それでも永山則夫が好きだ(スピンオフ)

「ねっとわあく死刑廃止」や、無期懲役囚で「とらえなおし」で知られる飯田博久さんや、小松川事件の李珍宇のことを書いたり色々

『沈黙の声』第30号(88年8月25日発行)「死刑廃止運動第1回全国合宿」 (その3)

2017-01-24 03:12:32 | 会報『沈黙の声』(その2)

(その2)から続く

 午後九時半に討論を打切り、就寝までのフリータイムは、前夜に倍するにぎやかな笑い声が深夜まで続いた。 22日は正午まで、まとめの討論。「全国ネットワークトづくりの討論をふまえて、具体的な執行停止法案署名の体制づくりについて話合った。  

「死刑廃止か存置か。ということでは議論がこう着している現状を打破し、新しい流れをつくり、今の死刑攻撃をくいとめていかねばならない」ということで結成された停止連であるが、何よりもまず署名活動を全国的に強力にすすめる組織体制をつくりうるのかという事が問題となった。

これは、連絡会議内部の〝意見のちがい〟に、死刑囚との共闘を拒む感性、「反権力」色を拒む体質など妥協するわけにいかないものもあることから、連絡会議と、廃止の会、麦の会など現有勢力との関係のあり方、また「執行停止」というスローガンが我々のかかげる「廃止」とどのように関係するのか、という討論にも及んだ。 

 「執行停止」については、死刑制度そのものを廃止するには刑法各条文の改正が必要であるが、執行の停止は刑訴法で規定する執行の権限の停止でなしうることの説明がなされた。(6月11日の総会では、ただ単純化を求めてこれらの説明を一切省略する請願文が採択されたが、改めてその説明文を加える必要も指摘された。) そして、全国的な体制づくりはこの合宿に結集した部分が主体的に、各地、各支援の人々をつないで形成していかねばならないこと、各地に署名活動の核となる人達が形成され、停止連のニュースはその相互をつなぐものとして作られねばならないこと、等が話し合われた。

またこの署名は現在の死刑廃止運動の内部だけでは絶対に不充分であり、反原発など巾広く市民運動に出かけていって広める必要かおること、また労組などの団体単位の協力、集会、催しへの訴えを系統的にすすめる体制づくりと、当面、各地、各領域の活動情況の連絡集中先として救援センター・廃止の会がひきうけること、などが話された。 

その中で、麦の会Nさんの力作による、死刑廃止の諸問題をわかりやすくまとめた小冊子も紹介された。 最後に、6月11日総会で配布された菊田幸一氏の論文中。〝死刑囚はその殆んどが精神障害者である〟という主旨の文があり、これは「精神障害」と犯罪を結びつける明らかな障害者差別であるので撤回と謝罪を要求すること、このかんの死刑乱発に対する最高裁への抗議文、が検討、討議され、次回合宿は、関西の仲間がひきうけてくれるなら、来春関西で、と決められ、合宿の全討論を終えた。       

三、 

全国各地からの参加者がいまひとつ少なかったが、これはまだ「全国合宿」のイメージが定着していないこともあり、まず最初の試みとして、今回これだけの仲間が、一堂に会したことを大きな成果とすべきではないかと思う。そしてその討論の一貫した基調が、獄中の死刑囚との関わりをふまえたものであり、そして獄外の全国ネットワークを作っていく際も、死刑囚の仲間と各人がより真剣に向き合っていくことを基本として、という事がくり返し確認されたことは、このかんの死刑廃止運動の全国的な進展の底に何かおるのかを、はっきりと物語るものであったといえよう。

討論の中で、死刑廃止運動総体としては、死刑囚との共闘を拒絶する根強い観念が存在していることも話し合われた。然し、そうした傾向をも死刑廃止運動の仲間として、包摂していけるのは、死刑囚と共に闘っていける部分を主体とする運動であり、その逆ではない。79年以降、今に至る死刑廃止運動は、その様な内部矛盾を含みながらも、つねにそうした部分が先頭に立ち、仲間に対する死刑攻撃に対して共に闘ってきた。そのことの意味をくり返し、確認する必要があろう。

 これからの課題は、従来の死刑廃止運動のワクをこえて、様々な領域でたたかっている人たちに、死刑廃止の意義を伝え、真に〝巾広い〟運動を実現していく事である。従来のいわゆる。〝巾広イズム〟が、個別課題の内部のみでの運動のレベルダウンによってそれを実現しようとして失敗をくり返してきたのに対し、死刑廃止をより深く人間解放の課題として、全ゆる領域の変革の闘いにつなげていく試みが開始されている。今回の合宿が、その様な各地の仲間の豊かな活動に学ぶ機会となりえたことも、大きな成果であった。

 今回の合宿をステップとして、死刑廃止の闘いを、緊密な全国的連携のもとに、さらに力強くおしすすめよう。

 (抜粋以上)

 

 



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