それでも永山則夫が好きだ(スピンオフ)

「ねっとわあく死刑廃止」や、無期懲役囚で「とらえなおし」で知られる飯田博久さんや、小松川事件の李珍宇のことを書いたり色々

『沈黙の声』第36号(その1)(90年6月20日発行)日本政府の悪質な世論調査、フジ三太郎の件

2017-01-25 23:14:11 | 会報『沈黙の声』(その3)

永山則夫支援者だった武田和夫さんが永山さんから追放された後、武田和夫さんが「風人社」という死刑廃止団体を立ち上げ、『沈黙の声』という会報を発行してました。その36号の内容を以下に載せます

 


 

『沈黙の声』第36号(90年6月20日発行)

ひさびさの登場「死刑をめぐる現状へ」 

 多忙きわまりない状況が続いている。 

’86年以降(その前段階として、八三年以降)、日本の死刑制度をめぐる情況は、死刑裁判、とりわけ最高裁での一つ一つの死刑確定をめぐって、展開されてきた。

87~88年にかけての死刑確定ラッシュ(天皇Xデーの「自粛」を見込んだ〝Xデーラッシュ〟)、昨年秋以降の〝大嘗祭ラッシュ〟は、83年から、最高裁の死刑裁判にたいして、取り組まれてきた闘いにたいする司法からの巻き返しであり、具体的な死刑確定の積み重ねによって、「死刑存置」を事実としておしすすめるとともに、死刑廃止運動を無力感のうちに追い込み、死刑判決・執行の具体的事実とは無縁な「制度廃止」の運動にきりつめようという、攻撃であった。 

これにたいし、私達は、「現実の死刑攻撃に対して、死刑囚とともに闘う」という運動の原則を守りぬき、最高裁のスケジュールを部分的に阻止さえした。そうして、死刑廃止を闘う仲間の輪をさらに力強く、そして全国的なつながりをもって、つくりあげてきたのである。 

一昨年のジュネーブ国連人権委員会以降、日本の死刑制度は、国際世論のなかで問題にされるようになった。87年の「死刑ラッシュ」をかくした虚偽の「日本政府報告」にたいして、死刑廃止の会・麦の会による反論レポートが提出され、日本の「死刑ラッシュ」は、日本の死刑制度強化の証として、各国の非難をあびた。

昨年12月の「死刑廃止条約」総会決議に至る、死刑廃止への国際世論の熟成のなかで、日本の死刑存置は、世界の「眼」による注視と批判の的とならざるをえなくなったのである。 あくまで死刑制度を存続・強化しようという日本政府は、今度はこの国際世論の脅威にたいする〝巻き返し〟をはからねばならなくなった。それは、あくまで国民をあざむき、事実を知らせず、情報を操作するという、「世論操作」によって、おこなわれた。それが、国連での「死刑廃止条約」審議直前に発表された、意図みえみえの「世論調査」である。 

調査は、まず(1)凶悪犯罪は増えている と思うか(統計上の数字は滅っている) (2)死刑をなくすと凶悪犯罪が増えると思うか(世界的な統計から、そのような例はない)という、正確な資料を示せば足りることで、およそ「世論調査」として質問する性質でないものを、しかもそういった統計的事実をいっさい知らせずにきき、「凶悪犯罪は増えている、死刑をなくすと凶悪犯罪が増える」という感覚をあえて抱かせたうえで、(3)「どんな場合でも死刑を廃止しようという意見」に賛成か、反対か ときくのである。 これだけみえみえの恥知らずな誘導訊問にたいしてさえ、前回(80年)よりおおい15.7%が、「死刑に反対」と答えたことこそ、重視されるべきである。

マスコミは、この「世論操作」の結果を無批判に『死刑支持、3人に2人』と書きたて、 「死刑存置」キャンペーンにまたもひと役かう一方、国連決議の結果は、2カ月近く、国民にはいっさいつたえられなかったのである。
この世論をあざむく「世論調査」の背景としてマスコミが行なったのは、一連の「凶悪事件」キャンペーンであった。その先陣をきったのは「漫画」-I朝日新聞「フジ三太郎」たった。

(1)死刑廃止街頭署名に協力するフジ三太郎

(2)「幼女誘拐殺人事件」の電光ニュースを見る三太郎

(3)「女高生誘拐監禁・・・」の電光ニュースを見る三太郎 

(4)「死刑廃止」署名よびかけに怒った顔で通りすぎる三太郎 

89年4月6日のこの四コマ漫画は、漫画ゆえにゆるされる短絡さをもって、「凶悪事件」への怒りを、死刑廃止運動へむけるという邪悪なイメージ操作を行ない、事件を生んだ社会矛盾を隠蔽し、死刑廃止運動を抑圧するという反動的な役割を、臆面もなく担おうとしたのである。

これに対し、朝日新聞あてに、抗議が相次いだ。―日本死刑囚会議=麦の会東京定例会、死刑廃止タンポポの会と福岡諸団体・個人(アジア人権の会、いのちが大事・女の会、うみの会、原発のない世界をつくる女の会、しきの会、田川印刷センター労働組合、つむじ風の会、中谷康子さんを支える福岡の会、福岡地区合同労働組合、福岡日雇労働組合、免田栄氏)、都高教・死刑に反対する会、「東アジア反日武装戦線」への死刑・重刑攻撃と闘う支援連絡会議、死刑執行停止えひめ連絡会、・・・さらに個人による抗議や、各地の団体・個人のメディアでこの問題をとりあげたところなど、まさに「抗議のネットワーク」が形成された感じであった。
「朝日新聞 『フジ三太郎を考える会』」により、この問題を考える『雨、のち朝日』が、朝日新聞本社前で五月から七月にかけて4度まかれ、第四号には、ジャカルタより浅野健一氏(共同通信社、著書『犯罪報道の犯罪』(学陽書房) 

『犯罪報道は変えられる』(日本評論社))が投稿された。 これらの抗議に対し、朝日新聞社側は、「漫画は、最近相次ぐ凶悪な殺人事件に対する「一市民の素朴ないらだちを描いた」と、その「いらだち」を死刑廃止運動にむけた「素朴」さを反省せず、「漫画には飛躍や単純化がつきものです」(学芸部長長谷川千秋、ないし学芸部フジ三太郎係名での、いずれもほとんど同文の「回答」)といなおり、正式な謝罪を回避した。 

このマスコミの問題性は、八月の「幼女連続殺人事件犯人逮捕」の警察発表をめぐる報道のなかで、さらに大きく問い直されるものとなった。

(その2)に続く

 


 

管理人のつぶやき 

>一昨年のジュネーブ国連人権委員会以降、日本の死刑制度は、国際世論のなかで問題にされるようになった。87年の「死刑ラッシュ」をかくした虚偽の「日本政府報告」にたいして、死刑廃止の会・麦の会による反論レポートが提出され、日本の「死刑ラッシュ」は、日本の死刑制度強化の証として、各国の非難をあびた。

>昨年12月の「死刑廃止条約」総会決議に至る、死刑廃止への国際世論の熟成のなかで、日本の死刑存置は、世界の「眼」による注視と批判の的とならざるをえなくなったのである。 あくまで死刑制度を存続・強化しようという日本政府は、今度はこの国際世論の脅威にたいする〝巻き返し〟をはからねばならなくなった。それは、あくまで国民をあざむき、事実を知らせず、情報を操作するという、「世論操作」によって、おこなわれた。それが、国連での「死刑廃止条約」審議直前に発表された、意図みえみえの「世論調査」である。 

この会報、さりげなく、とんでもないことが書かれてる…。これ、日本国民は知ってるのかな…日本政府が隠蔽したり、虚偽報告を国連でやってるのは、ちょっと聞いたことがあったけど…死刑制度問題に興味がない人達は一生知らないで終わるよね…

 



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