その日 2

2011-02-15 00:35:52 | 日々の考え事
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この曲との最初の出会いは、意外にもアメリカでの事だった。

大学三年の夏休みに僕は語学研修旅行でネブラスカを訪れた。
約30日間のプログラムを終えて、
後の10日でアメリカの主要な大都市を観て回った。

確か、サンフランシスコだったと思う。
とても大きな店構えの、しかもハデハデなネオンの
TOWER RECORDSの看板を偶然見つけ何とはなしに店に入った。
当時、クラッシックの、しかもギターにしか興味のなかった僕は
恐らく,かっこ良くディスプレイされたであろうロックや他のレコードには
目もくれず、真っ先にクラッシックのコーナーで
ギターを探したのであろう。

そこで僕は、日本国内では今まで目にした事のない一本の
カセット・テープと偶然出会う。
山下和仁の『ミュージック・オブスペイン』というアルバムだ。
ジャケットは髪を振り乱して弾く山下のモノクロ写真だったと思う。
CDがあっという間にレコードを過去のものにしつつあった時だったが
そのとき僕が持っていたのはまだカセット・ウォークマンだった。
「コンポステラ組曲」はA面の1曲目だったと思う。
美しいプレリュートが流れ出したとたんびっくりした。
今まで耳にしたどのギター曲とも違う響きがした。
何とも言えない瑞々しさが、曲全体にあふれている。
初めて訪れた異国の地で、
何か特別な見付け物をした様な気がして興奮した。
語学研修の目的とは別に、“大きな収穫”の一つだった事には違いなかった。

直感的にすぐに「弾きたい」と思った。
今すぐには無理でも、いつか弾けるようにしてやろう、位には
漠然と考えていた。
しかし、まさかこの曲で、後にコンクールに挑戦する事に成るとは
考えても見なかった。
(つづく)

写真は、後に国内で発売されたCD(1992.5.21発売)
ジャケットはオリジナルと違っている。
今から思うと、アメリカでテープを買った当時
まだ国内では「コンポステラ組曲」も
B面に収録されていたであろうV.アセンシオの
「内なる想い」もまだあまり演奏されていなかったように思う。
国内未発売だったのもうなずける。
アメリカで手に入れたカセットテープは、
先日、万感の想いで処分した。