五劫の切れ端(ごこうのきれはし)

仏教の支流と源流のつまみ食い

玄奘さんの御仕事  参拾五

2006-01-31 20:03:53 | 玄奘さんのお仕事
■道基さんは玄奘さんにとっては忘れ難い学恩の有る偉いお坊さんです。何よりも若き玄奘さんにアサンガが著した『摂大乗論』を教えて下さった方なのです。しかし、この有り難い出会いを可能にしたのは、何故か悪名高い隋の煬帝の御蔭なのでした。木偏を火偏に変えられるほど民を苦しめた暴君とされている煬帝ですが、仏教徒にとっては忘れては行けない業績を残してくれた皇帝なのです。巨大な運河を造って豪遊したとか、無謀な高句 . . . 本文を読む

玄奘さんの御仕事  参拾四

2006-01-26 20:18:44 | 玄奘さんのお仕事
■前回、唯識思想の分裂に言及しましたが、これをもう一度、唯識思想全体の流れ、特にインドから中国への流れの中に置き直して見る必要が有りそうです。ナーランダ僧院に着いた玄奘さんの活躍に目を奪われてしまうと、個人的な才能を賞揚するだけで終わってしまうのは、玄奘さんの仏教史に占める大きな意義を見失ってしまう事にもなります。玄奘さんをモデルとした『西遊記』では、インドに行く目的は仏教経典のオリジナルを持ち . . . 本文を読む

玄奘さんの御仕事 番外(1)

2006-01-17 01:39:15 | 玄奘さんのお仕事
■長長と拙ブログを放置しまして、御無沙汰を決め込んでおりましたが、気が付きますれば(新暦ではございますが)年も明け、世は季節はずれの「初春のお喜び」を形ばかり交換して、年末年始の帰省ラッシュと「ゆうたあん」ラッシュの決まり事を終えたのでございます。旧年中は、初めて本を出すなどという大それた暴挙を企んだせいで、すっかり当ブログから遠ざかったおりました。毎日、アクセス履歴を拝見する度に、実に手堅い訪問 . . . 本文を読む