスト・リトフスクの合同」と呼ばれる交渉が成立して、東方教会の典礼やユリウス暦使用などの伝統は認められたので、 . . . 本文を読む

冷戦の終わりで復活する神々 其の参

2005-09-07 21:27:45 | 仏教以外の宗教
其の弐に続き ■其の弐で指摘しましたように、ポーランド正教会はローマ・カトリックの支配下に入った事が有ります。これは国家の生き残りを賭けた対ロシア戦略として苦渋の決断だったと思われます。歴史上、二度も分割されて消滅したポーランドですから、宗教組織も過酷な歴史を背負っています。独立の気運が高まるたびに正教会が精神的な支柱となって来ましたが、ローマ・カトリックの政治力に頼らざるを得ない時も有ったので . . . 本文を読む

冷戦の終わりで復活する神々 其の弐

2005-09-03 22:54:30 | 仏教以外の宗教
其の壱のつづき ■キリスト教は、カトリック系とプロテスタント系に大きく二分されますが、ロシア以東にはプロテスタント問題は波及しませんでした。コンスタンティノープルを中心とした東ローマ帝国が15世紀まで宗教帝国として生き残っており、その後はロシア皇帝がその権威を継承したからです。プロテスタントの発火点がチェコだったことを思うと、チェコからドイツ、北欧、スイス、オランダ、イギリス、そして北米大陸へと . . . 本文を読む

冷戦の終わりで復活する神々 其の壱

2005-09-03 22:53:16 | 仏教以外の宗教
■今回は仏教から少し離れて、異国の神について考えてみます。イラクが米国の「民主化」戦略に従った御節介な戦争で、民族と宗派によって三巴の対立に苦しんでいます。バース党というソ連の傀儡政党がイラクを支配していた時代が終ったのも、冷戦が終ってソ連が崩壊したからでした。東西冷戦は、社会主義陣営と資本主義陣営の対決という構図で説明されていましたが、実際にこの対立が消えてみて始めて、民族と宗教の矛盾を丸呑みに . . . 本文を読む