五劫の切れ端(ごこうのきれはし)

仏教の支流と源流のつまみ食い

お葬式の値段

2005-07-28 13:13:59 | 迷いのエッセイ
■人生の節目に執り行われる儀式を「冠婚葬祭」と一口で言いますが、これを切り離すと「元服」「結婚」「葬式」「祖霊の祭り」になります。誕生時と「御七夜」「お宮参り」の祝い事が盛んになる一方で、「元服」はほとんど忘れられて宗教的な意味がまったく無い「成人式」が、戦後の民主化を喜ぶ熱気の中で一気に全国的に広まりました。しかし、元々、選挙権を持つ事と「成人」する事とを同価値と見るのが無理だったようで、壇上に . . . 本文を読む

医学と宗教をちょっと考える

2005-07-21 14:51:43 | 法話みたいなもの
■重度のインシュリン依存型の糖尿病に苦しんでいた中学生の女の子が、西洋医学の理論通りに若い命を失う事件が起こりました。尊師ならぬ「宗祖」がマスコミの玩具になる振りをして、信者獲得の道具にしようと得意げに意味不明の妄言を吐き散らしているようです。こうした出来事は何度も何度も繰り返されるのは止めようが無いと思います。 今回の話題は「真光元」という名の夢の万能薬で、新しいのは万病に薬効を示す以外にも . . . 本文を読む

ウラジオストクの小さな石碑

2005-07-18 17:31:33 | 迷いのエッセイ
■ウラジオストクの丘をとことこ登って行きますと、極東大学の立派な建物が有ります。その敷地内に誰にも気付かれずに小さな石碑が建っています。「浦潮西本願寺跡」と刻まれています。明治時代に西本願寺は海外にどんどん出向いて布教活動を展開しました。その宗教活動も「侵略」の一言で片付けるのならば、日本の歴史など学ぶ価値は無いでしょうが、キリスト教各派の布教が盛んになった明治の日本から、逆に押し出して行った西本 . . . 本文を読む

小さな「幸福」論

2005-07-12 17:08:57 | 迷いのエッセイ
■誰でも災厄を逃れて安穏(あんのん)に暮らしたいものです。大病せず飢えたり渇したりすることもなく、家庭円満で周囲とも仲良く暮らせれば言う事は無いのですが、なかなかそれが上手く行きません。人間がひ弱な動物としてうろうろしていた時代が終わって、集落を作り定住を始め、部族集団が成長する頃から、自分達を守ってくれる大いなる力を共有するようになったようです。それを忘れないように物語が作られ、力を象徴する物 . . . 本文を読む

玄奘さんの御仕事  其の弐拾六

2005-07-09 08:26:16 | 玄奘さんのお仕事
其の弐拾五のつづき ■ヴェーサーリーという都市で第二結集が開催されたのには理由が有りました。当時、この町はガンジス河流域で、最も繁栄した商業都市だったのです。従って、お坊さん達の身近で盛んに貨幣経済が活動していたというわけですから、現金のお布施も増えて行きますし、大きな都市の郊外には巨大化した仏教教団が利用する施設が常設されるようになり、組織と施設の管理を任せる俗人達も必要となり、彼らは戒律の外 . . . 本文を読む

玄奘さんの御仕事 其の弐拾五

2005-07-06 21:58:40 | 玄奘さんのお仕事
其の弐拾四の続き ■ヴァーラーナスィー(ベナレス)を出た玄奘さんは、「初転法輪」の地として名高いサールナートを経てガンジス河を渡ってヴァイシャーリーに到着します。ここは釈尊在世中は、北のコーサラ国・南のマガダ国に対抗していた部族連合国の中心地となっていた場所でした。釈尊の晩年にはマガダ国の阿闍世(あじゃせ)王の謀略によって連合が崩されて占領されてしまいました。精神分析医の小此木啓吾先生が、フロイ . . . 本文を読む

神様の話

2005-07-03 09:01:49 | 法話みたいなもの
今回は連載中の「玄奘さんのお仕事」から横道に反れ、神様について考えてみたいと思います。 ■国内問題だった靖国神社が、国際問題になって議論百出の状態で収拾が付きません。当事者の靖国神社は宗教法人ですから、議論がどんなに大きくなっても、国会やら外相会談やらの舞台に引っ張り出されることは無いので、参拝問題や合祀問題に関して一切の説明をしません。「公式参拝」と言い出した政治家も、「それは問題だ!」と騒ぎ . . . 本文を読む